ダイハツ・フェローの「エボ仕様」フェローSS登場。時の記念日【今日は何の日?6月10日】

■4ストロークガソリンエンジンを発明したオットー誕生

近江大津宮の水時計(漏刻)
近江大津宮の水時計(漏刻)

6月10日は、「時の記念日」です。671年6月10日、近江大津宮で初めて水時計を使って時を測り、太鼓によって時を知らせたという「日本書紀」の記事に基づいて制定されました。当時の水時計は、いくつかの容器に水を流入、あるいは流出するようにして、容器の水面の高さから時を知る「漏刻」という原理でした。

さて、クルマ界の今日は何があったのでしょう?

オットーが発明したオットーサイクルのPV線図
オットーが発明したオットーサイクルのPV線図

1832年の6月10日、ドイツの発明家であるニコラウス・オットーが生まれました。オットーは、1878年に現在ほとんどの乗用車が採用している4ストロークガソリンエンジンを発明しました。内燃機関では、このガソリンエンジンの基本となる理論サイクル(吸気・圧縮・燃焼・排気)を「オットーサイクル」と呼んでいます。

また1968(昭和43)年のこの日、ダイハツからフェローのスポーツモデル「フェローSS」が発売されました。「フェロー」は、ミゼットなどの商用車ですでに実績のあったダイハツが、初めて手掛けた軽乗用車です。

1968年発売のフェロ―SS
1968年発売のフェロ―SS

1960年代の軽乗用車市場は、1957年発売の「スバル360」で火が付き、その後「マツダキャロル」、「三菱ミニカ」、「ススキフロンテ360」、「ホンダ360」と立て続けに新型車が投入され、一気に活況を呈します。そのような中、ダイハツの軽乗用車第1弾が1966年に投入された「ダイハツ・フェロー」でした。フェローは、箱型ボディに日本初の角型ヘッドランプを採用。搭載エンジンは、実績のある軽トラック用エンジンを水冷化した2気筒縦置き2ストローク360ccエンジンで、FR駆動でした。

1966年発売のフェロー
1966年発売のフェロー
1967年発売のホンダN360
1967年発売のホンダN360

そのような中、爆発的な人気を集めたのは、最高出力31PSを誇る1967年発売のホンダN360でした。ダイハツは、対抗するため翌年の1968年にフェローのスポーツモデル・フェローSSを投入します。フェローをベースに、圧縮比を9.0から10.6に上げ、2キャブレターを採用、さらにグリルの改良などでエンジンの冷却性能を改善して、最高出力を21PSから32PSまで向上。N360を凌ぐフェローSSの走りは、当時は珍しかった本格的なスポーツモデルとして多くのユーザーを魅了しました。

しかし、高性能と低価格を両立させた大衆モデルのホンダN360には、販売上では対抗できませんでした。バイクの高速エンジンがベースで回せば回すほど走り、しかもライバル車より当時5万円も安い設定のホンダN360に、勝つのは難しいですよね。

毎日が何かの記念日。それではまた明日!

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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