オリラジ・藤森さんが乗っているホンダの「ヨンフォア」ってどんなバイク!?

■1970年代の名車「ドリームCB400Four」

お笑いコンビ「オリエンタルラジオ」の藤森慎吾さんが、自身のYouTubeチャンネル「藤森慎吾のYouTubeチャンネル」で、愛車のホンダ「ヨンフォア」をカスタムする動画が話題を呼んでいます。

「藤森慎吾、ヨンフォア当時モンのヨシムラマフラーにカスタム!【子分系YouTuber】」というタイトルの動画内で公開されたのは、ヨシムラが製作した昭和50年代の貴重なマフラーを自分のバイクに取り付ける模様。

装着後に愛車のスタイルを見て、「やっぱりヨンフォアにはコレ」だとか「むちゃくちゃカッコイイ!」と狂喜乱舞している姿は、とっても楽しそうです。

そんな昔のマフラーがばっちり似合ってしまうヨンフォアとは、一体どんなバイクなのでしょうか? ちょっと紹介してみましょう。

●1974年に登場した400ccモデル

ヨンフォアは、ホンダが1974年に発売したロードバイクの愛称で、正式名称は「ドリームCB400Four(フォア)」といいます。

オリラジ藤森も乗っているホンダ・CB400Four
1974年に発売されたホンダ・ドリームCB400Four

なぜヨンフォアなのかというと、エンジンの排気量が400cc(ヨン)の4気筒(フォア)だったからです。

当時、ホンダは、1968年に出した750cc 4気筒エンジンの「ドリームCB750Four」が大ヒット! 1971年には500ccの「ドリームCB500Four」、1972年には350ccの「ドリームCB350Four」といった4気筒シリーズをラインアップします。

オリラジ藤森も乗っているホンダ・CB400Four
ホンダ・ドリームCB350Four

ところが、ドリームCB350Fourは、圧倒的な動力性能が魅力だった750Fourの末弟的存在ながら、あまり売れませんでした。出力特性がマイルド過ぎたり、大人しい外観などがウケなかったようですね。

そこで、CB350Fourの後継機種として、エンジンの排気量を408ccにアップし、外観もスポーティに仕上げたのがヨンフォア(CB400Four)なのです。

●集合マフラーが斬新だった

ヨンフォアは、当時としてはかなり画期的な装備も魅力でした。エンジンは4サイクルOHC4気筒で、最高出力37psの高出力を発揮し、まだ採用するモデルが少なかった6速ミッションも装備しました。

オリラジ藤森も乗っているホンダ・CB400Four
408cc版ヨンフォアのサイドビュー

また、やはり当時はまだ市販車に装着されることが珍しかった、4into1タイプの集合マフラーも採用。4つのエキゾーストパイプがエンジン下部1ヵ所でまとまり、サイレンサー部へ伸びるフォルムは、4気筒マシンであることを強調するとともに、レーシーな雰囲気も演出していました。

さらに、フラットな形状のハンドルやリンク式のバックステップなども装備。1960年代にイギリスなどで流行したカスタム、「カフェレーサー」的なスタイルも斬新でした。

●408cc版と398cc版の2タイプがあった

実は、ヨンフォアにはエンジンの排気量に2つのタイプがあります。

初代は前述の通り408ccですが、1976年に398ccの「ドリームCB400Four-I/II」が追加されます。

オリラジ藤森も乗っているホンダ・CB400Four
1976年発売のホンダ・ドリームCB400Four-I

なぜ排気量をダウンさせたモデルを出したかというと、1975年の運転免許制度改正で、自動二輪車運転免許に400cc以下のみ運転ができる「中型限定免許(現在の普通自動二輪免許)」が設定されたからです。

いわゆる「中免」と呼ばれたバイク免許ですが、この制度改正により初代の408cc版は、より取得が難しい限定なし免許、いわゆる「限定解除免許(現在の大型二輪免許)」がないと乗れなくなってしまいました。

オリラジ藤森も乗っているホンダ・CB400Four
1976年発売のホンダ・ドリームCB400Four-Ⅱ

中免の登場により、当時、若者を中心に250cc〜400ccのバイクが飛ぶように売れました。そういった商機を逃さないように、ホンダとしては排気量をダウンさせたモデルを出したのでしょうね。

なお、398cc版は、ハンドルの仕様が違う2タイプがあります。CB400Four-Iが低くレーシーなセミフラットタイプ、CB400Four-IIがツーリングなどに適した高めのアップタイプでした。

●408cc版と398cc版の見分け方

ヨンフォアの408cc版と398cc版はしばらく併売されます。

ところが、4気筒マシンはコストが掛かることから、1977年、より低コスト化した395cc・2気筒モデルの「ホーク-II」が後継機種として登場します。

オリラジ藤森も乗っているホンダ・CB400Four
ホンダ・ホーク-Ⅱ

ちなみに、ヨンフォアは全モデルの新車価格が当時32万7000円。ホーク-IIはコストを抑えた分、価格もよりリーズナブルにし、当時31万9000円で販売されました。

スタイリッシュなデザインや画期的な装備を持ちながらも、ヨンフォアは登場からわずか3年で生産終了となってしまいました。

ところが、販売台数が少なかったことが、逆に「レア度が高い伝説の名車」として、今でも多くのバイク好きに愛されています。

オリラジ藤森も乗っているホンダ・CB400Four
藤森さんのバイクはタンデムステップがフレームマウント(出展:藤森慎吾のYouTubeチャンネル)

ちなみに藤森さんの愛車は、動画を見る限り398cc版のようです。なぜなら、タンデムステップがフレームマウントだからです。408cc版の方はスイングアーム上にマウントされており、マニアはこれで見分けるのだそうです。

また、動画で藤森さんが愛車に装着していたマフラーのメーカー・ヨシムラですが、これもバイク好きにはおなじみですよね。伝説のチューナー「ポップ吉村」こと、故・吉村秀雄さんが創立したパーツメーカー兼ブランドです(会社名はヨシムラジャパン)。

オリラジ藤森も乗っているホンダ・CB400Four
当時モノのヨシムラ集合マフラー(出展:藤森慎吾のYouTubeチャンネル)

第2次世界大戦の終戦直後からバイクのチューニングを手掛け、数々のレースでも勝利を収めている老舗。ヨンフォアが生まれた時代を知るバイク好きにとって、「ヨシムラの集合マフラー」は憬れでした。

藤森さんの動画でも、バイクへ装着した後でエンジンを掛けた際、超重低音の排気音が聞けます。今のバイクでは味わえない、ど迫力サウンドはまさに圧巻ですね。

(文:平塚 直樹

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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