■俺たちのミドルスポーツ復権の時代!?
●名跡を継いだストリートモデル
最高出力やパワーウエイトレシオといったスペック、最先端の技術は魅力的です。でも、そういった機構がめいっぱい盛り込まれたSS(スーパースポーツ)は、サーキットでタイムを求めるユーザーにはいいですが、ワインディングを適度に楽しみたいような一般ユーザーには、ちょっと価格的にも手が届きづらくなり、性能的にももてあますようになってきてしまったのではないでしょうか。
かといってネイキッドやアドベンチャーではなく、やっぱりフルカウルのシャープなスポーツモデルに乗りたい。そんな“オレでも楽しめるフルカウルのスポーツバイク”って、案外若い人も、リターンライダーも望んでいる人は多いと思うんです。そして、ヤマハからもそんなモデルが発表されました。
YZF-R7。
おっさんはこの名前にちょっとビビるかもしれません。かつてスーパーバイク選手権用のホモロゲーションモデルとして発売された超絶高性能バイクが同じ名前だからです。
でも心配いりません。今回発表されたYZF-R7はそういうモデルではありません。ベースになったのは、2気筒のスポーツモデルMT-07です。そう、究極のフルパワー、ハイスペックを求めたモデルではなく、ストリートでの楽しさを追求した、幅広い技量のライダーが“扱いきれるスーパースポーツ”なのだそうです。
エンジンはクロスプレーン2気筒エンジンを踏襲。軽くスリムなので、振りまわしやすそうです。いっぽうでフレームは剛性バランスをチューニングされ、フロントサスペンションには倒立式フロントフォークが採用されています。もちろん、リヤサスペンションの減衰力やバネもYZF-R7用の専用セッティングです。そして、フロントブレーキはラジアルマウントのキャリパーにラジアルマスターシリンダーを採用と、もうユーザーの心をよくわかっているというか、欲しいものはきっちり盛り込まれている感じです。安っぽくはない。しかし過剰でもない。
ハンドルはもちろんセパレート型ですが、シート幅は細く、いっぽうで座面後方は広いため、ポジションの自由度があってワインディング路や高速道路、サーキットでのスポーツ走行まで、幅広く対応できるそうです。あまりポジションがキツいと長距離移動がツラいし、あまりアップライトだとスポーティに走りづらいですもんね。
そして、このYZF-R7、まず欧米で発売されたそうですが、アメリカでの価格が8,999ドル。日本円で100万円を切るくらいです。なんと絶妙な! 最近のスーパースポーツは100万円をはるかに超えるモデルが増えていますが、この価格とこの装備って、なんか“ちょうど欲しいところ”じゃないでしょうか?
日本での発売は2021年冬以降になるそうですが、ぜひ100万円を切る価格で発売してほしいですね!
【米国仕様「YZF-R7」主要仕様諸元】
全長×全幅×全高 |
2,070mm×705mm×1,160mm |
シート高 |
835mm |
軸間距離 |
1,395mm |
車両重量 |
188kg |
原動機種類 |
水冷・4 ストローク・DOHC・4 バルブ |
気筒数配列 |
直列2気筒 |
総排気量 |
689cm3 |
内径×行程 |
80.0mm×68.6mm |
圧縮比 |
11.5:1 |
最大トルク |
67.0N・m(6.8kgf・m)/6,500r/min |
燃料タンク容量 |
13L |
タイヤサイズ(前/後) |
120/70ZR17M/C (58W) / 180/55ZR17M/C (73W) |
(まめ蔵)