■2度の勝利があるからこそ説得力を持つ「インディ500の走り方、勝ち方がわかっている」という言葉の重み
世界三大レースといえば、ル・マン24時間耐久レース、F1モナコグランプリ、そしてオーバルレースのインディ500。
そのインディ500を2017年、2020年と2回も制している日本人ドライバーが、ご存知「佐藤琢磨」選手です。
2021年のインディ500では、エリオ・カストロネベス選手を最後に、過去に5名しか達成していない連覇にチャレンジすることになる佐藤琢磨選手を、5月18日の予選を前にオンラインで取材することができました。
さて、12年目のインディ500へのチャレンジとなる佐藤琢磨選手。日本のファンとしては2017年の初優勝は非常に印象深いのですが、佐藤琢磨選手は、2020年に優勝できたのは本当に嬉しかったといいます。
なぜなら、2012年に優勝まであと一歩に迫りつつも、ファイナルラップでスピン・リタイヤしてしまったときと同じチーム「レイホール」での勝利だったからです。
そんな2020年の2度目の勝利でしたが、昨年のインディ500はコロナ禍ということもあって、無観客の開催となりました。例年であれば30万人もの観客が集まるビッグイベントで、無機質なスタンドを見るのは寂しかったと佐藤琢磨選手は言います。
2021年も新型コロナウイルスの影響があり、入場者数は14万人に制限されるということですが、それでもコロナ禍においてこれだけのビッグイベントが開催できるのはすごいことです。
佐藤琢磨選手をはじめ関係者は全員がワクチンを接種、観客もワクチン接種した状態でレース観戦ができるように自治体も協力してくれているといいます。
そこにはインディ500が100年を超える歴史を持つ伝統的なモータースポーツイベントだということも関係していることでしょう。
それほどのレースにディフェンディングチャンピオンとして挑む佐藤琢磨選手。連覇を狙いたいが、ハードルが高いというのも感じているといいますが、スポーツ分野における日本人の活躍は刺激になっているともいいます。
たとえば、アジア人として初めてゴルフ・マスターズを制した松山英樹選手、MLBでも二刀流で活躍する大谷翔平選手らには刺激を受けているといいます。オンライン取材でも、はっきりと体調の良さが感じられるほどコンディションをきっちりと整えている佐藤琢磨選手も、世界トップクラスのアスリートなのです。
すでにテストでは二番手タイムを出している佐藤琢磨選手ですが、けっして満足しているわけではないそうです。具体的には、2020年はタイヤをもたせられる安定したクルマづくりが勝因だったということですが、絶対的なスピードが足りなかったといいます。
今年は、同じ戦略では勝つのは難しいということで、2021年は絶対的なスピードを上げる方向でセットアップすることを狙っているそうです。
こうして「勝利の方程式」をさらりと話すことできるのはさすが2タイムス・チャンピオンです。そうした実績は『インディ500の走り方、勝ち方がわかっているのでうまく走れているのだと思う』という発言をさらりとできてしまうところからも感じられます。
2021年のインディ500勝利に向けて、「プラクティスから流れを変えていこうと考えている」という佐藤琢磨選手。5月30日の決勝で3度目の勝利を見せてくれることを期待して、日本から声援を送りましょう。