ダイハツ・エッセの熱い戦いが再び。AJEC 2021シーズンが開幕

■エッセ遣い日本一を決めるシリーズ、2021年シーズン開幕

昨年、シリーズが初めて開催となった「オール・ジャパン・エッセ・カップ(AJEC)」の2021年シーズンが始まりました。

昨シーズンは各イベントで2戦ずつの3大会計6戦が行われたこのAJEC。その内容は、ジムカーナ、ヒルクライム、サーキットトライアルという3つの競技で行なわれ、その全ジャンルを争い日本一のエッセ遣いを決めるシリーズです。

AJECrd1恵那モーターパーク
ころころと目まぐるしく変わる天候の下、オール・ジャパン・エッセ・カップの2シーズン目がスタートしました

今シーズンは、全4大会4戦というスケジュールで開催となりました。競技内容は昨年同様、ジムカーナ、ヒルクライム&ダウンヒル、サーキットトライアルがあり、さらに新たにSSジムカーナという競技が加わることとなりました。

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昨シーズン初開催の開幕戦では15台のエントリーだったので、エッセの参加台数は22台と増加。シーズンが進むごとに参加台数も増えただけに今シーズンもこれから多くの参加が期待できる

このワンメイク・イベントの主役となるダイハツ・エッセは、2005年から2011年まで販売された5ドアハッチモデル。

6代目ミラをベースとしたシンプルでリーズナブルな実用車。車重700㎏台の軽量なボディと、3気筒12バルブKF-VE型エンジン(最高出力58ps/最大トルク6.6kgm)の組み合わせで軽快な走りを見せるモデルです。

今シーズンのAJEC開幕戦は、5月2日(日)に、昨年同様、岐阜県恵那市にある恵那モーターパークでのパイロンジムカーナで開催となりました。

2シーズン目のエッセ・カップには、オープンクラスとしてエッセ以外のエントリーも受け付ることとなって、この開幕戦には25名がエントリー(ジムカーナ競技であるためダブルエントリー、トリプルエントリーもあり、エッセの台数自体は少ないですが…)。

エッセは初心者やエンジョイしたい人向けのE3クラス、エンジン・ミッション・LSD・ECUを変更していない無改造車両でのE2クラス、車検適合範囲での何でもありのE1という3クラスが用意されてます。

今回出走はなかったものの、他にもエッセ以外の新規格軽自動車での参戦が可能なkrt.66およびkrt.66T、それ以外のオープンクラスという6つのクラスが用意されています。今回のジムカーナ競技では練習走行2本、決勝走行2本をレイアウト違いで2回行なって、この2回の走行のポジションで、順位を競うことになります。

AJECrd1ダイハツ・エッセこの日、恵那モーターパークのある笠置山は、朝から空模様が不安定。晴れ間の光が射しながらも雨も同時に降るような状態が競技時間中は常に続いておりました。

そのため路面も基本的にはウエットながら、徐々に回復していき、少しドライ路面が出てきたと思ったらまたウエットに逆戻りといった状態。ころころと変わる路面コンディションも走行のタイミングでどっちに転ぶかわからず、でした。

雨自体は常に傘をさしていなければならないほどでもなく、時折しっかりと降ったりもしましたが雨量自体はそれほど多くもない一日でした。

スケジュールが他のイベントとかぶるということもあり、今回のエントリーには、昨シーズンのタイトルを獲得した加藤正夫選手を始め、中川勇気選手、保科学選手、安部由和選手といった有力選手が不在。ここで好タイムを記録したのは、他競技でも成績を残すような実力派の面々が上位に名を連ねる結果となりました。

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昨シーズンのヒルクライム戦で表彰台に立った西脇裕一選手(#23 KRT・YHT甲信飯田・ウエストSR・SP青エッセ)。この日午前中のAコースはトップ通過

1本目のAコースでは、西脇裕一選手(#23 KRT・YHT甲信飯田・ウエストSR・SP青エッセ)がE1クラスのトップとなりました。

西脇選手はAコースの練習走行からクラストップの1分00秒74のタイムを出しており、この決勝の2本でも、1本目こそパイロンタッチとなってしまったものの、2本目では1分切りの59秒38のタイムでトップ。それに続くのは59秒台のタイムを出したもう一台である行徳 聡選手(#18 Purple Esse/59秒74)、そして1分1秒15で武藤功二選手(#22 K’S BRIG エッセ)が入りました。

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スポット増しでしっかり作り込まれたエッセでの行徳 聡選手(#18 Purple Esse/59秒74)。2コースともに2番手で同点1位となったものの決定戦で敗退し2位

そして午後は、Aコースよりも速度が乗るレイアウトとなったBコースで再び練習走行、そして決勝の2本の走行が行われました。

ここでも練習走行でのトップタイムは西脇選手が出したのですが、決勝1本目には行徳選手が55秒93のタイムでトップに立ちました。2本目はそのタイムを上回ることができず。1本目のタイムで、その行徳選手に続く2番手タイム(56秒49)となったのが武藤選手。2本目はその行徳選手のタイムを上回る55秒75でトップ逆転となりました。

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全日本ジムカーナに参戦中で、今回唯一の経験者の武藤功二選手(#22 K’S BRIG エッセ)が、その実力をいかんなく発揮

このAコースとBコースでのポイントの合算で順位が決まるわけですが、A、Bともに2位だった行徳選手と、3位、1位となった武藤選手は同ポイントに並んだため、同点決勝が行われました。そこで競り勝ったのが、全日本ジムカーナにも出場している武藤功二選手(#22 K’S BRIG エッセ)でした。

優勝となった武藤選手は、

「昨年は開幕の1、2戦を借り物エッセで楽しめたので、じゃあってことでこのエッセカップ用に一台買ってデフ、ミッション、ファイナル、エアクリーナー、ブレーキといったところに手を入れて参戦してきました。
このクルマ、ショックがダメだったので、今回はビルズさんに作っていただいたショックを入れたんですが、事前にセッティングしたわけでなくて、今日この場でセッティング試したんで、ジャダーがすごく出てて、ジャダーが出るとトラクションが抜けちゃうんですよね。
ジャダーの原因はエンジンマウントみたいで、それが出ないようにいろいろやってみて、なんとか収まって、シャフトも折れず、成績を残せました。次戦のヒルクライムに向けて、もっと煮詰めていきたいですね」

とコメントしてくれました。

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優勝した武藤功二選手(写真中)、2位の行徳 聡選手(同右)、そして西脇裕一選手(同左)

続く第2戦は6月6日(日)に長野県木曽地方で開催の林道トライアルという予定ですが、このコロナ禍の状況であり、また、他イベントとの調整もあるということで日程変更の可能性もあるということです。

シリーズとしてはその後、第3戦は9月19日(日)にモーターランド鈴鹿(三重県)でのサーキットトライアル。そして第4戦が12月12日(日)、愛知県のキョウセイドライバーランドでのSSジムカーナとなる予定です。

(青山義明)

この記事の著者

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青山 義明

編集プロダクションを渡り歩くうちに、なんとなく身に着けたスキルで、4輪2輪関係なく写真を撮ったり原稿書いたり、たまに編集作業をしたりしてこの業界の片隅で生きてます。現在は愛知と神奈川の2拠点をベースに、ローカルレースや障がい者モータースポーツを中心に取材活動中。
日本モータースポーツ記者会所属。
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