■予選から上位につける国産勢
4月10日(土)~11日(日)に岡山国際サーキットで開催された、SUPER GT開幕戦「2021 AUTOBACS SUPER GT Round1 たかのこのホテル OKAYAMA GT 300km RACE」。コロナ禍で2年ぶりの岡山戦、GT300の勢力図は大きく塗り替わっていました。
11号車 GAINER TANAX GT-Rがポールポジション、52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GTが予選2位、予選4位に昨年のチャンピオンの56号車 リアライズ日産自動車大学校 GT-Rが入ます。
また244号車 たかのこの湯 GR Supra GTや60号車 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTが、今年から採用したGR Supra GTでグリッドの3列目に来るなど、GT-RとGR Supraの国産勢の速さが予選から際立っています。
これら国産勢の間を割って入ったのが、65号車 LEON PYRAMID AMGのみという状況となっています。
予選トップの4台は、昨シーズンに最終戦までチャンピオン争いを繰り広げたチームであり、今のGT300をけん引するチームとも言えます。
その中でも昨シーズンからGR Supra GTを開発し投入した埼玉トヨペットの勢いはオープニングラップから鋭く、スタート直後からトップの GAINER TANAX GT-Rと激しいトップ争いを演じます。
GT500での7周目のヘアピンで30号車 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTがGT500のトップ争いに巻き込まれながら、なおかつ34号車 Yogibo NSX GT3に追突されて止まってしまいます。これによりセイフティカー(SC)が導入されますが、序盤ということもあり、順位に大きな変動はありません。
そのSCが解除されてからもGAINER TANAX GT-Rと埼玉トヨペットGB GR Supra GTの激しいトップ争いは続きます。埼玉トヨペットGB GR Supra GTはコーナーリングでは速さを見せ差を詰めるものの、ストレートスピードはGAINER TANAX GT-Rの方が若干速く、抜ききることが出来ません。
●セイフティカー導入より先にピットインできるか否か?
30周を過ぎたあたりでルーティーンのピットインをするチームも出始めたころ、GT500クラスが33周目に入ったときに、ピットアウトしたばかりの360号車 RUNUP RIVAUX GT-Rが1コーナーイン側にクラッシュしてしまいます。このアクシデントで各チーム一斉にピットインを指示します。
SCが導入されてしまえば、その間はピットインが出来ません。この、アクシデントからSC導入までの1~2周の間にピットに入っておかなければ勝負権を失ってしまいます。そこで、各チーム一斉にピットインとなったのです。
そのピットの大混乱の中、真っ先にピットアウトできたのがリアライズ日産自動車大学校 GT-R。
ピットアウトした際にSCが隊列を作るために周回を重ねており、その時点でのトップだったSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTはピットインのタイミングを外してしまっていたので、実質のトップはリアライズ日産自動車大学校 GT-Rということとなりました。
このSC導入でのピットアウトの順位のままトップ3は僅差で勝負をしていきますが、順位が変動することはなく、リアライズ日産自動車大学校 GT-Rがトップでチェッカーをくぐり優勝となりました。
終わってみれば昨年のチャンピオンが優勝、というリアライズ日産自動車大学校 GT-Rの強さを見せつけるレースでした。
しかし、GR Supra GTの各チームもすべてポイント獲得、埼玉トヨペットGB GR Supra GTは3位で表彰台という状況で、GR Supra vs. 日産GT-Rという、GT500クラスのようなラインナップの戦いが繰り広げられようとしています。
唯一の輸入車での表彰台となったLEON PYRAMID AMGを含めて、ポイント圏内には輸入車勢がポルシェとランボルギーニの3台という状況。今年のGT300クラスは国産勢が熱いのかもしれません。
次戦の富士では長い長いストレートがあるので、もしかすると勢力図が大きく変わるかもしれません。そんな第2戦は5月3(月祝)~4日(火祝)に富士スピードウェイで開催です。
(写真:吉見 幸夫/文:松永 和浩)