トヨタ自動車が新型コロナウイルスのワクチン接種で全面支援! トヨタとヤマト運輸が協力する「豊田市モデル」が発表

■場所&医療スタッフをトヨタが提供、ヤマト運輸も輸送で協力する「豊田市モデル」

4月27日、豊田市の太田稔彦市長は会見で、新型コロナウイルスのワクチン接種の計画「豊田市モデル」を発表しました。トヨタ自動車の全面支援とヤマト運輸初となる輸送方法を得て、5月30日からの接種に臨むことを明らかにしました。この三者提携の中身が驚きです。

豊田市のワクチン接種にトヨタとヤマトが提携支援

●集団接種会場の提供だけじゃない

豊田市の人口は42万人、16歳未満を除く接種対象者は36万人。豊田市は集団接種会場18ヵ所、市内のクリニック100ヵ所以上で、延べ72万回の接種に対応します。

トヨタはワクチン接種会場として、関係施設のつどいの丘、フォレスタヒルズ、TREC(堤工場厚生センター)、トヨタスポーツセンターの4施設を集団接種会場として提供します。

国の指針に基づき、接種主体の豊田市の構想で会場は運営されますが、トヨタは提供した会場レイアウトについても、人の動線を円滑にするなどのノウハウを提供。集団会場での接触をより少なくすることに貢献します。

ここまでなら大型の生産拠点を持つ企業のできる範囲かもしれません。

さらに、この4会場に医師延べ約100人、看護師と会場運営スタッフ延べ約350人を派遣します。市内にはトヨタ工場内に開設された診療所から発展したトヨタ記念病院がありますが、すでに地域の医療拠点としての役割をすでに担っています。

「専門職はどこも不足していますので、トヨタさんからは関連に常駐する産業医や看護師の派遣をお願いしました」と、豊田市感染予防課は話します。感染対応に追われている医療施設が無理なら産業医を、という惜しみない協力です。

トヨタ自動車とヤマト運輸が全面協力。トヨタは会場も医療スタッフも支援、ヤマトは初の超低温氷で輸送

●ドライアイスに頼らない超低温輸送

ヤマト運輸も、同社初の超低温氷を使った輸送を実施します。

接種ではワクチンの保管拠点から接種会場への配送が大きな課題です。豊田市は-90度~-60度までの超低温配送を目指し、ヤマト運輸はドライアイスではなく、超低温氷だけを使った方法で配送を全面的に請け負うことになりました。

接種会場までの移送・保管を専用保冷箱内で行うことで、取出した後もワクチンを-60度以下で保管できるようにします。保持超低温氷の活用はヤマト運輸では初めての試みです。

この超低温氷や保冷庫の生産についても、トヨタがノウハウを提供するといいます。前出・感染予防課の担当者はこう言います。

「拠点でのワクチン保管は、国から提供されるディープフリーザーがありますが、接種会場への輸送でも支援が得られることで準備万端。接種準備を整えて、市民の方にできるだけ早く接種いただけるようにしたいと考えています」。

豊田市で残る課題は、どれだけ早く十分なワクチンが供給されるか、に絞られるようです。

(文:中島 みなみ