アルピナXD4の走りは、ワインディングでは大きさを感じさせない身のこなしを堪能できる

■圧倒的なトルク感を生み出す3.0Lディーゼルターボの「クアッド・ターボ」

アルピナは、レースで鍛え、市販車はエンジンなどをドイツのマイスターによる手作業で組み立ててきた「メーカー」です。

現在のアルピナはセダンやステーションワゴンだけでなく世界的な流行であるSUVもラインナップしていて、XD3、XD4、XB7から選択できます。

アルピナXD4
アルピナXD4の走行シーン

今回、試乗する機会があったのはBMWが「SAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)」を名乗るX4をベースとしたXD4。

ボディサイズは、全長4760×全幅1940×全高1620mm。左ハンドルのみの設定となっています。XD4は、1.9m台中盤に迫る全幅と左ハンドル仕様のため、狭い場所での取り回しには慣れが必要かもしれません。

アルピナ XD4
アルピナXD4が積む3.0L直列6気筒ディーゼルエンジン

SUVとクーペを融合させたフォルムは、アルピナお馴染みの細身のスポークが目を惹くアルミホイールや、専用ロゴが際立つフロントスポイラーなどにより、ひと際スポーティに仕立てられています。

エンジンは最新の3.0L直列6気筒ディーゼルターボの「クアッド・ターボ」で、4基のターボから構成される2ステージチャージングシステムにより、最高出力388PS/4000-5000rpm・最大トルク770Nm/1750-3000rpmというハイスペックを実現。

アルピナ XD4
山道でも軽快な走りが楽しめるアルピナXD4

並列する2つの大きな低圧ステージと、可変タービンジオメトリー(VGT)による2つの小さな高圧ステージによって、アルピナらしい吹け上がりの良さに貢献しています。駆動方式は4WDです。

そのダッシュ力は圧巻で、車両重量2120kgという重量級にも関わらず軽やかに加速させるだけでなく、急な上り坂でも少しアクセルを踏み込むだけで容易に速度を上げていきます。

アルピナXD4
試乗車はオプションの22インチタイヤ(ピレリ)を履く

SUVであっても公道では正直、味見程度しか味わえません。それでもテイストはアルピナらしさにあふれています。ほかのディーゼルエンジン搭載モデルと同様に、低速域から高速域までストレスなく怒濤の加速が続き、分厚いトルクによりどこから踏んでも前に出る印象。しかも、8速スポーツATによりスムーズに変速が行われるため、ピーキーさもありません。

また、XD4はクーペSUVの「SAC」でもアイポイントが高くなるため、より高速ツアラーという雰囲気も色濃くあり、ロングドライブでも爽快なクルージングが可能であるはず。電子制御ダンパーを採用する「アルピナ・スポーツ・サスペンション」は、走行モードを切り替えても基本的に引き締まっています。

2.1tを超える車重もあって、リヤシートも含めて比較的フラットライドといえますが、オプションの22インチタイヤは少し大きすぎるのか、前後に揺すぶられるシーンもあります。

アルピナXD4
アルピナXD4のインパネ

このスポーツサスペンションが際立つのはワインディングでの身のこなし。日本では決してコンパクトとはいえない全幅にも関わらず、秀逸なライントレース性により、思いどおりにコーナーをクリアできます。ロールも抑えられていて、まったく山岳路を苦にしません。

アルピナXD4
アルピナXD4のフロントシート

室内空間はベース車のBMW X4と同様で、後席は大人でも不足のないヘッドクリアランス、ニースペースが確保されていて、身長171cmの筆者がドライビングポジションを決めた後ろには、膝前にこぶしが2つ強、頭上にはこぶし1つ程度の余裕が残ります。つまり、大人4人でロングドライブや旅行が楽しめるパッケージングを備えています。

アルピナ XD4の価格は、1385万円です。

(文:塚田 勝弘/写真:井上 誠)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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