■530万円に設定されたエントリーグレードの「GLB 180」で、さらなる拡販に寄与
全長4640×全幅1835×全高1700mmというボディサイズに、3列シートを備えるメルセデス・ベンツGLB。比較的コンパクトなボディサイズで7人乗りを実現する貴重なSUVといえます。サードシートは乗降性も含めると非常席・子ども用の域は出ませんが、イザというときに多人数が可能なのが魅力です。
そのGLBに、ガソリンエンジンを積むエントリーモデルの「GLB 180」、さらに人気のディーゼル仕様に4輪駆動モデル「GLB 200 d 4MATIC」が追加されます。デリバリー開始は「GLB 200 d 4MATIC」が今年2021年4月、「GLB 180」が7月頃の予定となっています。
ガソリンエンジンを積むエントリーグレードの「GLB 180」には、1.4Lのオールアルミニウム製エンジン「M 282」を搭載。超小型、軽量、高い静粛性を誇る同エンジンは、ターボに電子制御ウェイストゲートが備わり、フレキシブルな過給圧制御により、低負荷域においても最適な過給圧を設定することが可能だそう。
さらに、デルタ形シリンダーヘッドが採用され、通常のシリンダーヘッドに比べると、装着時の高さがある一方、幅や重さははるかに小さくすることができます。また、インテークマニホールドとエグゾーストマニホールドが半一体化され、コンパクト化を可能にしています。
ダイムラーは、最大圧力250barの高圧インジェクションポンプを省スペースで配置する技術に対して特許を取得しているそうで、多孔式インジェクションノズルを燃焼室の中央に置き、バルブに燃料ジェットを当てずに燃料を噴射できます。
この高圧縮比4気筒エンジンは、ノイズの低減にも注力したそうで、吸気ダクトにヘルムホルツ共鳴器を採用。触媒コンバーターに遮音シールが施されているほか、カバーもノイズ低減の役目を担っているそう。
「GLB 200 d 4MATIC」に搭載される「OM654q」エンジンは、2.0Lの直列4気筒ディーゼルターボで、最高出力150PS(110kW)・最大トルク320Nmを発揮。シリンダーピッチを90mm、シリンダー間の厚みを8mmとして、全長をコンパクトにまとめたシリンダーブロックは、アルミニウム製で軽量化が図られています。
一方のピストンはスチール製。この熱膨張率の異なる素材を採用することで、40%以上摩擦が低減されるほか、シリンダーウォールにスチールカーボン材を溶射コーティングする「NANOSLIDE」と呼ぶ摩擦低減加工が施されています。ターボには、可変タービンジオメトリーが採用され、低回転域から高回転域まで全域でトルクフルな加速を可能にするそう。
「GLB 200 d 4MATIC」に採用される四輪駆動システムの「4MATIC」は、ダイナミックセレクトのスイッチを操作することで、基本の前後トルク配分比を変化させることが可能になっています。四輪駆動クラッチを制御する特性マップを3つ用意。
一般的な走行状況における基本的な前後トルク配分は、ドライブモード「ECO/コンフォート」で「80:20」「スポーツ」では「70:30」になります。オフロード走行では、四輪駆動クラッチがセンターディファレンシャルロックのように働き、基本トルク配分は均等に「50:50」になります。どのモードでも路面状況に応じて連続的にトルク配分比を変化させることで、常に最適な駆動力の伝達を可能にし、オンロードでの安定性や効率性とオフロードでの走破性を高次元で両立。
また、センターコンソールにあるダイナミックセレクトのスイッチで「オフロード」を選択すると、トルク配分やABSのマネジメントにより、悪路走破性を向上させます。同時に、マルチビームLEDヘッドライトが車両の直前部を広く明るく照らすモードになり、障害物が発見しやすくなる利点もあります(50km/hまでで作動。「GLB 200 d 4MATIC」はAMGライン選択時。「GLB 250 4MATICスポーツ」には標準装備)。
2グレードの追加で選択肢が増えたGLBは、ファミリーやキャンプなどのアウトドアを楽しむ層まで幅広いユーザーのカーライフを豊かにしてくれる1台になるはずです。
価格は「GLB 180」が530万円、「GLB 200 d 4MATIC」が553万円。なお、従来から設定されている2.0Lガソリンの「GLB 250 4MATIC スポーツ」は704万円、2021年1月に追加された「メルセデスAMG GLB 35 4MATIC」は732万円です。
※上記写真には、異なる仕様も含まれています。
(塚田 勝弘)