BMW ALPINA D5 Sの0-100km/h加速4.8秒を誇る俊足な走りはまさにアルピナ・マジック

■ディーゼルと思えないスムーズな直列6気筒ターボエンジンが魅力

BMWをベースとした「アルピナ」は、酸いも甘いも噛み分けた大人が「上がり」のクルマとして選ぶイメージがあります。

BMW 5シリーズをベースとした「BMW ALPINA D5 S」のエンジンは3.0L直列6気筒ディーゼルで、347PS/4000-4200rpm・730Nm/1750-2750rpmというスペックです。ハイパワーと分厚いトルクを兼ね備えたディーゼルエンジンでも、トップクラスの動力性能を誇ります。

BMW アルピナ D5 S
「BMW ALPINA D5 S」の走り

外観は、BMWの良さを活かしながらさり気なくスポーティさと色気を増しているアルピナらしい仕立てで、大開口のエアインテークは約40%拡大され、冷却能力が引き上げられています。

足元にはお馴染みの「アルピナ・クラシック」の20インチ鍛造アルミホイールをはじめ、タイヤは「ピレリP ZERO」を装着。サイズはフロントが255/35 ZR20、リヤが 295/30 ZR20。

BMW アルピナ D5 S
アルピナお馴染みの繊細なスポークが印象的な20インチアルミホイール

走り出すとコンコンと湧き出るようなトルク感に加えて、スムーズなZF製の8速ATの変速フィールもあり、街中でも山岳路でも普通に流す分には、あっけないほどジェントル。

BMW アルピナ D5 S
3.0L直列6気筒ディーゼルターボは、48Vマイルドハイブリッドシステムが組み合わされている

マイルドハイブリッド化された48Vスタータージェネレーターのモーターアシストもあり、走り出しはスッーと前に出る感覚があります。回生エネルギーを活用したモーターアシストは、最大8kW(11PS)。

さらに、山岳路や高速域でアクセルを踏み増すと瞬時に反応し、意のままに欲しい加速感が得られます。音、振動面もよく抑えられているうえに、一般道ではほとんど高回転まで回す必要がありませんから、ディーゼルエンジンの音、振動というネガを意識させられることはあまりありません。

BMW アルピナ D5 S
「BMW ALPINA D5 S」のリヤビュー

可変タービンジオメトリーの2ステージ式ターボを備え、ディーゼルエンジンのパンチ力を高めていることもあり、過給の「間」が少ないのも印象的。ディーゼルらしからぬ吹け上がりの良さは、一度体感するとやみつきになりそう。

大トルク、ハイパワーに対応すべく足まわりも引き締められています。

電子制御式ダンパーは、設定を「コンフォート」「スポーツ」にしても振れ幅は比較的小さめ。なお、「エコ」モードでも郊外路では必要十分といえるパワー感を享受できます。また、フロントシートは、シート自体の減衰が効いていて「コンフォート」であれば、揺すぶられるような動きは少なく、スポーツサルーンとしては上々。

BMW アルピナ D5 S
大型のエアインテークが目を惹く「BMW ALPINA D5 S」

一方で、リヤシートに移ると上下動も伝わってきます。それでも路面の凹凸に対する収まりが一発で完了するのは美点でしょう。

全長4980×全幅1870×全高1480mm、1960kgという大型スポーツサルーンとは思えない、俊敏なコーナーでの身のこなしは、この足まわりがあってこそ。タイトコーナーでも一発で舵が決まり、修正舵も当てやすいため、ハンドリングを楽しみたい時はもちろん、日本ではたとえば中央自動車道のような、多様な高速コーナーが待ち構えるシークエンスにおいても絶大な安心感が得られそう。

「BMW ALPINA D5 S (4WD)」の価格は、1358万円。ディーゼルならではのトルク感はもちろん、ディーゼルであることを忘れさせるほどスムーズに回るエンジン、そして足の長さ(航続距離の長さ)を享受できます。

(文:塚田 勝弘/写真:井上 誠)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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