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■バイクの高速道路通行料、悲願の定率割引実施の時期が遠のく・・・?
バイク高速道路通行料の定率割引が具体化しつつあります。期間限定で普通車の半額に割り引くという試みです。しかし、国土交通省が実施時期を「2022年の開始」と設定したことで、自民党内の反発を招いています。説明を受けた「二輪車問題対策プロジェクトチーム」は、近く役員会を招集して対応を検討する予定です。
システム改修に1年必要?
バイク高速道路通行料の定率割引は、ライダーの積年の願いでした。背景には車種間のアンバランスな料金負担があり、自民党二輪車問題対策プロジェクトチーム(PT)は「我々も思うところはライダーと同じ。24時間365日、普通車の半額」(逢沢一郎座長)を掲げて、PT発足当初から見直しの柱と位置づけ、働きかけてきました。
これに対して、3月24日のPT総会で国土交通省高速道路課が示したのが、バイク通行料の定率割引です。ETC搭載車を対象とした申込制の「二輪車ツーリングプラン」の定額割引を、走行距離に応じて普通車の半額になる定率割引に再構築しました。
定額割引は宿泊を前提としているため、2~3日間有効ですが、定率割引は日帰り利用を想定し、利用予定日1日のみ有効。実施期間中の土日、祝日限定の予定です。ただ、この割引に同省が利用距離100km以上の条件を付けたことで、実施時期が2022年に遠ざかりました。
高速道路会社は割引システムの改修に1年近くかかることを明らかにしています。走行距離を基準とした割引は対象の抽出に課題が生じるというのが主な理由です。
逢沢一郎PT座長は、こう指摘します。
「定率割引はPTでも長い間、議論を続けてきました。今年の大型連休前に始めることは難しくても、夏休み前には目途を付けてもらえると考えていました。それが来年になるという。本当にそうだとすれば、どこに時間がかかるのか。短くすることはできないのか。専門家をお招きして聞いてみたい」
●条件次第では、実施はさらに先送り
利用条件についても、さまざま意見が出ています。
従来からのツーリングプランは、実施期間中は曜日に関係なく、申込期間に応じて割引されます。しかし割引方法が定額から定率になるだけで、土日、休日限定と、利用可能日が激減します。
また、割引が適用される距離条件の100kmについても、往復か片道かで使い勝手が大きく変わってきますが、未定です。
たとえば首都圏で片道100km以上ということになれば、代表的な温泉地である箱根(東京IC~小田原西IC)、国際レースが開催される富士スピードウェイ(東京IC~足柄S.IC)を目的地とした場合は割引対象になりません。観光振興を目的としていますが、条件を重ねていくことに効果はあるのでしょうか。再び逢沢氏はこう指摘します。
「スタートするなら多くの期待に応えて、より多くの人に使っていただけなければということです。関係者の間で相談したい」
調整に時間がかかると来年の実現がさらに遠くなるというジレンマもあり、難しい判断に迫られています。
(文・写真=中島みなみ)