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■通常バッテリーの寿命は2~3年、走行せず放置時間が長いと劣化は加速
●劣化具合はスターターの回転低下などで分かるが、バッテリー電圧の計測が最も確かな方法
バッテリーは使わなくても自然放電によって劣化が進むので、クルマに比べて走行頻度が低いバイクのバッテリーは劣化が進みやすい傾向にあります。一時的なバッテリー上がりは、充電によって回復でき、適度な頻度で走行すればバッテリーの性能は維持できます。
電装部品すべての電源を担うバッテリーのメンテナンスについて、解説していきます。
●バッテリーの種類
バイク用のバッテリーは、クルマと同様ほとんどが鉛バッテリーです。
鉛バッテリーは、正極に二酸化鉛PbSO2、負極に金属鉛Pb、電解質として希硫酸H2SO4で構成され、電極間の化学反応で充放電を繰り返します。充放電を繰り返すと電解(バッテリー)液中の水分が電気分解を起こして水素と酸素に分離し、バッテリー液が少しずつ減少します。
この電気分解への対応方法の違いによって、鉛バッテリーには「開放型」と「MF(メンテナンスフリー)型」」があります。これまで自動車では開放型、バイクではMF型が主流でしたが、近年は自動車にもMF型の採用が進んでいます。さらに最近は、リチウムイオン電池を使ったバイクも登場しています。
・開放型
ベント型とも呼ばれ、充電時に発生するガスを逃がすための排気孔があります。電解液中の水分が減るので精製水を補給する必要があります。
・密閉型
ガスの発生を抑えてバッテリー容器を密閉状態にしたもので、発生する水素と酸素をカルシウム合金の極板によって水に戻す方式です。MF(メンテナンスフリー)バッテリーと呼ばれ、バイクでは主流です。
・リチウムイオン電池
クルマの電動車で使われ、出力密度が高く小型軽量コンパクトが魅力です。最近、バイクでも採用され始めました。
●バッテリーの劣化と充電
走行中は、エンジンと連動するオルタネーター(発電機)が発電してバッテリーに充電するので、比較的走行頻度が高く走行距離の長い場合は、バッテリーが上がることはありません。しかし、走行頻度が低く、2週間以上放置するとバッテリーは電力容量不足になり、さらに放置するとスターターが回らなくなることがあります。
またバッテリーは、使用しなくても自然放電が起こるために電力容量は少しずつ減少します。そのため長時間使用しない場合は、バッテリーを外して放電を抑えることが大切です。
スターターの回転が弱い、ヘッドライトが暗い、ホーン音が弱いといった症状がでれば、バッテリーが上がり気味なのでバイクショップなどで充電するのが安心です。バッテリーの種類によって充電器は異なり、また充電中は水素ガスが発生したり、過充電になると破裂したりする恐れもあるので、自分でやろうとせず専門業者に任せましょう。
●バッテリーの交換が必要なのは
通常バッテリーの寿命は2~3年と言われていますが、運転状況や気温など使用環境によって変動します。適度にバイクに乗り、適切に充電を行っているにもかかわらず、次のような症状が出る場合はバッテリーの寿命がきた可能性があります。
・充電して一時的に復活しても、すぐにスターターの回転が弱々しくなる。
・バッテリー液の減りが早く、バッテリー端子に白い粉が付着している。
・キーONでエンジンを掛けずに、ヘッドライトやウィンカー、ホーンを作動させたときに明るさや音が弱々しい。
上記のような症状の場合は、バッテリー電圧が12.2Vより低下していると考えられます。
長期間走行してオルタネータで充電、あるいは充電器で満充電しても電圧が13V近くまで上昇しないときには、寿命であると判断できます。ちなみに、満充電状態のバッテリー電圧は13.0Vですが、電圧が12.2V以下だと電池容量は50%以下まで下がっているので、劣化が進んだ状態であると判断できます。
クルマと違って、バイクは冬場にあまり乗らないなど使用頻度が低いので、バッテリーは劣化しやすいと言えます。バッテリーを長持ちさせるには、小まめに乗って放置期間を減らす、乗らないときにはバッテリー端子を外す、電圧をチェックして電池容量が下がった状態で使用しないことなどです。