■大容量バッテリー搭載のドイツ勢の電気自動車の参戦を見込む
●給電不足、これで解消!
日本電気自動車レース協会(JEVRA)が新たな充電ユニットを用意し、これを公開しました。
JEVRAは、2010年から電気自動車(現在では、燃料電池車やプラグインハイブリッド車など電動駆動自動車も該当する)のみで行われているレース・シリーズをスタートさせています。JEVRAのレースでは、各サーキットへ充電環境を持ち込んでレースを行っています。
現在、日本国内で施設内に常設の急速充電器を設置しているサーキットは筑波サーキットのみですが、車載バッテリーを使い切るような戦いを展開するレースとなるため、予選後および決勝後の充電は欠かせません。そのため、JEVRAでは独自に移動式の充電ユニットを持ち込み、有料ではあるものの充電サービスを行うことで、EVレースを行っています。
これまでは、東洋電産の仕立てた充電サービストラック「T救号」を1台持ち込み、充電については希望者に抽選順で充電サービスを行なっていました。「T救号」は同社のNMG発電システム(トラック車載オルタネータをより発電能力の高いオルタネータに置き換えるシステムで、トラックのエンジン駆動で電気を得るシステム)と、蓄電バッテリーを搭載している2トントラック。
その荷台に急速充電器を搭載しており、その発電ユニットとバッテリーからCHAdeMO方式で各車両への充電を行なっていました。他にも各サーキットの施設電源から交流200Vでの充電なども行っています。
そんなEVレースですが、参加台数に大きな変動は見られないものの、各車両の「バッテリー容量の増大」が進行しており、さらに、これまで以上に大容量バッテリーを搭載した輸入EVの参戦を見込み、その充電システムの補強に踏み切ったというのが今回のテコ入れにつながりました。
今回は「T救号」以外に、新たに、電源車両を多数そろえ、野外コンサートなどでの電源サービスを行っているICCインターナショナルのサポートを受け、今シーズンからJEVRAレース開催サーキットへ電源車両が持ち込まれることになりました。
それに合わせ、デルタ電子製の壁掛け式DC25kWタイプの充電器(CHAdeMOおよびCCS対応機)を導入。これにキャスターをつけて現場での充電に対応するように改良しています。そしてもう1台、中国のELEVTWAY社の60kWタイプの移動式DC急速充電器です。こちらもCHAdeMO方式だけでなくコンボのCCSにも対応するモデルです。
どちらも超コンパクトな筐体に収められており、この2台の充電器はJEVRA事務局が直接会場に持ち込むといいます。JEVRAでは、電源充実でより多くの参加車両に迅速に充電サービスを提供できるとしています。
(青山 義明)