ライバルのいすゞと日野、そしてトヨタの3社が協業。「CASE」などの課題に共同で取り組む

■トヨタといすゞが再び資本提携

いすゞ自動車日野自動車トヨタ自動車の3社は、2021年3月24日、商用事業で新たな協業に取り組むことに合意したと発表しました。輸送、運送(物流)業界は「CASE」対応をはじめ、ドライバー不足、50%を切るという輸送効率、カーボンニュートラルという課題もあります。

いすゞ 日野 トヨタ
いすゞ、日野、トヨタの3社トップと新会社「Commercial Japan Partnership Technologies」のトップが会見を行った

大型車だけでなく、Eコマースの普及により個別・少量配達というニーズも急増していて、新たな枠組みが必要というのが3社一致した思惑のようです。

今回、発表された協業は、いすゞと日野が培ってきた商用事業基盤に、トヨタの「CASE」技術を組み合わせることで、「CASE」技術の実装、そして普及に向けたスピードを加速するのが狙いとしています。

上記のような、輸送業が抱える課題の解決、電動化が避けられない流れになっている中、カーボンニュートラル社会の実現に貢献することを目指すとしています。なお、いすゞと日野の日本における走行距離は、日本においてじつに4割を占めるそう。

また、トヨタといすゞが再び資本提携を結ぶことも発表されました。実は2018年8月に資本提携は解消されていましたが、今回、3社による協業の円滑な構築、推進を目指すため、いすゞとトヨタは、資本提携に関する合意書を締結しています。トヨタは、いすゞが実施する第三者割当による自己株式の処分により、いすゞの普通株式39,000,000株(2020年9月末日現在発行済株式総数に対する所有割合4.60%、割当後の議決権割合5.02%)総額428億円を取得する予定。また、いすゞは、市場買付により同額規模のトヨタ株式を取得する予定としています。

具体的には、今後3社は小型トラック領域を中心に、EV、FCV、自動運転技術、電子プラットフォームの開発に共同で推進するとしています。

いすゞ 日野 トヨタ
トヨタと日野自動車が共同開発しているFCトラック

EV、FCVは、3社が共同で取り組むことで、車両コストの低減をはかると共に、福島県における水素社会実証へのFCトラックの導入をはじめ、インフラと連携した社会実装を進め、普及に向けた取り組みを加速させていきます。

福島県は、浪江町に「FH2R(福島水素エネルギー研究フィールド)」があり、グリーン水素の活用ができる環境が整っています。また、3社のコネクティッド基盤をつなぎ、顧客の課題解決につながる商用版コネクティッド基盤を構築すると共に、様々な物流ソリューションの提供にも取り組んでいくとしています。商用車の輸送効率を向上させることで、CO2排出量の低減にも貢献したいと表明しています。

今回、3社の協業を推進するため、新会社「Commercial Japan Partnership Technologies(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)」を設立。新会社は、3社での議論を踏まえて、商用車における「CASE」技術、サービスの企画を担います。

いすゞ 日野 トヨタ
3社でCASE技術の実装を狙う

今後、いすゞ・日野・トヨタは、協業内容を深めるとともに、志を同じくするそのほかのパートナーとの連携についても、オープンに検討するそうです。

最大のライバルである日野、いすゞが組むことで、日本市場で8割をカバーすることになります。接着剤の役割も担うトヨタを含めた、3社の協業により物流の改革が進むことが期待されます。

塚田 勝弘

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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