■7年ぶりの日本人F1パイロットは二十歳のスーパールーキー。チームから求められるドライバーになることが目標
2021年シーズン限りでF1パワーユニットサプライヤーとしての活動を休止するとホンダが発表したことは広く話題となりましたが、それ以上に日本のモータースポーツファンの注目を集めているのが、今シーズンからF1パイロットとしてデビューする若干20歳(2000年5月11日生まれ)の角田裕毅(つのだ ゆうき)選手です。なにしろ日本人がF1に参戦するのは7年ぶりというのですから当然です。
さて、角田裕毅選手は4歳からレーシングカートを始めたというエリートで、2017年からはFIA-F4選手権に参戦、2018年には7勝を記録し、チャンピオンになりました。そして2019年にはFIA-F3選手権、2020年にはFIA-F2選手権に参戦。
2021年ついにホンダのパワーユニットを使うスクーデリアアルファタウリ(Scuderia Alpha Tauri)からF1デビューといった具合に、とんとん拍子にステップアップ、開幕前にバーレーンで開催されたテストでは全体として2位のタイムを記録したスーパールーキーです。
そんな角田裕毅選手が日本のメディア向けにオンライン記者会見を行いました。
まず、バーレーンでのテストについては「3日間のテストのうち最初の2日間はトラブルもあったけれど、最終日(3日目)は予選シミュレーション、レースシミュレーションができるなど満足いくものになりました。また、バーレーンは強風が吹くことが特徴ですが、風を利用して走るのは難しく課題と感じました」ということです。
とはいえ、マシンの感触としては悪くない印象で、テストで2番手タイムだったことについては「チームごとにやっていることも違うので単純に比較はできませんが、それでもうれしいです。自信につながります」と冷静かつ、しかし手ごたえを感じているようです。
またマシンについては「いまのF1はパワーステアリング付きで昨年モデルに乗った時にはグリップ感がわかりづらいと感じたのですが、バーレーンではそうしたフィーリングが悪化しないセットアップになっていて、乗りやすいと思います」と印象を教えてくれました。
オフシーズンから続けているトレーニングによって「レースディスタンスのドライブでも首が疲れないなど、体力的な部分でもF1に対応できていると感じた」という風に、しっかりとアジャストできているということも話していました。
そんな角田裕毅選手に憧れのドライバーを伺うと「ルイス・ハミルトン選手(メルセデス)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)です。チームから求められるようなドライバーになりたいです」と答えてくれました。
F1に参戦して満足するのではなく、勝てるドライバーになることを目指していることが伝わってきます。
今シーズンのプランも非常に高いレベルでイメージしています。
「F1の経験がないのでどんな風になるのか想像できませんが、パフォーマンスを出し切って、攻めていきたいと考えています。そして開幕戦はポイントが獲れたらいいなとも思います。ミスを恐れず、しかしミスは改善していくことでパフォーマンスを上げていきたいと思います。今年の目標はポイントを獲ること。表彰台も狙っている、優勝もしたいです。そして10月の鈴鹿グランプリが楽しみです。デグナーとスプーンは好きなコーナーなので、自信をもって走っていきたいと思います」と抱負を語ってくれました。
これまで多くの日本人ドライバーがF1にチャレンジしてきましたが、過去最高位は3位で、ベストラップを記録したドライバーもいましたが、ポールポジションと勝利を飾った日本人は存在していません。
慣れないオンライン記者会見ながら、しっかりとF1の世界で戦っていけるという自信を見せた角田裕毅選手には期待が高まります。ホンダ製パワーユニットでの日本人勝利というのは、今シーズンがラストチャンスになります。スクーデリアアルファタウリと角田裕毅選手の活躍を応援しましょう。
(山本 晋也)