■世界的にも珍しいミッドシップオープン軽自動車S660がついに生産終了
●最後の特別仕様「S660モデューロX バージョンZ」がカッコイイ!
ホンダはS660の生産を2022年3月いっぱいで終了することを発表しました。非常に残念な話なのですが、うれしい話題もあります。
S660にはエクステリア&インテリアパーツに加えて、専用サスペンションや専用ブレーキシステムなどを装着したコンプリートモデルとして「モデューロX」が設定されていますが、そのモデューロXをベースに、さらに魅力的なパーツを追加したモデル「S660モデューロX バージョンZ」が最後の特別仕様車として登場するのです。標準のS660、モデューロX、そしてモデューロX バージョンZのいずれもが2022年3月までの1年間は生産と販売が続けられます。
S660は、ホンダ技術研究所の設立50周年の記念として行われた「新商品記念コンペ」(2010年)で優勝。そのご褒美として、実物大のモックアップを作ることを許されました。しかしそれだけでは飽き足らず、どうせならと自走可能な試作車を作ってしまおうということになり、それをこっそりと作ってしまったというのです。その試作車が当時の社長の目にとまり、こんなものがあるなら量産しようということになったというのです。
21世紀の日本、それもホンダという大企業においてこうしたことが起きることは稀(まれ)だとも言えるでしょう。しかし、失われたかと思われていたクルマを作る人たちのパッションは確実に残っていたのです。
その後、ホンダ技術研究所は東日本大震災で被災、開発拠点を失いながらもS660はさまざまな苦労を乗り越えながら開発が進み、2015年4月に市販にこぎつけています。現在までの累計販売台数は3万台を超えています。
ホンダアクセスが開発した純正のカスタマイズパーツを装着したモデューロXが追加されたのは、2018年のことです。S660のモデューロXは、モデューロXとしては5機種目に当たるモデルでした。2020年1月にはベース車両、モデューロXともにマイナーチェンジを受けています。今回発売されるバージョンZは、Zがアルファベットの最後の文字であることから最後の特別仕様車であることを示すということで採用されました。ちなみに、S660の先輩に当たるビートの最終特別仕様車もバージョンZの名が付けられていました。
モデューロX バージョンZはモデューロXの装備に加えて、さらに装備をプラスしたモデルとなります。モデューロXにはCVTモデルも用意されますが、モデューロX バージョンZは6MTのみの設定で、ソニックグレーパールとプレミアムスターホワイトパールの2色のみ。価格は315万400円となります。装備については下記リストをご参照下さい。
■モデューロX専用装備(モデューロX、モデューロX バージョンZ共通)
●インテリア
・専用スポーツレザーシート(本革×ラックススェード/ボルドーレッド×ブラック/Modulo Xロゴ入り)
・専用アルカンターラ×本革ステアリング(ボルドーレッド×ブラック)
・専用Modulo Xロゴ入りメーター
・専用Modulo Xロゴ入りアルミ製コンソールプレート(Version Zは専用品となる)
・チタンシフトノブ×アルカンターラシフトブーツ(グレーステッチ)
・専用アルカンターラ×本革製サイドブレーキカバー(ボルドーレッド×ブラック)
・専用インパネソフトパッド(ボルドーレッド)
・専用フロアカーペットマット(デザインタイプ/ボルドーレッド×ブラック/Modulo Xアルミ製エンブレム付き)
●エクステリア
・グリル一体型フロントバンパー
・専用LEDフォグライト
・専用カラードドアミラー(ブラック)
・ロールトップ(ボルドーレッド)
・専用アクティブスポイラー(ガーニーフラップ付き)
・リアロアバンパー
・専用リアエンブレム
●足まわり
・15インチフロントアルミホイール&16インチリヤアルミホイール(ブラックパッタリング仕上げ、Version Zはステルスブラック仕上げとなる)
・専用サスペンション(5段階減衰力調整機能付き)
・ディスクロータードリルドタイプ
・スポーツブレーキパッド
■モデューロX バージョンZ専用装備(上記モデューロX装備に追加されるもの)
●インテリア
・インテリアパネル(メーターバイザーパネル部、カーボン調)
・インテリアパネル(助手席エアアウトレットパネル部、カーボン調)
・インテリアパネル(センターコンソールパネル部、カーボン調)
・ドアライニングパネル(ラックススェード×合皮/ボルドーレッド×ブラック/グレーステッチ)
・専用シートセンターバッグ(Modulo Xロゴ付き)
・専用Version Zロゴ入りアルミ製コンソールプレート
●エクステリア
・特別色として、ソニックグレーパールを設定
・エンブレムをブラッククローム調に変更(前後Hマーク、車名エンブレム、専用リアエンブレム)
・専用アクティブスポイラー(ガーニーフラップ付き)をブラック塗装に変更
・アルミホイールの塗装をステルスブラックに変更
(文・写真:諸星 陽一)