■超人気の原付二種スポーツが大幅にパフォーマンスアップ! 北米仕様だけのカラーリングも気になるゾ!!
コロナ禍において「密にならない移動手段」として二輪の人気が高まっています。中でも50cc超125cc以下の原付二種モデルは、四輪車の任意保険にファミリーバイク特約をつけることで保険をかけることができ、また、50cc以下の原付(一種)では課せられる30km/hの速度規制や二段階右折といった制限がないこともあって、とくに人気が高まっているという話を見聞きすることも多いのではないでしょうか。そして興味を持っている人も多いのでは?
そんな原付二種の中でも手軽にスポーツライドを楽しめるのが、12インチタイヤを履いたスポーツ・ミニモトでしょう。そのカテゴリーの最人気モデルである「ホンダ・グロム」が大幅なバージョンアップを受けました。
いや、バージョンアップというよりもフルモデルチェンジといったほうが適切かもしれませんが、メーカー自身は『エンジンと外観を一新』と表現していて、フルモデルチェンジという言葉は使っていないのです。たしかに、フレームはそのままであればフルモデルチェンジとは言いづらいのかもしれませんが……。
とはいえ、一般ユーザー目線でいうと、フルモデルチェンジにほかならないほどの進化を遂げています。実際、エンジンが完全に変わりました。ですから車両型式も「2BJ-JC92」と変わっています。
新開発されたJC92型・空冷単気筒エンジンのスペックは、ボア×ストロークが50.0×63.1mm、排気量は123ccで圧縮比は10.0。最高出力7.4kW/7250rpm、最大トルク11Nm/5500rpmとなっています。そして、この新エンジンには5速MT(従来は4速MT)が組み合わされているのです。
ミニモトとは思えない塊感のあるスタイリングで特徴的なのは、サイドビューのアクセントとして、カウル取付けボルト周辺に円形のガーニッシュを採用したことでしょう。これにより、スポーツ一辺倒ではない遊び心を演出しています。
この取付けボルトをシンプルな構造としているのは、カウルやサイドカバーの脱着を容易にするため。愛車のメンテナンスやカスタマイズがしやすいような配慮ということです。
ヘッドライトはLEDタイプとなり、ホイールは軽快なイメージのある5本スポークとしています。フロントフォークやブレーキキャリパーはゴールドとされ、リアショックのスプリングはイエローにペイントされているのも原付二種というクラスを超えたスポーツ心を感じさせる部分。単なる移動の足ではなく、所有する喜びを感じさせてくれるスポーツ原付二種に仕上がっています。
デジタルメーターに、ギアポジションインジケーターとREVインジケーターを追加したのもスポーツライドの楽しさを高めてくれるポイントです。
さらに、安全性についてもフロントに1チャンネルABSを標準装備するなど、久しぶりにバイクに乗るリターンライダーにもぴったりの仕様となっているのも見逃せません。102kgと軽量なボディ、761mmという低いシート高も、フレンドリーなスペックといえるでしょう。それでいて、前述のように5速MTを駆使したライディングも味わえるのです。
そんな新型グロムの価格は、消費税込み38万5,000円。ボディカラーは、フォースシルバーメタリックとマットガンパウダーブラックメタリックの2色で、2021年3月25日からの発売となっています。
さて、新型グロムは原付二種だからといって日本専用モデルではありません。タイで生産されるグローバルモデルです。
そして海外では日本にないカラーリングが設定されています。たとえば、アメリカでは日本仕様と同じゴールドのフロントフォークやイエローのリアスプリングなどを備えるスポーティグレードとしてGROM SPがラインナップされていますが、こちらにはパールホワイトのカウルに赤と青でアクセントを入れたトリコロールカラーが用意されています。
ホイールもゴールドとなったこのカラーリングは、ワークスカラーを思わせるもので、日本でも生粋のホンダファンであれば物欲を刺激されるのでは?
アメリカ仕様では最上級グレードにしかABSが装備されておらず、そのグレードはシルバーのフロントフォークとなっています。かの地のファンからすると、ゴールドのフロントフォークとABSが標準装備になっている日本仕様のほうが魅力的に映るかもしれません。
そして、アメリカ仕様の価格は3,399~3,599ドル。1ドル108円で換算して装備差を勘案すると、日米での価格差はないに等しいといえます。このあたりの価格設定もグローバルモデルらしいといえそうです。
(山本 晋也)