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■ラウンドシェイプのキュートなデザイン
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車体やエンジンが小さいだけでなく、法定速度30km/hの縛りがある原付スクーターは、そのままでは長距離ツーリングやスポーツ・ライディングに向くマシンとはいえません。
原付スクーターがいちばん輝くステージは、なんといっても身近なストリート。ホンダ・ジョルノのデザインも、ふだんの街暮らしに映えるライトな美しさをめざしたものです。
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ジョルノのデザインは、円と曲線を大胆にフィーチャーしたもの。可愛らしさや親しみやすさ、軽やかさ、躍動感といったジョルノの特性を強く印象づけるデザインです。
マシンのどの一部をみても、できるだけ直線を避け、細部までていねいに円と曲線で構成されていて、そのみごとな徹底ぶりに驚かされました。
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ヘッドライトやウインカーももちろん丸型。でも、ただ正面から見て丸いだけじゃなく、レンズ面が丸く飛び出していることで、真横からみてもコロコロ丸っこくて可愛いビジュアルを実現しています。
■シンプルで使いやすいインパネとスイッチ類。
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ジョルノのインパネはとてもシンプル。大きな丸いメーターは見やすいだけでなく、インパネのデザインの主役ともなっています。
ジョルノにはアイドリング・ストップ・システムも搭載されています。右手側にあるスイッチを入れておけば、信号待ちなどでバイクが止まると自動的にエンジンが止まり、スロットルを開ければ、すぐにエンジンが再始動して走り出せる仕組みです。
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左ブレーキの付け根には、ブレーキのストッパーがあります。自動遠心クラッチのスクーターは、坂道で停止すると、ライダーの意図に反して動きだしてしまうことも。
確実にバイクを停めておきたいとき、レバーを固定してブレーキをかけっぱなしにできるストッパーは意外と便利な装備です。ストッパーをかけたままバイクを足でこいでブレーキの利きぐあいをチェックしてみましたが、ちょっとやそっとでは動かないほどがっちり止まっていました。
■便利な実用機能もいっぱい
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メインキーには、シャッター付きキーシリンダーが使われていて、駐車中のいたずらや盗難防止に効果を発揮します。操作しやすいシートオープナー・スイッチもすぐそばに。
右側のインナーラックには、500mlサイズのペットボトルがらくらく収納できます。左のグローブボックスの奥にはスマホなどの充電ができるアクセサリー・ソケットが隠れています。真ん中にあるのは、リング状の大型フック。使う時だけ手前に起こしてバッグなどがかけられます。
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シートを開けると、容量たっぷりのラゲッジボックスが現れます。ヘルメットはもちろん、ちょっとした荷物なららくらく入るサイズ。グローブボックスやインナーラックと合わせると、通勤・通学や日ごろのお買い物になら十分な収納スペースがありそうですね。
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原付スクーターは、あらゆるバイクのなかでもいちばん身近なバイク。専門用語も特別なテクニックも知らない人たちが乗ることが多いだけに、飛びぬけた性能よりも、扱いやすさや親しみやすさが厳しく問われるマシンだといえるでしょう。
初代ジョルノが誕生してからまもなく30年、この小さな最新バイクは、長い熟成の歴史と環境性能を可愛いボディにとじこめて、にぎわう街を今も元気に走り続けています。
【ホンダ ジョルノ・デラックス 主要諸元】
全長×全幅×全高:1650mm×670mm×1035mm
シート高:720mm
エンジン種類:水冷4ストロークOHC単気筒
総排気量:49cc
最高出力/最大トルク:4.5ps/0.42kgm
燃料タンク容量:4.5L
タイヤ(前・後):80/100-10 46J
メーカー希望小売価格:20万3500円(税込)
(文:村上菜つみ 写真:高橋克也)
【関連リンク】
ジョルノ・デラックス Official Site
https://www.honda.co.jp/GIORNO/
村上菜つみさんがホンダ・ジョルノ・デラックスで出かけたツーリング記事は、月刊誌「モトチャンプ」2020年11月号(10月6日発売)に掲載されています。