製作から売り込みまで実習。学生フォーミュラ日本大会2021、開催へ向け参加チーム決定

■学生フォーミュラ、2021年の開催へ向け参加チーム決定!

2003年から日本国内で毎年開催されてきた「学生フォーミュラ」。昨年(2020年)は新型コロナウィルスの感染拡大を受けて日本大会史上初の開催中止となりましたが、先日今夏に開催予定の「第19回学生フォーミュラ日本大会2021」の大会参加チームのリストが発表されました。

学生フォーミュラ日本大会2019
学生フォーミュラ日本大会2019

学生フォーミュラというのは、1981年にアメリカで開催された「Formula SAE」がその始まりです。

その名の通り、学生たちが実際にフォーミュラマシンを製作するというものづくりを体験しながら、そのアイデアや技術を競うもので、世界各国でほぼ同一のルールで開催されています。現在はアメリカ・イギリス・イタリア・インド・オーストラリア・オーストリア・オランダ・カナダ・スペイン・タイ・チェコ・ドイツ・ハンガリー・ブラジル・ロシア・韓国・中国・日本で競技会が行われています。

学生フォーミュラ日本大会2019表彰式
学生フォーミュラ日本大会2019表彰式

小型フォーミュラマシンを作り、それを走らせて性能を競うだけのように思われがちですが、その詳細は、まず学生自らがその小型フォーミュラカーを使ったビジネスの構想をし、それを売り込むというところからスタートします。

そしてその車両の設計から実際の製作までを行ったマシンを、用意されたコースで走らせて、その走行性能を実証することになります。実際に車両の製作というモノづくりはもちろん、学生自らが走行の場で走行を行いますし、その車両を売り込むプレゼンテーションも必要で、車両の性能評価やデザイン性だけでなく、さまざまな角度からの審査が行われるのです。

中止となってしまった昨年の第18回「学生フォーミュラ日本大会2020」には、124チームの申し込みがありました。その内訳は、国内ICV(ガソリン自動車)クラス:71チーム、海外ICVクラス:27チーム、国内EV(電気自動車) クラス:10チーム、海外EVクラス:16チームというものでした。

今大会はこのコロナ禍の影響も国内からの申し込みは、ICV:63チーム、EV:12チームの合計75チームからありました。

昨年までも本大会に臨む正式の参加登録は国内外合わせて98校を上限としていましたが、今回はそのコロナ禍の影響を踏まえ、海外チームの受け入れを取り止めることとし、参加チームも70チームを正式参加登録上限としたということです。

2019年大会優勝の名古屋工業大学
2019年の大会で優勝した名古屋工業大学。中止となった昨年ン大会に引き続いてゼッケン1をつけることに

その本大会に臨める70チームの選定には、直近の過去2大会(第16回大会および第17回大会)で総合20位以内に入っている24チームが、いわゆるシードということで選定されました。さらに、今回はEVクラスに申し込みをしたチームという項目が追加されました。こういったところにも電動化の波が押し寄せているのかもしれません。

そして、EVクラスに挑戦する12チームはそのまま選定となりました。また、主催者が特例として認めたチームが選定され、残りは受け付けの先着順となり、ICV:58チーム、EV:12チームが正式な参加チームとなり、ウエイティングリストに5チームが並ぶことなりました。

「第19回学生フォーミュラ日本大会2021」は、2021年9月7日(火)~11日(土)の5日間に渡って、静岡県袋井市/掛川市のエコパ(小笠山総合運動公園)で開催となります。

正式参加が決定したチームはこれからこの本大会に向けての車両製作と同時進行で、審査関係書類の提出を行っていかねばなりません。等価構造計算書といった車検に関する書類の提出の締め切りは3月と早く、さらに6月になるとコスト関連やデザイン、そしてプレゼンテーションの審査のための書類提出も求められることとなります。

(青山 義明)

この記事の著者

青山 義明 近影

青山 義明

編集プロダクションを渡り歩くうちに、なんとなく身に着けたスキルで、4輪2輪関係なく写真を撮ったり原稿書いたり、たまに編集作業をしたりしてこの業界の片隅で生きてます。現在は愛知と神奈川の2拠点をベースに、ローカルレースや障がい者モータースポーツを中心に取材活動中。
日本モータースポーツ記者会所属。
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