プレミアム感にあふれるEクラス カブリオレ&クーペ【メルセデス・ベンツE300クーペスポーツ&カブリオレスポーツ試乗】

■これぞEセグプレミアムと感じられる贅沢さ

メルセデス・ベンツ Eクラスのビッグマイナーチェンジモデルは、まず2020年9月にセダン系とステーションワゴン系が日本に導入、続いて2020年10月にクーペ系&カブリオレ系が導入されました。

E300カブリオレフロントスタイル
E300カブリオレのスポーツフロントスタイル

クーペ&カブリオレは、セダン&ステーションワゴン系よりも65mmホイールベースが短い2875mmとなり、全長もセダン比で95mm短く設定されました。対して全幅は10mm広く、全高はセダン比で30mm程度低くなっています。

E300カブリオレフリヤスタイル オープン
E300カブリオレスポーツのリヤスタイル(オープン状態)
E300クーペスポーツ リヤスタイル
E300クーペスポーツのリヤスタイル

エクステリアで大きく変更を受けたのはヘッドライトデザインで、従来よりも上下長が抑えられたことにより若干の切れ長感が増しました。グリルは底辺が長い台形となり、クローム仕上げのダイヤモンドグリルとなっています。

また、AMGラインエクステリアが標準装備となったことで、よりスポーティなスタイリングを実現しています。

Eカブリオレ真横スタイリング
E300カブリオレスポーツ真横スタイリング
E300クーペスポーツ真横スタイリング
E300クーペスポーツの真横スタイリング

エクステリア以上に大きな変更を受けたのがインテリアです。なかでもステアリングデザインの変更は、インテリアの雰囲気を一変させました。

基本デザインはT字型の3本スポークですが、それぞれのステアリングが2本となっているのです。

現代のクルマはADASの採用などをはじめとして、スイッチ類が爆発的に増えています。それを収めるためのステアリングはもっさりしたデザインになりがちですが、メルセデスはスポークを2本とすることで収容できるスペースを確保するとともに、ブラインド操作での操作性を向上しています。

E300カブリオレスポーツ インパネ
E300カブリオレスポーツのインパネ
E300カブリオレスポーツフロントシート
E300カブリオレスポーツのフロントシート

E300系に搭載されるエンジンはツインスクロールターボ付きの2リットル4気筒で、最高出力は258馬力・最大トルクは370kWとなります。組み合わされるミッションは9速ATです。

低速からしっかりとしたトルクを発生する特性はプレミアムEセグメントのクーペ&カブリオレとのマッチングはとてもいいものです。ミッションが9速と多段化されていることもあり、ギヤのつながりはスムーズでシフトアップ、シフトダウンともにシームレスです。

E300系エンジン
E300系に搭載される2リットルの直4エンジン
E300系ホイール
細めの10本スポークホイールはスポーティな雰囲気

また、このマイナーチェンジから、ステアリング保持の有無を静電容量式に変更しました。

従来は入力トルク検知タイプだったので、ACCを働かせて高速道路を巡航している際もステアリングに何らかの入力がないと、ステアリング保持を促されるアラートが出ましたが、新しいタイプは静電容量式なのでステアリングに触っていれば(といってもしっかり触ってないとダメなことが多いようです)、操作なしでACCを使い続けられます。

E300カブリオレスポーツ リヤシート
E300カブリオレスポーツのリヤシート

E300は純粋なエンジン車ですが、E300の下にE200というモデルも用意されます。

E200は1.5リットルエンジンに48Vのマイルドハイブリッドシステムを組み合わせたものです。セダンのE200は車格とパワーユニットのマッチングが感じられるモデルでしたが、このクーペやカブリオレに1.5リットルのマイルドハイブリッドと考えるとちょっと役不足さを感じます。

もちろん、実用上はなんの問題もないのですが、そもそもEセグメントのクーペやカブリオレという存在と質実剛健な1.5リットルマイルドハイブリッドの組み合わせがとても釣り合わないイメージなのです。

E300カブリオレスポーツ トランク
E300カブリオレスポーツのトランク。上部にはソフトトップを収納するスペースが確保されている
E300クーペスポーツのトランク
E300クーペスポーツのトランク。クーペとしては広めのスペース

インフォテイメント関係も大幅に充実しました。モニターは12.3インチのワイドスクリーンに変更、テレビCMでもおなじみの「ハイ・メルセデス」で起動(実際はメルセデスだけで起動する)する対話型インフォテイメントシステムの「MBUX」を搭載。ナビにはAR (Augmented Reality = 拡張現実) を採用。

フロントカメラが捉えた現実の景色をナビゲーション画面の一部に映し出し、進行方向にに矢印を表示。より直感的に進むべき方向を認識できるようになりました。

E300クーペスポーツ トランクスルー
E300クーペスポーツはトランクスルーも備える

(文・写真:諸星 陽一)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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