■これぞEセグプレミアムと感じられる贅沢さ
メルセデス・ベンツ Eクラスのビッグマイナーチェンジモデルは、まず2020年9月にセダン系とステーションワゴン系が日本に導入、続いて2020年10月にクーペ系&カブリオレ系が導入されました。
クーペ&カブリオレは、セダン&ステーションワゴン系よりも65mmホイールベースが短い2875mmとなり、全長もセダン比で95mm短く設定されました。対して全幅は10mm広く、全高はセダン比で30mm程度低くなっています。
エクステリアで大きく変更を受けたのはヘッドライトデザインで、従来よりも上下長が抑えられたことにより若干の切れ長感が増しました。グリルは底辺が長い台形となり、クローム仕上げのダイヤモンドグリルとなっています。
また、AMGラインエクステリアが標準装備となったことで、よりスポーティなスタイリングを実現しています。
エクステリア以上に大きな変更を受けたのがインテリアです。なかでもステアリングデザインの変更は、インテリアの雰囲気を一変させました。
基本デザインはT字型の3本スポークですが、それぞれのステアリングが2本となっているのです。
現代のクルマはADASの採用などをはじめとして、スイッチ類が爆発的に増えています。それを収めるためのステアリングはもっさりしたデザインになりがちですが、メルセデスはスポークを2本とすることで収容できるスペースを確保するとともに、ブラインド操作での操作性を向上しています。
E300系に搭載されるエンジンはツインスクロールターボ付きの2リットル4気筒で、最高出力は258馬力・最大トルクは370kWとなります。組み合わされるミッションは9速ATです。
低速からしっかりとしたトルクを発生する特性はプレミアムEセグメントのクーペ&カブリオレとのマッチングはとてもいいものです。ミッションが9速と多段化されていることもあり、ギヤのつながりはスムーズでシフトアップ、シフトダウンともにシームレスです。
また、このマイナーチェンジから、ステアリング保持の有無を静電容量式に変更しました。
従来は入力トルク検知タイプだったので、ACCを働かせて高速道路を巡航している際もステアリングに何らかの入力がないと、ステアリング保持を促されるアラートが出ましたが、新しいタイプは静電容量式なのでステアリングに触っていれば(といってもしっかり触ってないとダメなことが多いようです)、操作なしでACCを使い続けられます。
E300は純粋なエンジン車ですが、E300の下にE200というモデルも用意されます。
E200は1.5リットルエンジンに48Vのマイルドハイブリッドシステムを組み合わせたものです。セダンのE200は車格とパワーユニットのマッチングが感じられるモデルでしたが、このクーペやカブリオレに1.5リットルのマイルドハイブリッドと考えるとちょっと役不足さを感じます。
もちろん、実用上はなんの問題もないのですが、そもそもEセグメントのクーペやカブリオレという存在と質実剛健な1.5リットルマイルドハイブリッドの組み合わせがとても釣り合わないイメージなのです。
インフォテイメント関係も大幅に充実しました。モニターは12.3インチのワイドスクリーンに変更、テレビCMでもおなじみの「ハイ・メルセデス」で起動(実際はメルセデスだけで起動する)する対話型インフォテイメントシステムの「MBUX」を搭載。ナビにはAR (Augmented Reality = 拡張現実) を採用。
フロントカメラが捉えた現実の景色をナビゲーション画面の一部に映し出し、進行方向にに矢印を表示。より直感的に進むべき方向を認識できるようになりました。
(文・写真:諸星 陽一)