■国産のクロカン王者にふさわしい巨体と加速フィール
2020年12月に開催されたIS、LSを中心としたレクサスのプレス向け試乗会には、大型SUVのLX570もありました。
筆者が乗るのは2、3回目で、運転席によじ登るように乗り込むと、大型クロカンらしい高い着座位置とアイポイントの高さを味わえます。なお、乗降時に車高を下げる4輪アクティブハイトコントロールサスペンション&アダプティブバリアブルサスペンションシステムが備わります。
全長5080×全幅1980×全高1910mmという小山のように大きなボディに、5.7L(5662cc)のV8エンジンを搭載。足元には275/50R21 110Hタイヤと切削光輝のアルミホイール(4万8400円のオプション)が装着されています。
スタートから驚くのは、パワステの重さで、トヨタ(レクサス)としては、重ステをのぞき、あまり経験したことがないほど。ドライブモードにより、ステアリング操作のギヤ比を変えるギヤ比可変ステアリング(VGRS)が備わりますが、「NORMAL」モードでもパワステは重くなっています。とはいえ、オーナーになれば十分慣れる範囲ともいえますが。
さらに、アクセルもブレーキのタッチもかなり重め。悪路で少しずつ進むクロカン四駆とすれば、必要なフィーリングなのでしょう。また、オプションの21タイヤの影響なのかは分かりませんが、ラダーフレームとリジッドサスらしい乗り心地は、重厚感が終始ありながらも揺すぶられるシーンもあります。
一方で、2680kgという超重量級ボディは、良路であればゆったりとした乗り心地を堪能できます。
こうした乗り味は、パワステの重さをのぞくと織り込み済みという方も多いはずですが、メルセデス・ベンツのGLSなどは巨体にかかわらず低速域の振る舞いは軽やかなので、ラグジュアリーなイメージのあるレクサスというブランドからするとかなり骨太な仕立てになっています。またコーナーでは、重心が高そうに見えても下半身はどっしり構えていて、それほど飛ばさなければその大きさを除けば案外扱いやすいのも美点。
377PS/5600rpm・534Nm/3200rpmという大排気量の5.7L V8エンジンは、巨体を豪快に加速させるトルク、パワーを備えていて、5人フル乗車(試乗車は2列5人乗り仕様)でもモアパワーを抱かせるシーンは少なそう。インパネのスイッチ類などは、トヨタ・ランドクルーザーと近いものを抱かせますが、全長は130mm長く、全幅は10mmワイドで、全高も30mm高くなっています。
さらに、フロントマスクにはスピンドルグリルが鎮座しています。そして何より、5.7L V8エンジンの強大なアウトプット、「レクサス」というブランドエンブレム、ランクルとの格の違いを見せる雰囲気が魅力といえるでしょう。
なお、試乗車の車両本体価格は1135万6481万円。先述した21インチタイヤ、26万4000円のリヤシートエンターテインメントシステム、26万6200円の“マークレビンソン”リファレンスサラウンドシステム、2万4200円のおくだけ充電のオプションも含めると、1195万9281円となっています。
(文:塚田 勝弘/写真:井上 誠)