■安定感の高さとFRベースらしいフットワークを両立
以前お伝えしたように、2ドアクーペであってもリヤシートの乗降性を除けば、大人4人でも実用になる居住性・積載性を備えている新型BMW4シリーズクーペ。
試乗車は「M440i xDrive Coupe」で、最高出力387PS/5800rpm・最大トルク500Nm/1800-5000rpmを発揮する3.0Lの直列6気筒BMWツインパワーガソリンターボ(ツインスクロール)エンジンが搭載され、ヨーロッパ仕様値の0-100km/h加速は4.5秒というなかなかの俊足を誇っています。
車両重量は1740kgと決して軽くはありませんが、動力性能はそれを感じさせないほどトルク感で、高速域の伸びも素晴らしく、BMWのストレート6に期待するスムーズなエンジンフィールも非常に魅力的です。
3人乗車で箱根ターンパイクを走っても登坂時でもパワフルに、下り坂でもよく利くブレーキやコントロール性の高いハンドリングにより安定感抜群です。
駆動方式は、その名のとおり電子制御式の4WD「xDrive」で、「Mアダプティブサスペンション」「Mディファレンシャル」の搭載により、荒れた路面でも高い安定性、コントロールのしやすさとスポーティな走りを兼ね備えています。それでもFRベースの4WDらしく、大小多様なコーナーでも曲がりやすいのも印象的。
387PS/500Nmというハイパワー、分厚いトルクを安心して走らせられますし、飛ばす時には、ドライバーの力量に応じた安定感とドライバビリティをもたらしてくれます。
さらに、ダイレクト感とスムーズさを兼ね備えた8速スポーツATの仕上がりも秀逸で、上り坂、下り坂を問わず最適なギヤ選択をしてくれるのはもちろん、手元のパドルシフトで自在に変速できます。
一方で、「Mアダプティブサスペンション」とランフラットタイヤの組み合わせは、「Comfort」にしても基本的には足は硬く引き締まっていて、とくに路面の状態が悪い場所では揺すぶられるシーンもあります。とはいえ「Comfort」で路面がよければしなやかな足の動きも確認できます。「Sport」以上でははっきりと引き締まり、スポーツ走行に対応してくれます。
「M440i xDrive Coupe」を指名するのならこうした乗り心地も考慮に入れておいた方がいいかもしれません。
もし、縦型のキドニーグリルなど、デザインに惚れたというのであれば、今回は試乗できませんでしたが、ベーシックな「420i クーペ」を選ぶ手もありそう。
こちらには、最高出力184PS/5000rpm・最大トルク300Nm/1350-4000rpm を発揮する高効率な2.0L直列4気筒ターボが搭載されていて、必要十分な動力性能を備えているはずです。
(文:塚田 勝弘/写真:前田惠介)