■波に乗れないまま迎えた週末
近年、ストフェル・バンドーンやピエール・ガスリーなどF1に昇格する直前のドライバーがフル参戦し、今シーズンもタチアナ・カルデロンやセルジオ・セッテ・カマラなど現役F1テストドライバーが参戦する、今や世界中から注目を集めている全日本スーパーフォーミュラ選手権。
その直下のカテゴリとして、全日本F3選手権に代わって今シーズンから開催されている全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権(SFL)に今シーズン、FIA-F4選手権F4 JAPANESE CHAMPIONSHIPで2018シーズン2位、昨シーズンはFIA-F3で世界を相手に戦ってきた名取鉄平選手がフル参戦しています。
2020年12月5〜6日に三重県・鈴鹿サーキットで開催されたSFL。もちろんそこには名取選手の姿がありました。
前回大会のオートポリスでは、2位を含む3戦全戦で表彰台を獲得しポイントランキングでも3位に浮上。残るこの鈴鹿大会と最終戦富士大会では、今シーズン初優勝の期待と同時に、同ポイントで並ぶライバルとのシリーズ争いも非常に気になるところです。
そんな週末の3連戦を前に木曜から精力的に走行を重ねた名取選手ですが、初日はトップから約3秒落ちでマスタークラスを除いた8台中7番手、2日目はこの日の最多周回数を記録し自己ベストタイムを更新しますが、それでもトップとは専有走行とはいえ約1.6秒のビハインドとなり、非常に苦しい状態でレースウィークに突入しました。
こうして迎えた5日。この日はまず8:15から30分間の予選が行われました。この予選ではこの週末行われる3レースのうち、ベストタイムがレース1の、そしてセカンドベストがレース2のグリッドとなるため、各マシン前半10分と後半10分でニュータイヤに履き替えつつ2回のタイムアタックを行います。
名取選手はなかなか本調子とは言えない中、レース1では6番手、レース2では5番手タイムをマークします。
スーパーフォーミュラ決勝後に行われるレース1は、このレース結果が翌日午後に行われるレース3のグリッドに反映されるため、もちろんどのレースも上位でのチェッカーを目指していますが、次のレースを優位に進めるためにも重要な一戦となります。
ところが予選で6番手をマークした名取選手ですが、実はこの週末にエンジン交換を行っていたため、予選結果から5グリッド降格となり最後列11番グリッドからのスタートとなっていました。
●魅せるレースで連続ポイントを獲得するも…
陽もだいぶ傾き、鈴鹿サーキット東コースではその多くが影に覆われる中、12周の決勝レース1がスタート! 抜群のスタートを決めた名取選手は1コーナーまでに2台のライバルを抜き去り、S字までにさらに2台をオーバーテイク。ヘアピンでも1台をパスし、オープニングラップで一気に5台抜きの6位までジャンプアップしてきます。
1周目からオーバーテイク連発でまたも「魅せる」レースを展開する名取選手は、その後もライバルとの5位争いで果敢に攻めの走りを披露。ライバルのペナルティもありレース1を5位でフィニッシュし、6戦連続となる貴重な2ポイントをゲットします。
翌6日は朝8時からスタート進行が始まり、8:25から前日のレース1と同じ12周でレース2が行われました。3列目5番グリッドからレース2に臨んだ名取選手は、レース1と同じく1周目のS字でライバルをオーバーテイクし4番手に浮上。このレース2では4台が1パックとなった3番手争いを抑えきり、3位表彰台を獲得します。
そしてスーパーフォーミュラ決勝後に行われたレース3では、レース1と同じく5位入賞。この鈴鹿大会では9ポイントを獲得します。しかし今大会前に同ポイントだったライバルは17ポイントを獲得したことから、8ポイント差をつけられてしまいシリーズランキング4位で最終戦を迎えることになりました。
この結果について名取選手からは
「今週末は走り出しから長いトンネルに入ってしまい、前回オートポリス大会のように波に乗れていなかったんですが、その中でも毎レースベストを尽くす事ができました。特にレース2では、上位陣のリタイアなど実力以外の要素もありましたけど、後ろから猛追されながらも抑えきることができて、正直今週末の自分の状態で考えたら価値のある3位だったかなとポジティブに捉えています。あとはレース3で前に抑えられた時に抜ききることができずにペースを上げることができなかったので、レース中にプランを立てながらオーバーテイクできるようにするという課題が見つけられたというのも、今回のレースでの収穫になったと思います」
と、コメントをいただきました。
そして最終戦となる富士大会に向けては「最終戦ということでチームとしても今シーズンの集大成ということで、今シーズンはポールポジション、そして2位も3位も取っていて残るは優勝だけなので、とにかく優勝目指して頑張りたいです。富士は正直特別得意というわけではないのですが、今まではタイムを含めていい結果を残せてきているので、相性がいいのかなと思っています。なので自分自身楽しみながらレースをしたいと思います」と心強い意気込みを話してくれました。
その最終戦富士大会は年も押し迫る12月19〜20日に開催されます。
開幕戦ではスーパーフォーミュラにもダブルエントリーし、来シーズンの去就も気になる名取選手のSFLでの活躍を観に、富士スピードウェイまでぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?
(H@ty)
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