■エントリーモデルの「E 200」でも動力性能は必要十分
ビッグマイナーチェンジを受けたメルセデス・ベンツ Eクラス。セダンだけでなくステーションワゴンも同様の変更を受けています。
外観は「AMGラインエクステリア」になり、「AR(拡張現実)ナビゲーション」が採用され、「MBUX」は従来の「ハイ、メルセデス」という呼びかけには反応せず、「ハイ、メルセデス・ベンツ」と呼びかけることで対話型インフォテイメントシステムとして使えます。
ここでご紹介する「E 200 Stationwagon Sports(BSG搭載モデル)」は、直列4気筒の1.5Lガソリンターボを搭載。トランスミッションは9速ATで、エンジンスペックは135kW(184PS)/5800-6100rpm・280Nm/3000-4000rpmとなっています。
車両重量は同グレードのセダンが1720kgであるのに対し、こちらのステーションワゴンは1830kgと、後者の方が110kg重くなっています。
同パワートレーンは、低速域(2500rpm以下)で10kW/38Nmというモーターアシストが加わり、ストップ&ゴーが続く街中では効果が感じられる一方で、駆動を担う主役は、あくまでエンジン。高速道路での合流時や追い越し時などで多少のパンチ不足を感じるシーンはあるものの、普通に走らせる分にはストレスを感じさせるほどではありません。
また、セダンより重いワゴンであっても、路面の凹凸を素直に伝えてくる結構な硬さも似た印象。「E 200」のセダン、ワゴンに標準装備の「AGILITY CONTROL」サスペンションは、負荷に応じて減衰力を高める可変ダンパーになっています。
電子制御ではなく、ダンパー内のコントロールピストンでオイルの流れをコントロールするシステムになっていて、自然な減衰力変化を謳っています。確かに、高速でのコーナリングや回り込んだコーナーなどの高負荷域では安定感が高まり、高速域ではフラットライド感が得られます。
セダンと比べるとコーナリング時にリヤの追従性や剛性感、音・振動面などは若干劣る印象がありますが、ワゴンに対するネガティブなイメージを想起させるものではなく、前席に座った印象だと十分に快適なキャビンといえます。
また、運転席で身長171cmの筆者が運転姿勢を決めた後席には、膝前にこぶしが縦に2つ強、頭上にはこぶしが1つと手の平1枚ほどの余裕が残ります。後席は床から座面までの高さが少し低めで、背もたれは立ち気味。背筋を伸ばすような着座姿勢になります。なお、後席の足元、頭上共に十分なスペースが確保されていますが、前席座面下に足はほとんど入りませんので、足を伸ばして座るような姿勢にはなりません。
ステーションワゴンのラゲッジスペースは広大で、後席は4:2:4分割可倒式を採用。荷室容量は640L〜1820Lで、ライバルのBMW 5シリーズツーリングの570L-1700Lよりも大きくなっています。
(文:塚田 勝弘/写真:井上 誠)