GRヤリスのラゲッジスペースは狭い? いや、結構使えるサイズだった

■リアシートが狭いと評判のGRヤリス

トヨタが満を持して世に送り出した4WDスポーツカーのGRヤリス。

GRヤリス RZ“High performance”
GRヤリス RZ“High performance”

RZグレードやRZ”High performance”に搭載された1.6リッターターボとフルタイム4WDの組み合わせには圧倒的なパワーを感じますが、しかし普段使いもしやすい気軽さも兼ね備えています。

GRヤリス RZ“High performance”のフロントシート
GRヤリス RZ“High performance”のフロントシート

インテリア面でもRZ”High performance”に専用装備されたプレミアムスポーツシートはシートバックの形状が適切で腰に優しい感じがします。またサイドサポートもしっかりしてヨーロッパブランドのスポーツシートにも引けを取らないものだと思います。

GRヤリス RZ“High performance”のリアシート
GRヤリス RZ“High performance”のリアシート

しかし装備全部乗せのRZ”High performance”であっても1.5リッターCVTでJBLサウンドシステムを取り付けることすらできないRSでもリアシートは合成皮革の窮屈なもの。

シート自体の作りは悪くはないものの、夏場にエアコンを切って乗ったら間違いなく汗でべったり。それに4WDのシャフトが通るフロアトンネルがあるためでしょうか、リアシートは二人掛けの乗員4名設定。これはもうリアシートは補助席と考えてもいいような気がします。

ただしチャイルドシート用のISO FIXは2席分あるので、お子様がいるご家庭なら十分に使えることでしょう。

GRヤリス RZ“High performance”
GRヤリス RZ“High performance”のサイドビュー

実際、横から見たGRヤリスはBピラー手前からルーフの傾斜が始まっており、ルーフの一番高いところからCピラー部のルーフが一番低くなるところまで10cmほどの差があります。空力性能や低重心とのトレードオフでリアシートの居住性が削られたと考えると、スポーツカーとしてホンキの設計をしていると言えるでしょう。

●狭く見えるラゲッジスペース。実際はかなり使える

居住性と共に心配になってくるのが積載性です。

GRヤリス のラゲッジ
GRヤリス のラゲッジ

シートが全て使える4名乗車状態のラゲッジスペースはVDA法で174リッターなのですが、荷室長が574mm、荷室幅が1081mmで実は広くて浅い作りになっています。また開口部の下面とラゲッジの床がツライチなので積み下ろしが楽!

実際にどれくらいのものが積めるのかということで、航空機国際線預入荷物最大サイズ92リッターのスーツケースを積んでみました。横幅にかなり余裕があるのがお解りいただけると思います。どれくらい余裕があるのかと言えば、17インチノートPC対応のビジネスバッグが余裕で入る程度。これはかなりの積載力と言えるでしょう。

GRヤリス のラゲッジ床下
GRヤリス のラゲッジ床下

そのラゲッジの床下にはインタークーラー用ウォータースプレイの水タンクとバッテリーが積まれています。前後重量配分を適切にするために重量物をリアに持ってきたということです。そしてスペアタイヤは無く、パンク修理キットがこの位置に積まれています。これらが床下にあるためにラゲッジスペースの床面がフラットになっています。

RSグレードではバッテリーはエンジンルーム、水タンク非装備となりますのでその分積載が可能となります。

2名乗車となればリアシートを倒してラゲッジスペースを拡大でき、その際の積載力はRZやRZ”High performance”の装着タイヤと同サイズのものを4本積載し、その上フロアジャッキなども積載可能というサイズになります。

GRヤリス のダッシュボード
GRヤリス のダッシュボード

ヤリスとは名乗っていてもGRヤリスは普通のヤリスとはプラットフォーム自体から別物で、共通部品がほぼ皆無と言われていますが、ダッシュボードトレイなどは共通部品とのこと。そのため運転席周りでの小物入れの数は普通のヤリスに準じているようです。

スポーツカーと言えども実用的に使いたいという方は多いでしょう。GRヤリスの積載力は運転席周りの小物入れからラゲッジスペースまで、そんな方々にも十分に使えるものではないでしょうか?

(写真・文:松永 和浩)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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