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■アーバン・ソフィスティケーテッドな俊足マシン
2015年に発表された初期型MT-03は、念入りなマイナーチェンジを積み重ねながら2019年型まで販売されてきました。2020年に大幅アップデートが行われましたが、シャープな躍動感を強調した独創的なデザインコンセプトは変わらず継承されています。
MT-03のデザインは、初期型から2020年の最新型まで全世代にわたり、徹底的にソフィスティケートされたおしゃれなスタイルを貫いています。
2015年から2019年までのマイナーチェンジ時の主な変更はカラーとグラフィックでしたが、なかでも2018年型は、ていねいに色味を抑えた渋めのカラーリングが大きな特徴。試乗したブラックの車両では、それまでの型と比べて写真や遠目でそれとわかるほどの派手なグラフィックの変更は感じられません。
でも2017年型までブラックメタリックだったカラーがマットブラックに変わったことで、実車はぐっとシックな印象になっています。
●2018から2020へ、MT-03の装備はどう変わったの?
2018年型MT-03のインストルメント・パネルは、押し出しのきいたアナログ式のレブカウンターを中心に据え、周囲に液晶パネルやランプ表示を配したマルチファンクションメーター。それが最新の2020年型では、スマホを思わせるすっきりシンプルな矩形フル液晶メーターとなりました。
2018年型のメーターは情報の見やすさでは最新型に一歩ゆずる面があるものの、がっちりメカメカしいルックスがライダーのテンションを上げてくれる楽しいデザインは捨てがたい魅力。「2018年型のほうが好き」というライダーがいてもけっして不思議はない、カッコいいメーターだと思いませんか?
MT-03のライト類は、オーソドックスなスタイルの中に斬新さのエッジをきかせたテイストが特色でした。2020年型では、きりりとシャープなポジションランプと超小型ヘッドライトが採用され、さらにスパイスをきかせたデザインになっていますね。
エンジンを3点でリジットマウントし、エンジンケースの一部を構造材として活用した軽量ダイヤモンド型フレーム。MT-03の軽いボディや優れた運動性は、この美しいフレームが生み出した高性能ともいえますね。
リアアームは左右非対称の573mm。長いアームによって加減速時の姿勢変化を最小限にとどめ、ロスのない安定した走りの実現に貢献しています。
●キラリと光る扱いやすさ。いつも一緒にいたくなるマシンです。
身長164cmの私が乗ると、両足は踵までラクラクべったりの足つき性です。ステップに足を乗せたときにも、膝はそれほど深く曲がりません。体のどこにも無理がなく、窮屈さを感じさせない理想的なアップライト系ライディング・ポジションです。
ヤマハMT-03のデザインには、躍動する力強さのなかに繊細な感覚があふれています。男性的と決めつけることも、女性的と言いきることも難しいユニセックスなデザインは、MT-03がより多くのライダーに歓迎された理由のひとつなのかもしれません。
さて、いよいよ大幅なモディファイをうけた2020年型MT-03が走り出しました。日々変わりゆく人と街と世界にあわせて、MT-03が独自のスタイルをどう進化させていってくれるのか、その未来がとても楽しみです。
【ヤマハ MT-03主要諸元】
全長×全幅×全高:2090mm×755mm×1070mm
シート高:780mm
エンジン種類:水冷4ストロークDOHC4バルブ直列2気筒
総排気量:320cc
最高出力/最大トルク:42ps/3.0kgm
燃料タンク容量:14.0L
タイヤ(前・後):110/70-17・140/70-17
ブレーキ:前後油圧式シングルディスクブレーキ
メーカー希望小売価格:65万4500円(税込)
(文:村上 菜つみ/写真:高橋 克也)
【関連リンク】
MT-03 Official Site
https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/lineup/mt-25/
村上菜つみさんがヤマハ・MT-03で出かけたツーリング記事は、月刊誌「モトチャンプ」2020年9月号(8月6日発売)に掲載されています。