岡山戦ST-5クラスは晴れるとマツダが盛り返す【ピレリスーパー耐久シリーズ2020】

■終始快晴! スーパー耐久では今季初!

2020年10月31日に岡山国際サーキットで行われたピレリスーパー耐久シリーズ2020 第3戦「スーパー耐久レースin岡山」のGr.2レース。

トヨタ86やホンダ インテグラなど2リッター相当の二輪駆動車で競われるST-4クラスと、トヨタ ヴィッツ、マツダNDロードスター、マツダ2やデミオ、ホンダ フィットIIIなど1.5リッター相当の二輪駆動車で競われるST-5クラスを合わせてGr.2として、スポーツランドSUGOと岡山国際サーキットでは他のクラスと分離して決勝レースが行われます。

コースインのカウントダウン
コースインのカウントダウン

今年に入って予選から決勝の表彰式まで、快晴の中で行われたスーパー耐久でのレースは初めてとなり、また観客動員開催であることから絶好の観戦日和となりました。

予選と決勝を1日で開催するGr.2はスケジュールが慌ただしく、予選終了と同時に決勝の準備を始め、3時間後にはグリッドにマシンを並べなくてはなりません。

スターティンググリッドへのコースインは大会イメージガール「D’STATION FRESH ANGELS 2020」と「ピレリガール2020」、そしてスーパー耐久マスコットキャラクターの「すぱーく」などによるカウントダウンで行われます。

odula AVANTECH ロードスター
ポールポジションのodula AVANTECH ロードスター

エントリー台数がスーパー耐久では最多となる15台のST-5クラス。前述のように1.5リッター相当の二輪駆動車で競われます。しかし同じクラスとはいっても予選タイムに大きな差が生まれており、ポールポジションのodula AVANTECH ロードスターと最後尾のマシンでは9秒ほども違います。

また晴という天候のドライ路面ではFRのマツダNDロードスターは圧倒的有利で、予選で1分50秒を切っているのもマツダNDロードスターの2台だけとなります。

■ロードスター2台の激しいトップ争い

村上モータースMAZDAロードスター
オープニングラップで村上モータースMAZDAロードスターがトップに

ポールポジションでスタートしたはずのodula AVANTECH ロードスターですが、オープニングラップで村上モータースMAZDAロードスターにトップを奪われてしまいます。しかしその後もこの2台は激しくバトル。

odula AVANTECH ロードスター
odula AVANTECH ロードスターと村上モータースMAZDAロードスターのバトル

途中、6周目にST-Xクラスのマシンがクラッシュしたことによるセーフティーカー(SC)の導入がありますが、その間もコースにとどまり、SC解除後には再び激しいバトルが展開されます。

J'S RACING☆FIT
J’S RACING☆FIT

そこに絡んできたのがパワーで勝るホンダ フィットIII勢のJ’S RACING☆FIT。しかしフロントタイヤの摩耗からかじりじりと後退をしていきます。

やはりドライ路面ではFRのNRロードスターの速さが光ります。

DXLワコーズNOPROデミオSKY-D
DXLワコーズNOPROデミオSKY-D

ドライ路面ではペースが上がり、燃費が悪くなりがちなガソリン勢を、驚異的な好燃費を武器に少ないピット回数で上位に食い込んできたディーゼルのDXLワコーズNOPROデミオSKY-Dですが、距離の短い3時間フォーマットでは特徴を生かしきれず、またミッションにトラブルを抱えてしまったために思うようにタイムを伸ばすことができません。

むしろ早々に優勝戦線から離脱したかの様でもありました。

ヒロマツデミオマツダ2
ヒロマツデミオマツダ2

トップ争いをするロードスター勢が1回目のピットインをすると、トップはヒロマツデミオマツダ2へと移り変わっていきます。

しかしヒロマツデミオマツダ2も50周を過ぎたころにピットインすると、再びNDロードスターの2台にトップが戻ります。

村上モータースMAZDAロードスター
村上モータースMAZDAロードスター

2回目のピットインが終わるとトップはodula AVANTECH ロードスター、そして追うのは村上モータースMAZDAロードスターとなります。ペースは村上モータースMAZDAロードスターの方が有利な展開で8秒差までギャップが詰まっていきます。

しかし74周目に村上モータースMAZDAロードスターが突然コースアウト! ステアリング系のトラブルによりリタイアを余儀なくされてしまいました。

odula AVANTECH ロードスター
odula AVANTECH ロードスター

村上モータースMAZDAロードスターがリタイアしたことで逃げ切りに成功したodula AVANTECH ロードスターが優勝のチェッカーをくぐることとなります。

J'S RACING☆FIT
J’S RACING☆FIT

2位にはロードスター2台の背後で淡々と周回をこなしていたJ’S RACING☆FITが入ります。

ヒロマツデミオマツダ2
ヒロマツデミオマツダ2

そして3位には、一度はトップに立ったヒロマツデミオマツダ2。富士24時間以来の表彰台獲得となります。

■大きく動いたシーズンランキング

DXLワコーズNOPROデミオSKY-D
DXLワコーズNOPROデミオSKY-D

ミッショントラブルにより10周以上もピットガレージに入っていたDXLワコーズNOPROデミオSKY-D。しかし最後のチェッカーを受けるためにファイナルラップにコースに復帰し無事にチェッカーフラッグをくぐることで完走となりました。

スーパー耐久はどんなに長い距離を走っても最後にチェッカーを受けなければ完走とならず、順位もポイントもつかないというルールとなります。そのためどんなにトラブルが深刻でもピットにさえ戻っていれば最後のチェッカーを受ける努力をすることが出来る、という耐久レースの醍醐味を観ることもできるのです。

ただしDXLワコーズNOPROデミオSKY-Dは13位完走となりポイント自体は加算されませんので55ポイントのまま。そして2位となったJ’S RACING☆FITが64ポイントとなり、これまでの3戦で一度も優勝することはなくともポイントランキングのトップに躍り出ます。

ST-5クラスの表彰式
ST-5クラスの表彰式

残り3戦はマツダ勢、特にディーゼルデミオが得意とする5時間フォーマットのレースが続きます。

コーナーリングのNDロードスターか、パワーのフィットIIIか、それとも燃費のディーゼルか? 各マシンの個性が大きく際立つST-5クラスは、マシンは小さくとも見ている面白さは他のクラスにも引けを取りません。

次戦は11月21、22日のツインリンクもてぎとなります。

(写真・文:松永 和浩)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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