■僅差のピットワークで決着したST-3クラス
11月1日に岡山国際サーキットでピレリスーパー耐久シリーズ2020 第3戦 「スーパー耐久レースin岡山」のGr.1決勝レースが3時間というレース時間で行われました。
3500cc相当のFR車で競われるST-3クラスはエントリーが4台で、レクサスRC350とクラウンRSが1台ずつ、フェアレディZが2台となっています。
ST-3クラスはポールポジションがエアーバスター WINMAX RC 350 TWS、2番手に岡部自動車RECAROフェアレディーZ、3番手に100分の2秒差で埼玉トヨペットGBクラウンRS という、僅差の予選から決勝グリッドが決められました。
13時30分頃にフォーメーションラップが始まり、続いてスタートが切られます。
オープニングラップで一気にポジションを上げてきたのが、孤高のクラウン・埼玉トヨペットGBクラウンRS です。
ダブルヘアピンの侵入までにST-3クラスで2番手となり、なおかつST-2クラスでチャンピオン争いをするROOKIE Racing GR YARIS とDAMD MOTUL ED WRX STI をも抜き去り、トップのエアーバスター WINMAX RC 350 TWSに食いついていきます。
途中ST-Xクラスのクラッシュによるセーフティーカー導入などがあり、埼玉トヨペットGBクラウンRSが絶妙のピットインでトップをとることとなりますが、その後のタイヤ交換タイミングなどで再び順位が逆転。エンジンパワーに勝るエアーバスター WINMAX RC 350 TWSにトップを奪い返されてしまいます。
しかしながらラップタイムを見ると、ベストタイムは1分41秒台と2番手の埼玉トヨペットGBクラウンRSとトップのエアーバスター WINMAX RC 350 TWSではポテンシャル的には互角と言えなくもありません。それゆえに作戦が重要となっていったようです。
レース終盤、エアーバスター WINMAX RC 350 TWSは残り10分で53秒ほどのギャップを持ってピットインをします。
給油やタイヤ交換を全て行えば埼玉トヨペットGBクラウンRSにピット作業中に抜かれてしまうとの判断からか、給油無しでピットアウト。かなりの大勝負に出ましたが、結果的には燃料は最後までもち、チェッカーフラッグをくぐることが出来ました。
まさに作戦と賭けのレースとなったのです。
■クラウンはコーナーで攻める
トップに大きなプレッシャーを与えていた埼玉トヨペットGBクラウンRS。実はコースとマシンのマッチングが取れておらず、かなり苦労しながら走らせていたとのこと。もしマッチングが取れていたならばぶっちぎりの圧勝だったかもしれません。
クラウンRSの2リッターターボは、カタログ値のエンジンパワーで言えば1.6リッター3気筒ターボのGRヤリスよりも低い245馬力。大幅なエンジンチューニングの許されないスーパー耐久の規定であれば埼玉トヨペットGBクラウンRSは300馬力が出ているかどうかも怪しいところ。
つまりカタログ値で318馬力のレクサスRC350にはストレートではかなわないのです。
クラウンはライバルに比べて圧倒的に強いボディを持っています。このボディを活かしてコーナーリングでの強みを見せ、圧倒的にエンジンパワーの勝るエアーバスター WINMAX RC 350 TWSにさえプレッシャーを与えることができたのです。
SUGO戦の取りこぼしにより、エアーバスター WINMAX RC 350 TWSと同点で岡山戦を迎えた埼玉トヨペットGBクラウンRS。
今回の順位でシリーズランキングに変動がありエアーバスター WINMAX RC 350 TWSが76点で首位、埼玉トヨペットGBクラウンRSが70点で2位となっています。しかしシーズン当初、クラウンがこれほど戦える存在だと誰が思ったことでしょう。
次戦は11月21日・22日にツインリンクもてぎで開催される5時間レースとなります。5時間レースでは全クラスが一斉に走るためにSUGOや岡山とは違った見どころが満載です。
(写真・文:松永和浩)