■SUVらしさを増した2代目GLA
「SUV大国」といえるほどメルセデス・ベンツのラインナップは充実しています。「CクラスのSUV」として登場したGLCは、デビューからかなり売れたようで、ライバルのインポーター関係者からも脅威という声を聞いたことがあります。
一方で、コンパクトSUVクラスは初代GLAがハッチバック派生型であり、本格的なSUVとは少し雰囲気が異なりました。初代GLAは全長4430×全幅1805×全高1505mmで、1550mmの高さ制限のある機械式立体駐車場にも余裕で入庫できました。こうしたコンパクトさ、取り回しの良さが支持され、まだまだ街中でよく見かける存在です。
2020年6月に発表された2代目の新型GLAは、全長4415×全幅1835×全高1620mmと全幅と全高がひと回り大きくなっています。BMW X1/X2が強かった同クラスに対抗できる本格派の登場といえるでしょう。
なお、新型GLAのホイールベースは先代の2700mmから2730mmと長くなっています。全長は15mm短くなったものの、全幅と全高の拡大により塊感が増し、SUVらしい力強さを抱かせます。最低地上高は、初代の150mmから200mmと50mmも高まっています。
●2.0Lディーゼルエンジン+4WDからのデビュー
全高が115mmも高くなったことで、先代がハッチバックそのものといった乗車姿勢になるのに対して、新型のフロントシートは、SUVらしく高めのフロアとシートによるアイポイントの高さが印象的で、頭上まわりの余裕が格段に高まっています。
後席も包まれ感はあるものの、先代よりもかなり広く感じられます。シートサイズも大きく、身長171cmの筆者が運転姿勢を決めた後ろには、膝前に拳が縦に2つ、頭上に1つ強ほど入る余裕が残ります(後席スライドが最後端の場合)。
また、前席座面下に足がすっぽりと入るため、前席に長身の方が乗ってもそれほど窮屈にはならないはず。
デビュー時のパワーユニットは、2.0Lの直列4気筒ディーゼルターボで、駆動方式は4WD。
グレードは車両本体価格502万円の「GLA 200 d 4MATIC」のみとなっています。組み合わされるトランスミッションは、8速デュアルクラッチの「8G-DCT」。WLTCモード燃費は16.5km/Lとなっています。
街中から走り出すと、ボディの剛性感と引き締まった乗り味が印象的です。同じ横置きFFアーキテクチャである「MFA2」を使う新型GLBと乗り比べると、ホイールベースの違いから(GLBは2830mmとGLAよりも100mm長い)かGLAの方が上下動がやや大きく感じられます。
なお、GLA(GLA 200 d 4MATIC)は1710kg、GLB(GLB 250 4MATIC Sports)は1760kgという車両重量。走行モードを「コンフォート」にしても印象は大きくは変わりません。それでも剛性感の高さもあり、揺れが続くような不快感はなく、高級SUVに相応しい乗り味。
中低速域でディーゼルらしい音・振動は多少伝わってくるものの、静粛性の高さも印象的。さらに、同エンジンは低速域からトルク感があり、高速道路の追い越し時まで回転域を問わず、ほとんど不足を感じさせず、重量のあるSUVとディーゼルとの相性の良さを再確認させてくれます。
DCTは極低速域から比較的スムーズで、トルコン付ATに対してほとんどネガらしい点は伝わってきません。
新型GLBはGLCに迫る車格感があり、ファミリーなどにも向くモデルで魅力的。新型GLAも子どもが2人いる家族にも最適ですし、趣味の相棒としても使える435Lの荷室容量が確保されています。
このクラスは、BMW X1/X2が売れ筋で、新型アウディQ3/Q3スポーツバック、ボルボXC40、フォルクスワーゲンTクロスなど多士済々ですが、GLCに続くヒットモデルになるのは当確といえそうです。
(文/写真 塚田勝弘)