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■外観が普通でも車中泊が楽しい仕様が急増中
ハイエースなどのワンボックスや軽自動車のバンなどをベースにしたキャンピングカーでは、外観がほぼノーマルのタイプが最近人気です。理由は、一般的なイメージの車体キャビン部が大きく、背が高いキャンピングカーでは、普段の通勤や仕事、買い物などで使いづらいといった背景があるためです。
そこで、登場してきたのが、外見は普通だけど、車中泊に必要な装備を充実させたキャンピングカー。9月19日〜9月21日・幕張メッセで行われた東京キャンピングカーショー2020で、そういったクルマをチェックしてみたので紹介してみましょう。
●ハイエースをベースに落ち着いた車内を実現
まずはカトーモーターが出展したハイエースがベースのキャンピングカー「ナローロングトレイン」を紹介します。
従来、ハイエースのキャンピングカーでは、ワイドボディやスーパーロングなど車体が大きいベース車を使うのが一般的。ところが、このモデルは、ユーザーからの「(運転で)取り回しがいいタイプが欲しい」という声から生まれたそうで、ベースにはハイエースの標準ボディが使われています。
このモデルのボディサイズは全長4695mm×全幅1710mm×全高2240mmですから、ノーマルと比べて全幅で15mm、全高で260mmほど大きい程度で、可能な限りボディサイズの拡張を抑えています。
一方、車内にはテーブルやソファ、キッチンなどを装備。比較的シンプルな構成ですが、窓枠や天井の収納棚なども含め、各部に木の素材を使うことで、自然の中でゆったりと落ち着ける雰囲気を演出しています。
ソファはベッドにもなり、大人2名がゆったり休むことができます。また、ベッドは前方にスライドさせることができるため、室内後方にカーゴスペースを作る事も可能。
このように、このモデルは、車内でゆったりできるスペースの確保を重視し、様々な工夫で必要十分な装備が施されているのが魅力です。価格は、今回展示された仕様で469万円(税抜)です。
●キャラバンにフラットベッドを搭載
次は日産ピーズフィールドクラフトが製作した「NV350キャラバン プレミアムGX C-SV」。人気ワンボックスカーの日産・キャラバンの中でも、メッキグリルやカラードバンパー、フォグランプなどを装備したグレード、5人乗りのプレミアムGXをベースにした車中泊仕様です。
このクルマの車体サイズは全長4695mm×全幅1695mm×全高1990mmですから、ボディは純正のまま。本格的キャンピングカーのような大柄な車体ではないので、普段は通勤や仕事用として使えるのはもちろん、車高が2.1m以下に制限されていることが多いショッピングセンターなどの屋内駐車場にも駐められるサイズです。
一方、車内には、2列目シートを前に倒してセットするフラットなベッドを装備。ベッドのサイズは長さ1800mm×幅1500mmですから、大人3名が寝られる余裕のスペースとなっています。
また、ベッド下は高さ460mm×幅1020mmのラゲッジスペースになりますから、ここにアウトドア用品などの荷物を置くことが可能。荷室の両サイドに装備されたベッドの台座も収納ボックスを兼ねている上、折りたたんだ2列目シートとベッドの間にもラゲージスペースがあるため、荷物の量をあまり気にせずに旅することができますね。
ちなみに、ベッドはキャンプ場などで仲間や家族とリラックスできる対面対座シートにもなります。さらに、工具なしで取り外しが可能なので、普段使いの時には簡単にノーマルの内装に戻すことができるのも注目点です。価格は、今回展示された仕様で480万3471円(税抜)です。
●軽自動車の外観ノーマル仕様
軽自動車がベースのいわゆる「軽キャンパー」でも、キャビン部を架装したキャブコンバージョンのタイプでは、全高が2mを超えるモデルがあります。そういったタイプでは、装備はかなり充実しているのですが、前述の通り、高さ制限2.1m以下の屋内駐車場には入れられない場合もあります。
一方、ここで紹介するメティオ製作の「ラクネル・レスト」は、外観はほぼノーマルですから、普段使いにも最適なモデルだといえます。
ベース車はスズキ・エブリイで、ハイルーフ仕様のJOINターボを採用しています。ラクネル・レストの車体サイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1895mmですから、ボディの大きさは純正と全く同じですね。
外観はほぼノーマルですが、室内は様々な快適装備が搭載されています。運転席の後方には、対面対座が可能なシートやテーブルを装備。テーブルを外しシートをフラットにすれば、大人2名が寝られるベッドにもなります。
また、シートなどの台座には独自開発のアルミフレームを使用することで、安定した寝心地と様々なシートアレンジを可能に。フレーム下は荷物などを入れるラゲッジスペースになるなど、限られたスペースを有効に使う数々の工夫が施されています。
ほかにも、このモデルには200Wソーラパネルの装備で、停車時も車内に温風を送るFFヒーターやテレビなど電気を使う機器の使用も安心。スライドドアのウインドウには空気を入れ換えるベンチレーションも装備するなど、快適な車中泊が楽しめる数多くの装備を採用しています。
価格は、今回展示された仕様で329万7900円(税抜)です。
外観は普通でも、室内に車中泊が楽しめる装備が満載されているモデルたち、いかがでしたか?
これらはいずれも、本格的キャンピングカーと比べると、価格が比較的安いのも注目点ですね。アウトドアから日常の足まで1台で何でもこなせる汎用性とリーズナブルな価格は、こういったモデルの最大の魅力だといえるでしょう。
(文/写真:平塚直樹)