アイドリングストップ機能は使わない方がいいかもしれません【自動車評論家のお詫び】

■アイドルストップ対応バッテリー5万円が1年半で交換!?

●アイドルストップ機構を推奨した自動車評論家にも責任が?

今まで省燃費技術の象徴として幅広く採用されているアイドルストップながら、ここにきて不要論も出てきた。理由は簡単。使い方によってはバッテリー寿命が驚くほど短くなってしまうからだ。一番厳しいのはサンデードライバー。休日に出掛けると高速渋滞や行楽地渋滞、ショッピングモール渋滞などに遭遇する可能性高く、アイドルストップがフルに稼働します。

最悪の場合、1年半でコーションランプが点灯し、アイドルストップしなくなってしまう。ディーラーに持って行くと「バッテリー寿命ですね。交換が必要です。バッテリーは消耗部品に指定されています。1年半使っているため保証の適用外になります」と言われ、ミドルクラスで5~6万円のバッテリー交換料金を提示される。アイドルストップ対応のバッテリー、驚くほど高い。

yaris cross
ヤリスクロスのガソリン車にはアイドリングストップ機構は採用されない

仮に5万円掛け、再び1年半/走行1万5000kmで交換するとしよう。その間に節約出来るガソリン/軽油料金は上を見て5000円。経済的にバランスしない。また、環境問題という概念からしても、バッテリーを作るときに出る二酸化炭素まで考えたら総合的にはいかがなものか。むしろアイドルストップさせず、バッテリーを丁寧に使い長持ちさせる方がお財布にも環境にもやさしいと思う。

ここまで読んで皆さんから「あんたら評論家は今までアイドルストップ付いていないクルマを批判していたじゃないか」と言われるかもしれない。その通りです。かくいう私も2~3年前までアイドルストップを高く評価してきた。理由は簡単。自動車メーカーが1年半でダメになるシステムを作ってくるなんて想像もしていなかったからだ。いくらなんでも酷すぎます。

RAV4
RAV4のガソリン車にもアイドルストップ機構はありません

考えて欲しい。トヨタがハイブリッド車を出した時、ライバルメーカーは口を揃えて「遠からず走行バッテリーを交換しなければならない。その時の料金は猛烈に高く、ハイブリッドで節約出来るガソリン料金じゃカバー出来ない」と足を引っ張った。実際どうか? 2003年に発売となった2代目プリウスは15年/20万km以上普通に走った。交換するにしても工賃込み15万円程度です。

プリウスなんか買うな、と足を引っ張ったメーカーたちが現在販売しているアイドルストップ用のバッテリーは1年半/1万5000kmで交換を強いられ5万円掛かる。そんなデタラメなことをするなんて想像も出来ませんでした。私の場合、2年くらい前にアイドルストップ車のバッテリーは驚くほど寿命が短く、交換すると高いと判明。それ以後、アイドルストップ否定派です。

●アイドリングストップ車のバッテリーはどれくらい持つ?

Yaris cross battery
ヤリスクロスガソリン車には当然アイドルストップ用でないバッテリーが装備されます

実際、アイドルストップ車のバッテリーはどのくらい持つのだろうか? 厳しいのが文頭に書いたサンデードライバー的な乗り方。クルマは停止が0.1秒なのか30秒なのか判断する術を持っていない。したがって一時停止や、渋滞でわずかに停止した時もエンジン止まりすぐ始動。普通なら1日走ってもエンジン始動は数回。けれど休日の行楽などで使ったら3桁のオーダーになることだろう。

都市部の渋滞も厳しい。なかでもエンジンルーム内に搭載されていると夏場は高温にもさらされる。1年半/1万5000kmでダメになって不思議じゃありません。逆にアイドルストップの機会がほとんど無いような流れの良い道ばかり走っていれば、余裕で6年/9万kmくらい使えるようだ。まぁそんな流れの良い道にアイドルストップなんか不要だと思いますけど。

●アイドルストップは本当に必要ないのか?

ということでアイドルストップは長い信号待ちや踏切待ちなど、確実に30秒以上止まっているようなケースで限定的に使った方が賢いと思う。スイッチなどでカット出来るなら機能オフに。「スイッチが付いていない」とか「いちいち操作するのは面倒!」というなら、自分のクルマのアイドルストップ機能を停止させる方法をネットなどで検索したらいい。

以上、2~3年前までアイドルストップを高く評価してきた評論家のお詫びです。全く申し訳ありませんでした。すでにアイドルストップ付きのクルマに乗っているなら、使い方に合わせた運用をしていただきたく思います。

/写真:前田惠介)