“逆転の発想”で誕生した「GRヤリス」開発陣のこだわりポイントとは? 【GR YARIS ONLINE FES】

■GRヤリスはトヨタ悲願の「自社開発」スポーツカー

「GRヤリス オンライン フェス」MC役の脇阪氏とエイミーさん

トヨタ自動車が、9月16日19:30より「GRヤリス」の走りや開発エピソードなどを2部に分けて紹介するイベント、「GRヤリス オンライン フェス」を開催しました。

MCを担当したのはレーシングドライバーの脇阪寿一氏とモータースポーツリポーターの伊澤エイミーさん。

第1部(19:30~)にはイベントゲストとして「GRヤリス」の開発ドライバーを務めた石浦宏明・大嶋和也両氏や、GRカンパニーの友山茂樹氏、佐藤恒治氏が登場。

GRヤリスのデビューウィンを飾ったスーパー耐久シリーズ 「富士SUPER TEC 24時間レース」の裏話や、GR YARIS誕生にまつわるエピソードが紹介されました。

モリゾウによるダートコースでの走行デモ

また第2部(20:15~)では同車の開発を仕切るGRプロジェクト推進室の齋藤尚彦主査や、GAZOOレーシング監督の豊岡悟志氏らが登場。同車の魅力や、モリゾウこと豊田章男社長の助手席でGR YARISの走りをリアルに楽しめるVR映像「VR YARIS with Morizo」が公開されました。

モリゾウによるダートコースでの走行デモ

モリゾウの走りは開発ドライバー達も舌を巻くほどのレベルだそうで、同氏のGRヤリス開発にかける熱い思いが色濃く製品に反映されているようです。

近年のトヨタには「86」や「スープラ」のように、他社とのコラボで実現したスポーツカーは存在しますが、モリゾウの胸中では「トヨタが自らの手でつくるスポーツカーが欲しい」との思いが強かった模様。

■開発初期段階からプロドライバーが性能評価に参画

今回の「GRヤリス」開発では従来の手法と異なり、市販モデルをモータースポーツ用に仕立てるのではなく、モータースポーツに必要な要素を予め盛り込んだ車両を市販化するという逆転の発想が根底にあります。

GRプロジェクト推進室の齋藤尚彦主査

開発の初期段階からモリゾウや一線で活躍するレーシングドライバーが性能評価に参画しており、必要な改善項目を早期に洗い出したそうで、これがGRヤリスの高性能化実現に繋がっているそうです。

その一例として、開発ドライバーから改善要求のあった4WDシステムの「後輪へのトルク伝達を素早くリニアに」との要求に応えて、前後輪に駆動力を配分するビスカスカップリング内のクラッチプレートを12枚に倍増したそう。

齋藤主査によると、モリゾウからもダメ出しされていた案件だったそうで、最終仕様に上手く反映できた言います。

吸気ダクト部にアルミテープを設定

また、エアクリーナー後方の吸気ダクト部にアルミテープが貼られており、これにより、空気摩擦で生じる静電気を除去。吸気流速が上がり、エンジンレスポンスの向上に効果があるそうです。さらに、ボンネットフード裏に設けられた脱着可能な樹脂カバーは、WRC出場時にこのカバーを外してフロントサスペンションのストロークをかせぐための配慮だそうです。

一方、発売後ではあるものの、富士24H耐久レース出場結果を踏まえ、駆動系の更なる冷却を目的にエンジンアンダーカバーに冷却用開口&ダクトを追加するそうで、こちらは別途GRパーツとして設定予定。

以上のように、トヨタのマニアックな技術陣がWRCに勝つためにワンチームとなって開発したスポーツカー「GRヤリス」ですが、販売目標台数は1,100台/月となっています。

「WRC」での勝利を目標に、苦難連続の開発を経てようやく完成したGRヤリスは現在、GR FACTORYで一台一台、手加工も含めて丁寧に生産されています。

豊田社長は、「手塩にかけて育てたGRヤリスが手元に届くまで、今暫く楽しみにして待っていて欲しい」とアピールしています。

Avanti Yasunori・画像/動画:TOYOTA)

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【関連リンク】

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この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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