■今年からトーヨータイヤとタッグを組んだTEAM JAOS
世界各国で蔓延する新型コロナウィルスが、2020年のモータースポーツ界に多大な影響を及ぼしているのは読者の皆さんもご存知の通りかと思います。
夏には、F1やWRCなどの世界選手権をはじめ、国内外の多くの競技にようやく復活の兆しが見えてきたものの、選手やチームが国境を越えるハードルは依然高いのが現状です。東南アジアを舞台に1996年から続くラリーレイド「アジアクロスカントリーラリー」(以下 AXCR)も例外ではなく、延期による開催を模索していましたが、9月11日に大会の中止が正式にアナウンスされました。
長年、このラリーの撮影を続けてきた筆者にとってとても残念な決定ではありましたが、アジア各国やヨーロッパから多くの選手が集結し、タイを中心に周辺諸国を巡り競われる大会だけに、現状では致し方なし、というのが正直な気持ちです。
今年参戦を予定をしていたチームの多くは、スポンサーとの契約やマシン製作など参戦に向け様々な準備をしてきただけに、もっともっと残念な気持ちだと思います。
2015年から「TEAM JAOS」を結成し、AXCRに参戦し続けている日本のパーツメーカー「ジャオス」もそんなチームの1つ。特に昨年念願のクラス優勝を果たし、今年はAXCRでは圧倒的な勝率を誇るトーヨータイヤとタッグを組み連覇を狙っていただけに、その無念さもひとしおかと思います。
ただし、このタッグはAXCRにおけるタイヤの採用にとどまらず、北米で強さを誇るSUV用タイヤブランド「OPEN COUNTRY」有するトーヨータイヤと国内4WD市場に強いジャオスによる4WD&SUVの世界に新たな価値を創造する取り組みです。
新たなスタートの門出こそ東南アジアでは飾れなかったものの、その目指す世界観を表現する映像がジャオスの地元群馬で撮影され、すでに公開されています。先日そのメイキング映像も追加公開されましたのでご紹介します。
紺色の最新フェイスのハイラックスは連覇に向けて製作された今年のマシン。白い撮影車は2018年までAXCRに参戦していた初期型ハイラックス。フロントフェイスの違いが一目でわかります。
また映像は、音にも最新の注意を注いで撮影されたので気づいた方もいるかもしれませんが、実は昨年からTEAM JAOSは4リッターガソリンエンジンを搭載するオーストラリア仕様のハイラックスを採用しています。日本仕様には設定されていないガソリンエンジンのサウンドはなかなか新鮮で、映像を見ていてもとても魅力的だと思います。
今年のTEAM JAOSの活動のハイライトはこのムービー撮影となってしまいましたが、トーヨータイヤ×ジャオスのチャレンジはまだまだ始まったばかり。これから一層加速して、来年の参戦はもとより様々なモータースポーツの世界にチャレンジしてくれるでしょう。そこから、どんな新しいクロスカントリー4WDの世界を見せてくれるのか今から楽しみです。
来年こそはTEAM JAOSや世界各国のチームが一年の充電期間にさらなる熟成を重ねたマシンと、様々な国の仲間に再び会える事をカメラマンとしてとても楽しみにしています。
(文と写真:高橋 学)