日本の市販車初となる「ARナビ」を採用した新型メルセデス・ベンツEクラスの先進ぶりがスゴイ!【新車】

■フロントマスクを一新し、「AMGラインエクステリア」を採用

2020年3月にドイツ本国でマイナーチェンジモデルが発表されたメルセデス・ベンツEクラス。それから約半年後となる2020年9月10日、日本でも新型Eクラスが発表され、同日から予約注文の受付が開始されました。

なお、納車は今年9月から順次開始されるそうです。

メルセデス・ベンツ Eクラス
一新された新型Eクラスのエクステリア

現行Eクラスには、自動車線変更の「アクティブレーンチェンジングアシスト」や、2つの12.3インチワイドディスプレイが配置された先進的なインパネが用意されていました。

メルセデス・ベンツ Eクラス
メルセデス・ベンツE300のエクステリア

まず目を惹くのは、フェイスリフトを受けたエクステリア。「AMGラインエクステリア」が「E 450 4MATIC エクスクルーシブ」、「E 220 d 4MATIC オールテレイン」、メルセデスAMG各モデルを除いて標準装備になり、スポーティなムードを放っています。

メルセデス・ベンツ Eクラス
マルチビームLEDヘッドライト(ウルトラハイビーム付)

ヘッドライトも刷新されています。最新のメルセデス・ベンツのスポーティモデルと同様に上下方向に薄く、わずかに切れ上がるデザインになっています。

ラジエーターグリルはロア部が広がる台形になり、クローム仕上げのダイヤモンドグリルが450 4MATIC エクスクルーシブ、E 220 d 4MATIC オールテレインをのぞいて採用されています。さらに、バンパーロア部の左右に2本のフィンが配置されるなど、シャープでダイナミックなムードを強調。

メルセデス・ベンツ Eクラス
新型Eクラスの識別点はテールランプ

一方のリヤビューも変わっています。存在感のある横長の2分割型リヤコンビネーションランプに変更され、ボディのワイド感とダイナミックさを主張する意匠になっています。

■新型ステアリングのリムに、静電容量式センサーを備えたパッドを用意

先進的なインテリアは質感の向上が図られています。注目はメルセデス・ベンツ初の新世代ステアリングホイールで、「スポーツ」各モデルとメルセデスAMG各モデルに3本のツインスポークが用意され、先進的でスポーティなムードを演出。

さらに「E 450 4MATIC エクスクルーシブ」は、ブラックアウトされたスポークが採用され、シックな雰囲気を醸し出しています。

メルセデス・ベンツ Eクラス
新型Eクラスのインテリア

同ステアリングには、ナビやインパネ内の各種設定や安全運転支援システムの設定をすべて手元で完結できる機能を用意。

さらに、従来はタッチコントロールボタンへの接触やステアリングホイールにかかるトルクで判定していましたが、新たにリムに静電容量式センサーを備えたパッドを用意。これにより、ステアリングホイールにかかるトルクがなくても、ステアリングホイールを握っていることが認識されるようになり、「ディスタンスアシスト・ディストロニック」の使い勝手を向上したそう。

また、「E 200」と「E 220 d」には、従来型がピアノラッカー調のトリムだったセンターコンソールに、新たにウッドトリムが使われ、クオリティアップが図られています。

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メルセデス・ベンツ初の新世代ステアリングホイール

機能面では、Aクラスから順次採用されている対話型インフォテインメントシステム「MBUX」が搭載されました。

さらに、日本で販売される乗用車で初になるという、AR (拡張現実) ナビゲーションが採用されています。従来、目的地を設定して行先案内をする場合は、地図上に進むべき道路がハイライトされますが、新型Eクラスではさらに加えて、車両の前面に広がる現実の景色がナビ画面の一部に映し出され、進むべき道路に矢印を表示。これにより、より直感的にどの道路に進むべきかを判断することができます。

メルセデス・ベンツ Eクラス
Eクラスに新たに採用されたARナビ

このようにEクラスは、場合によってはSクラスよりも先に先進機能が採用されていますが、新型Eクラスにはメルセデス・ベンツ最新の安全運転支援システムが全車に標準装備されています。

「アクティブブレーキアシスト(歩行者/飛び出し/右折時対向車検知機能付)」は、対向車線を横切って右折しようとする際に、対向車線を直進してくる車両と衝突する危険がある場合、10km/h以内であれば自動ブレーキが作動。対向車の検知は、フロントの長距離レーダーセンサーとステレオマルチパーパスカメラが担うそうです。

また、Eクラスとしては新たに停車時にドアを開けようとした際に、2km/h以上で後方から歩行者や自転車、自動車などが近づいていると、ドアミラー外側にある警告表示灯が赤く点灯。さらに、乗員がドアハンドルに手をかけた場合、音と表示で乗員に警告します。

メルセデス・ベンツ Eクラス
「M264」型エンジン

パワートレーンは「E 200 スポーツ」、「E 200 4MATIC スポーツ」に、1.5Lの直列4気筒ターボエンジン「M264」と「BSG」、「48V 電気システム」が搭載されます。「E 300 スポーツ」には、「E 200」と同じ「M264」の中でも排気量が2.0Lの直列4気筒エンジンが積まれています。ツインスクロールターボチャージャーと可変バルブリフトシステム「CAMTRONIC」が採用され、低回転から高回転まで伸びやかな加速を可能にするそう。

メルセデス・ベンツ Eクラス
「M264」型エンジン

また、「E 450 4MATIC エクスクルーシブ」には新たに3.0L直列6気筒ガソリンエンジン「M256」とともに、「ISG」、「48V電気システム」などの新技術を搭載。「E 220 d スポーツ」には、最高出力194PS(143kW)・最大トルク400Nmを発生する、2.0Lの直列4気筒クリーンディーゼルターボエンジンが組み合わされます。

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「Mercedes-AMG E 63 S 4MATIC+」のリヤビュー

最上級シリーズであるスポーティな「メルセデスAMG 53シリーズ」には、直列6気筒エンジン、ISG、48V電気システム、電動スーパーチャージャーが組み合わされます。さらに、可変トルク配分を行うパフォーマンス志向の4WDシステム「AMG 4MATIC+」が採用されています。3.0L直列6気筒エンジンの「M256」はエンジン単体で、最高出力435PS(320kW)、最大トルク520Nmを発揮。

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「E 53 4MATIC+」の前後ビュー

「メルセデスAMG 63シリーズ」の中でも最速モデルである「Sモデル」には、最高出力612PS(450kW)・最大トルク850Nmを発揮する、4.0L V8直噴ツインターボエンジン「M177」が搭載されます。2基のターボチャージャーはV型シリンダーバンクの外側ではなく内側に配置される「ホットインサイドV」レイアウトが採用されています。

メルセデス・ベンツ Eクラス
マイナーチェンジを受けた新型Eクラスのフロントシート

フェイスリフトに加えて、先進安全装備やARナビ、最新パワートレーンなどが用意されている新型Eクラス。セダンの価格帯は、769万円〜1867万円です。ステーションワゴンは810万円〜1912万円。オールテレイン(E 220 d 4MATIC オールテレイン)は、938万円です。

メルセデス・ベンツ Eクラス
「Mercedes-AMG E 63 4MATIC+」のエクステリア

メルセデス・ベンツでは、先日、ドイツ本国で発表された新型Sクラスに話題が集まっていますが、概要だけでもこれだけのボリュームになる新型Eクラスも同ブランドの威信をかけた先進安全装備が満載されています。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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