去年の悔しさをバネに! スーパーフォーミュラ開幕戦を制したのは?【スーパーフォーミュラ2020】

●レースフォーマットが大幅に変更

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で開催日程が大幅に変更された全日本スーパーフォーミュラ選手権。8月29日・30日に約5ヶ月遅れて開幕戦が栃木県・ツインリンクもてぎにて開催されました。

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モータースポーツファンがもてぎでのレース観戦を楽しんだ

今シーズンの開催にあたっては、未だ収束の目処が立たないCOVID-19感染拡大防止の観点からレースフォーマットを大幅に変更。予選決勝を1日で完結させる1day開催とし、決勝レースもタイヤ交換義務や給油をとりやめ通常より短いレースディスタンスで行われることになりました。

観戦についても継続してレース観戦ができる環境を守るため入場者数を制限したり、観戦者とエントラントとの接触を避けるためにパドックへの一般観戦者の入場禁止やピットウォークを行わないなど、徹底した感染拡大防止策を講じての開催となりました。

●酷暑の中、驚愕のタイムでポールポジションを獲得したのは?

夏休み最後の週末は天候にも恵まれ、真夏の青空が広がった決勝開催当日の30日は、朝8時から20分間のフリー走行からスケジュールがスタート。トラブルによるディレイもなく10:05から行われた予選Q1は、くじ引きによって決められたA、B2組に分かれて行われました。

このQ1では#16 TEAM MUGEN 野尻智紀選手や#64 TCS NAKAJIMA RACING 牧野任祐選手など、優勝候補にも挙げられる2人を含む5名のドライバーがQ2にコマを進めることができませんでした。

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酷暑というコンディションの中、コースレコードでポールポジションを獲得した平川選手

そして14台で迎えたQ2、このもてぎで昨シーズンスーパーフォーミュラ初優勝を遂げた#20 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 平川亮選手がコースレコードとなる1’31.096というタイムを叩き出しQ3に進出。また今シーズンスーパーフォーミュラルーキーの#4 KONDO RACING サッシャ・フェネストラズ選手もそれまでのコースレコードを更新し、ルーキーとは思えない速さをこの開幕戦から見せつけます。

このQ2ではディフェンディングチャンピオンの#1 VANTELIN TEAM TOM’S ニック・キャシディ選手を含む6名が予選落ち。また7位までをトヨタエンジン搭載車が独占し、ルーキードライバーの#65 TCS NAKAJIMA RACING 大湯都史樹選手がホンダエンジン搭載車として唯一Q3に進出しました。

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予選フロントローを獲得したルーキー、サッシャ選手

ポールポジションを決めるQ3ではQ2の勢いそのままに、平川選手がQ2での自己ベストを更に0.013縮める1’31.083という驚愕のタイムを記録、コースレコードをさらに更新してポールポジションを決めました。2番手にはこちらもコースレコードながら自己ベスト更新はならなかったサッシャ選手、セカンドローには3番手にサッシャ選手のチームメイト#3 KONDO RACING 山下健太選手と4番手には自己ベストを更新してきた大湯選手が唯一のホンダエンジン搭載車として気を吐きました。

●観客の見守る中、2020シーズン開幕戦スタート!

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午後2時過ぎ、待ちに待ったスーパーフォーミュラ開幕戦決勝レースがスタート!

予選終了から3時間、真夏の太陽の日差しが降り注ぐ中、待ちに待ったスーパーフォーミュラ2020シーズン開幕となる決勝の火蓋が切られました!

スタートの1コーナーでは3番手スタートの山下選手が抜群のスタートでサッシャ選手をかわし2番手に。その先では4番手スタートの大湯選手が7番手からジャンプアップしてきた#19 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 関口雄飛選手と接触、残念ながら優勝争いから脱落してしまいます。

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後方では激しいポジション争いでレースは盛り上がった

その後、後方では若干の順位変動があったものの上位は順位変動もなくレースは進み、レースディスタンスが52周から35周に短縮された決勝レースのファイナルラップ、それまで距離を保ってきた山下選手が平川選手に急接近。OTS(Over Take System)を駆使してテール・トゥ・ノーズに持ち込みますが、そこは平川選手も山下選手以上に残ったOTSを使って逃げ切り勝負あり。平川選手がポールポジションから完璧なレース運びを魅せポール・トゥ・ウィンで開幕戦を制しました。

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平川選手と山下選手の攻防

平川選手はこれで、もてぎでのスーパーフォーミュラ2連勝。決勝後のインタビューで平川選手は「昨年のスーパーGTもてぎ最終戦での悔しさがあったので、絶対に抜かれないっていう気持ちが強かった」と、悔しさをバネにしての今回の優勝だったことを明らかにしました。

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平川選手が2年連続もてぎで優勝

2位には山下選手、3位にサッシャ選手とKONDO RACINGが2・3位を獲得、トヨタエンジンが表彰台を独占したもてぎ大会となりました。山下選手はWEC(世界耐久選手権)から帰国しての経過観察期間中だったことから、表彰台への登壇は見送られました。

また注目されたスーパーフォーミュラ初の女性ドライバー、タチアナ・カルデロン選手は最後尾18番手スタートから完走15台中の12位で日本での初レースを終えました。

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スーパーフォーミュラもてぎ大会の表彰式
山下選手に代わって近藤真彦チーム監督が登壇

このままトヨタエンジン勢が上位を独占するのか? それともホンダエンジン勢の巻き返しがあるのか? またルーキードライバーの活躍など見所満載のスーパーフォーミュラ第2戦は1ヶ月後の9月27・28日、岡山県の岡山国際サーキットで開催予定です。

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近藤真彦監督率いるKONDO RACINGがチームランキングトップに

(H@ty)