■モーターサイクルなどの開発で培った知見を注入
新型コロナウイルスの感染拡大により、3密を避けるため、電動アシスト自転車などの自転車、オートバイなどが見直されています。販売台数も伸びているという報道もあり、電動アシスト自転車が品薄になっているお店もあるようです。
特に敷居の低い電動アシスト自転車への注目度は高く、通勤、通学の足として使い始めたという方もいるでしょう。
ただしヤマハ発動機によると、電動アシスト自転車の売れ行きは自粛期間中の春先は落ちたそうで、自粛期間が解除された後にニーズが高まったと述べています。
ヤマハ発動機が世界で初めて電動アシスト自転車を商品化してから2020年で27年になります。右肩上がりで成長している電動アシスト自転車市場は約70万台(日本)まで成長。欧州でもe-BIKEとして市場が拡大しています。登場以来のシニア層から主婦層、通勤・通学と、ユーザー層もニーズも広がりを見せています。
■「YAMAHA Dual Twin Frame」を新開発
2020年7月29日、ヤマハ発動機は、モーターサイクルなどの開発で培った知見を注入したという、オフロード向けスポーツ電動アシスト自転車(e-BIKE)の新型モデル「YPJ-MT Pro(ワイピージェイ エムティー プロ)」を、全国の「YPJ Pro Shop」において、同年9月25日に発売すると発表しました。
価格は66万円(税込み)で、年間販売計画は200台。
スポーツ電動アシスト自転車の最上級モデルと位置づける「YPJ-MT Pro」は、MTBに興味があり、MTBモデルに試乗体験がある人など、「Pro」が付くだけにエキスパート向けといえそうです。
私もヤマハ発動機のMTBモデルの電動アシスト自転車にオフロードコースで試乗したことがありますが、素人がいきなりオフロードコースで走るのはなかなか難しそう。ヤマハ発動機では「YPJ」の試乗イベントなどを各地で開催していますので、そうした機会も活用するとよいでしょう。
「YPJ-MT Pro」には、車体剛性と最適な重量バランスを実現する「YAMAHA Dual Twin Frame」の搭載をはじめ、路面追従性を考慮したリヤサスペンションレイアウト設計、パワフルでシャープなペダリングレスポンスを維持しながら、より高いクランク回転数に対応するドライブユニット「PW-X2」が搭載されています。
さらにはヤマハレーシングカラーとリレーションしたカラーリングデザインなども採用。
先述したように、メインフレームの上下(トップチューブ/ダウンチューブ)に、それぞれ2本に分かれた構造の「YAMAHA Dual Twin Frame」が新たに開発されています。
こちらは2本のトップチューブの間にリヤサスペンションを配置することで、シート高、地面からトップチューブ上面の高さ(スタンドオーバーハイト)を低減し、セクション途中などでの足つき性が向上。ダウンチューブはバッテリーを2本の閉断面のチューブで挟み込む配置とすることで適正な剛性の確保を容易にし、同時に車体の重量バランスも最適化、操縦性、取り回し性の向上に貢献するとしています。
路面追従性を重視したというリンク式リヤサスペンションのレイアウト設計は、リヤサスペンション特性(リヤホイールの軌跡、路面追従性)を考慮して決定したといいます。
前後サスペンションは、マウンテンライドに適したサスペンションを選択されています。フロントサスペンションストローク量は160mm、リヤホイールトラベル量は150mmが与えられています。
ドライブユニットの「PW-X2」は、より高いクランク回転数(ケイデンス)に対応した小型・軽量ドライブユニット。アシストモードは7モードから選択可能で、「EXPW(エクストラパワー)モード」は、よりライダーのペダリングに素早く反応し、乗り手の意のままにパワフルな走行が楽しめるようチューニングされています。
また、新たなアシストモードとして「ECOモード」〜「HIGHモード」までのアシストモードを車両側が自動的に選択する「Automatic Support Mode(オートマチック サポート モード)」も搭載。スムーズながら、パワフルでレスポンスの良いアシストフィーリングを実現するそうです。
カラーリングは、ヤマハの持つレーシングイメージを想起させるヤマハレーシングカラー(ブルー×シアン)を基調としながら、「YAMAHA Dual Twin Frame」の造形を引き立たせる塗り分け塗装が採用されています。デザインは、シンプルな形状とすることで軽快感を表現しながら、ヤマハらしいテクノロジーを感じさせる立体デザインを採用。
そのほか、バッテリー残量/速度/消費カロリー/ペダリングパワー(W)などの様々な情報が表示される液晶ディスプレイ「コンパクトマルチファンクションメーター」が搭載され、長距離ライドも許容する13.1Ahリチウムイオンバッテリー(充電時間は約3.5時間)。減衰力調整可能なフロントサスペンションや高い制動力を確保する大径油圧式ディスクブレーキなどが用意されています。
(塚田勝弘)