■450〜500km走行可能な100%電動クーペクロスオーバーSUV
以前お伝えしたように、2020年の七夕に新型Q3/Q3スポーツバックを日本で発売したばかりのアウディ。世界的なSUVブームが続く中、ドイツ本国で「アウディQ4 スポーツバック e-tron コンセプト」を発表しました。
同SUV(EV)は、2019年のジュネーブモーターショーで披露されたQ4 e-tron コンセプトの派生モデルで、2021年に生産が開始される見通しです。
Q3に対するQ3スポーツバックのように、SUV+クーペのクロスオーバールックが印象的なアウディQ4 スポーツバック e-tron コンセプトは、全長4.6m×全幅1.9m×全高1.6mで、2.77mのホイールベース、全幅はQ4 e-tron コンセプトと同値。
プラットフォームは電動車両向けのモジュール式プラットフォーム「MEB(modular electrification platform)」で、将来的にはコンパクトクラスから優れた中型クラスまで、フォルクスワーゲングループが生産する多くのEVに使われる予定です。
■0-100km/h加速は6.3秒の俊足SUV
Q4 e-tron コンセプトとQ4 スポーツバック e-tronコンセプトには、2つのモーターが225kWのシステム出力を発生し、駆動方式はAWDのクワトロと後輪駆動。
優れたトラクション性能により、Q4の両モデルは0-100km/h(62.1mph)までわずか6.3秒で加速し、最高速度は180km/h(111.8マイル)でリミッターが作動。
搭載されるバッテリーは、82kWhとかなりの大容量で、アクスルの間のアンダーボディのほぼ全面を占めています。WLTP規格に準拠した450km以上の航続距離は、同クラスではトップレベル。後輪駆動車で500km以上の航続距離を実現。
また、クワトロ(AWD)は、電子制御により前後トルク配分が最適化され、気象条件や路面を問わず最適なトラクションを確保するそう。高効率化を図るため、通常走行時などは、主にリヤのモーターが優先されます。
リヤモーターの最高出力は150kWで、310Nmの最大トルクを発揮し、フロントモーターは75kW・150Nmを前輪に供給。システム出力は225kW。バッテリーは、最大125kWで充電され、80%に達するまでに30分弱かかります。
エクステリアは、スポーツバックを謳っているように、流れるようなルーフラインが寝かされたDピラーに連続するデザインが目を惹きます。リヤは、水平基調のディフューザーと中央のe-tronのロゴが特徴的。ブランドロゴが配されるシングルフレームには、EVらしく従来のラジエーターグリルの代わりに、ほぼ直立した八角形(オクタゴン)のフレームの中に構造化されたクローズドサーフェスが採用されています。
また、前後フェンダーは、1980年に登場した初代クワトロ以来、アウディを際立たせてきたクラシックなデザインの流れを受け継いでます。コンセプトモデルらしくワイド化され、流れるようなデザインになっていて、サイドビューにアクセントを付加。バッテリーが搭載される車軸間のロッカーパネル部分を強調しているのもe-tronの特徴です。また、足元では、22インチの大径ホイールが存在感を放っています。
Q4 スポーツバック e-tronコンセプトのボディカラーには、光の角度によって緑がかった明るいメタリックとパール感のある新色である「キネティックグレー」を採用。ボディ下部は、ダークグレーになり、水平基調でワイド感の演出に貢献しています。
一方の車内は、空間を制限するトランスミッション用トンネルがないため、とくに前後席の足元が広く、スポーツバックでも窮屈な思いをせずにすみそうです。
また、電動化だけでなく、サステナビリティを最優先した素材選定がされています。フロアカバーにはリサイクル素材が使われ、クロムメッキの金属製装飾フレームの代わりに表面は高品質の多層塗装仕上げが施されています。
ヘッドレスト一体型の4つのシートには、肌触りの良いアルカンターラ素材を使用され、太い糸で縫われたダブルステッチが内装のアクセントになっています。
アウディは、2025年までに世界の主要マーケットで20台以上の100%電動駆動車を提供し、販売台数の約40%を電動化モデルで達成する予定としています。アウディQ4 スポーツバック e-tron コンセプト、Q4 e-tron コンセプトを含めて電動化戦略は、着実に前進しているようです。
(塚田勝弘)