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■アウディの売れ筋SUV・Q5が内外装をリフレッシュ
アウディはドイツ本国でプレミアムミドルサイズSUVと位置づけているQ5のフェイスリフト版を発表しました。日本にはSQモデル含め、Q2、Q3、Q5、Q7、Q8というSUV(Qシリーズ)が導入されています。
Q5のボディサイズは、全長4680×全幅1900×全高1665mmで、全長はともかく、1.9mの全幅は日本でのミドルサイズという感覚よりもワイドといえるでしょう。
都内ではQ7やQ8を時々見かけることもありますが、狭い住宅街などでの取り回しを考えるとQ5あたりまでが現実的という方も多いはず。
マイナーチェンジを受けたアウディQ5は、スポーティな内外装と走り、取り回しを含めた日常での使い勝手、最新のインフォテインメントシステムや先進安全装備の設定などが特徴。新型では世界初のデジタルOLEDテクノロジーによるリヤコンビネーションライトの採用がトピックスです。
アウディといえば、先進的なライトの積極的な採用で知られています。
リヤコンビランプに用意された次世代のOLED照明テクノロジーのOLED(Organic Light Emitting Diode/日本では有機発光ダイオードとも呼ばれる)は、均一な光面を生成するという、非常に効率的な有機発光ダイオード。
オプションになるOLEDリヤライトは、6つのセグメントから構成され、3つのタイルに分割されているそう。アウディのデザイナーと開発者は、同一のハードウェアを使用して、異なるライトデザインとシグネチャーを生み出すことができるようになったとしています。
■3種類のリヤライトシグネチャーの中から、好みのデザインを選択可能
さらに、新型アウディQ5には、LEDヘッドランプの上部に新しいライトシグネチャーが用意されたデイタイムランニングライトを搭載。
リヤビューでアイキャッチになるのは、左右のライトクラスターをつなぐ新しいトリムエレメントと水平フィンを備えた新しいディフューザーインサート。
標準仕様に加えて、2種類のデザインラインもオプション設定されます。
欧州などでは、3種類のリヤライトシグネチャーの中から好みのデザインを選択することが可能だそう。それぞれのライトシグネチャーは、独自のカミングホーム/リービングホームデザインを用意。
アウディドライブセレクトのモードを「ダイナミック」に切り替えると、ライトがさらに別のシグネチャーに切り替わるそう。ライトシグネチャーとドライブモード連動するユニークな仕掛けになっています。
また、OLEDリヤコンビネーションライトには近接検知機能も装備。他の車両などが停止しているQ5の後方から2m以内に近づくと、すべてのOLEDセグメントが点灯し、Q5が動き始めると元のライトシグネチャーに戻るそうです。
OLEDリヤライトを搭載した全モデルには、ダイナミックターンインジケーターが用意されます。ほかにもLEDヘッドライトが標準装備され、マトリクスLEDヘッドランプをオプション設定。
マトリクスLEDヘッドランプのアダプティブハイビームには、他車などを幻惑させない機能ももちろん搭載されています。
■多彩なエンジンラインナップとマイルドハイブリッドを採用
パワートレーンをチェックすると、欧州には「Audi Q5 40 TDI」が最初に導入されます。パワフルな2.0L 直列4気筒ディーゼルエンジンは、150kW(204PS)の最高出力と400Nmの最大トルクを発生。
アルミニウム製クランクケースの重さは約20kgで、クランクシャフトも約2.5kg軽くなり、従来のエンジンよりも軽量化も果たしたそう。なお、複合モードにおける燃料消費量は5.4~5.3L/100km、複合モードにおけるCO2排出量は143~139g/km。
エンジンの軽量化に加えて、マイルドハイブリッドシステムも燃費の向上に貢献しています。
ベルト駆動式スタータージェネレーター(BSG)が搭載され、コンパクトなリチウムイオンバッテリーが組み込まれた12Vの車載電源システムに電力を供給。BSGはブレーキエネルギーを回生し、バッテリーを充電します。
マイルドハイブリッドシステムにより、エンジンを停止した状態でコースティング(惰性走行)することが可能で、22km/h未満の速度でアイドリングストップ機能が作動。これにより100km走行あたり約0.3Lの燃料消費が削減されます。
また、Audi Q5 40 TDIの0-100km/h加速は7.6秒で、最高速度は222km/hとスポーティな走りを身上とするSUVにふさわしい加速性能を備えています。
同ディーゼルエンジンは、最新の「Euro 6d-ISC-FCM」排出基準と「EU 6 AP」の要件をクリア。デュアルAdBlue(アドブルー)インジェクションを備えた新しい二段階SCRシステムにより、窒素酸化物の排出量が大幅に削減されています。AdBlue(尿素水)は、直列に配置された2つのSCR触媒コンバーターの上流に噴霧されます。
さらに今後は、多くのエンジンが追加される予定です。
上記のディーゼルエンジンに加えて、さらに2種類の4気筒TDI(ディーゼル)、V6 TDI(ディーゼル)、2.0L 4気筒TFSI(ガソリン)。プラグインハイブリッドドライブが搭載され、欧州で好調なセールスを記録しているという「Audi Q5 TFSI e」も、2種類の出力バージョンで再登場するとしています。
Audi Q5 40 TDIに組み合わされるトランスミッションは7速Sトロニックで、駆動方式はウルトラテクノロジー付きquattroフルタイム4WD。
こちらは、通常走行時は、すべての駆動力が前輪に振り分けられ、滑りやすい路面やスポーティな走行中に4輪駆動が必要になった際に、2つのクラッチが駆動力を瞬時に後輪に配分するシステムです。
■新型アウディQ5の内外装をチェック
エクステリアでは、デザイン変更でより大型のバンパーを採用したことにより、全長が19mm長くなり4.86mになっています(ただし、日本仕様は同じ全長となる)。ドアミラーを除いた全幅は1.89m、全高は1.66mで変更はありません(欧州仕様)。
2.82mのロングホイールベースは、広々としたキャビンを実現。後席には、前後スライド、リクライニングが可能なリヤシートをオプションで用意。このオプションを装着した際の荷室容量は、520〜1,520L。
先進的なライトと共にアウディが注力するインフォテインメントも最新バージョンが用意されています。
先代の「MIB 2」の10倍の処理能力を持つ、第3世代のモジュラーインフォテインメントプラットフォーム(MIB 3)がベースになり、多彩な機能を用意。
標準仕様には、真ん中にドライバーインフォメーションシステムを備えた従来型のメーターパネルが装備されます。
最上位バージョンには、3種類の異なるグラフィックレイアウトを備えた高解像度12.3インチディスプレイ「アウディバーチャルコックピットプラス」を用意。ドライバーは、マルチファンクションステアリングホイールを介してディスプレイを操作することが可能で、オプションでヘッドアップディスプレイを装着することもできます。
インパネ中央には、10.1インチMMIタッチディスプレイが標準装備されます。文字入力はもちろんボイスコントロールなどに対応。また「Audi connectオンラインサービス」も用意されます。
インターネット、交通インフラとつながり、ナビでは「Google Earth」から得る高解像度の衛星画像に加えて、レーンごとの交通の流れや、交通渋滞予測に関する情報も提供されるそう。
さらに、標準の「DAB+デジタルラジオ」のAmazon Alexa(アレクサ)サービスを利用すると、何千ものAlexaスキルにアクセスすることが可能になります。「myAudiアプリ」を使えば、頻繁に利用するナビの目的地からシートの位置、好みの空調設定に至るまで、様々な個人設定を6つのユーザープロフィールに保存できるそう。
これらのデータはクラウド内のmyAudiカスタマーポータルに保存され、この機能に対応した車両において認証済みのユーザーが利用できます。
先進安全装備も用意されます。標準装備の「アウディプレセンスシティ」は、衝突被害軽減ブレーキに加えて衝突後の2次被害を軽減するシステム。
さらにターンアシスト、衝突回避アシスト、エグジットワーニングシステムもオプション設定されます。アダプティブクルーズアシスト(ACC)には、車間距離、速度の維持だけでなく、予測効率アシストも備わり、運転をサポートすることで燃費向上に寄与するとしています。
新型アウディQ5は、メキシコのサンホセチアパス工場でラインオフされ、2020年の秋に世界中のマーケットに導入される見込み。
ドイツにおけるAudi Q5 40 TDIのベース価格は、48,700ユーロ(約589万6400円)です。なお、上記の内容は欧州仕様で、日本仕様の詳細は明らかにされていません。
(塚田勝弘)