■最も身近でリーズナブルな軽自動車で本気の競技
2005年から2011年まで販売されたダイハツの軽自動車「エッセ」は、6代目ミラをベースとした5ドアハッチモデル。その車名は「ESSENCE(エッセンス・本質)」に由来した造語で、軽自動車の本質を見直したモデルでした。
軽自動車規格サイズを目いっぱい使う近年の車種とは異なり、全長3395mm×全幅1475mm×全高1470mmという少しコンパクトなサイズで、女性ユーザーをターゲットにしたシンプルでリーズナブルな実用車として登場。
内装は鉄板むき出しだったりしていますが、その車重は700㎏ほどと軽量で、3気筒12バルブKF-VE型エンジンは最高出力58ps/7200rpm、最大トルク6.6kgm/4000rpmと大きなトルクで軽快な走りを見せるモデルでした。
当時の新車販売台数も多かったので、現在も手ごろな価格で中古市場に出回っています。手軽にスポーツドライビングを楽しめるクルマとして一部では人気があるモデルとなっています。
そんなエッセを使って3カテゴリでのモータースポーツ競技で日本一を決めるというシリーズが初めて開催されました。それが日本初(もちろん世界初)のエッセだけのワンメイクレース「ALL JAPAN ESSE CUP(AJEC)」です。
ジムカーナ、林道アタック、サーキットトライアルの3カテゴリーでの競技を行い、各ラウンドのポイント制でシリーズを争います。今シーズンは全6戦(1大会2ラウンド)の開催となります。
その第1戦および第2戦のジムカーナによる大会が6月28日(日)、岐阜県恵那市にある恵那モーターパークで開催となりました。走行会や練習会ではなく、もっと本気で競技をしたいというエッセオーナー、そしてジムカーナ戦ということでこのエッセカップにダブルエントリーで参戦をする合計14名11台が集結しました。
この日のスケジュールは、2回の練習フリー走行の後、2本を走行してその計測2本のうちのベストタイムで順位を決めます(パイロンタッチは5秒の追加となります)。これが第1戦。
そしてジムカーナらしくコースを変更して第2戦を行います。こちらも同じように2本の練習走行の後、2本の決勝計測をします。
まず練習走行では、コースを確認しながらの走行から各選手がスタートしていきます。朝まで残っていた雨は走行がスタートするころには上がり、路面は徐々に乾いていきます。
ジムカーナ経験者で、エッセを楽しんでいる選手が最初からタイムを刻んでいきますが、中でもゼッケン14をつけた「水色エッセ」の加藤正夫選手が1分フラット(1分00秒862)のタイムで頭一つ飛びぬけます。
路面状況がさらに良くなった2本目も、そのタイムを上回る車両はいませんでした。
このタイムに迫ったのは、今回ダブルエントリーで行徳聡選手のエッセを借りて参戦の河合勇喜選手(1分02秒921)。そして2本目にタイムアップをしたもののパイロンタッチのため5秒加算で2本目は1分07秒271で9番手に沈んだ安部由和選手(1本目のタイムは1分03秒292)が3位に入りました。
そして午後、路面が完全にドライになって開催された第2戦。コースは変更され、360度ターンが増えるなど、よりテクニカルなコースとなって開催されました。ここでは開幕戦を制した加藤選手が1本目にミスコースするハプニングもあり、1本目終了時点でトップタイムは、開幕戦3位であった安部選手(58秒351)でした。
「加藤選手がどのくらいのタイムで来るのか全く分からなくなったのでコンマ一秒でも削りたいって思って2本目も行きました」という阿部選手は、2本目も気を抜かず57秒721のタイムで見事優勝を飾りました。一方の加藤選手は59秒145のタイムで2位に入り、3位には59秒343のタイムで武藤功二選手が入りました。
まずは初戦のジムカーナ・カテゴリーを終えたエッセカップですが、ランキングは、加藤選手(15ポイント)、安部選手(13ポイント)、そして、第2戦を6位で終えた河合選手(7ポイント)の順となります。
この後、林道アタックとなる第3戦および第4戦は10月10日に長野県内の某林道、そしてサーキットトライアルとなる第5戦および第6戦は三重県鈴鹿市にあるモーターランド鈴鹿で11月28日(日)に開催の予定です。