【祝・アルファロメオ総選挙第1位】元貧乏オーナーが語る156へのラブレター

■ティーポ33やジュリア・スプリントを抑えて156が人気1位に!

「あったー!」
押し入れからハードディスクの中まで、大捜索して1枚だけみつけました。

筆者が汗だくになって探し出したのは、アルファロメオ156の写真(タイトルの画像)。なんでかって? 情報に敏感な方ならご存じかもしれません。

6月24日に、イタリアのアルファロメオは創立110周年を迎えました。それを記念して日本で行われたのが「ALFA ROMEO総選挙」。歴代アルファロメオ車の人気ナンバー1を決めるこの投票で、156が1位に輝いたのです。ティーポ33/2やジュリア・スプリントGTなどなど、数々のアルファの名車たちを抑えての栄誉です。

アルファ156カタログ
写真と一緒に、1万回くらい見返した当時のカタログが出てきました。

そして筆者はといえば、1997年の東京モーターショーに出品された156に一目ぼれ。ほぼ1日、会場でクルマを舐めるように観察したあと、カミさんに土下座してマンションの購入資金を全額つぎ込み、2.5リッターV6モデルを購入した元オーナーというわけです。まあハンコは押したもののすでに156には予約が殺到。納車がいつになるか分からないと言われて、知り合いからボロボロのBMWを5万円で譲り受け、約8か月間、つなぎに乗っていました。エンブレムの入った赤い鍵を受け取った日は、カミさんや子供(ほぼ寝ているだけ)といっしょに、真夜中までクルマのそばにいて、頬擦りしたりしてました。

156のカタログ
古典とモダンを絶妙に融合させたエクステリア

●東名・大井松田が快感ゾーン

そもそも156は、超個性的なデザインとDTMでの活躍で名を馳せた155の後継モデル。155のテイストを受け継ぎ、前衛的なデザインで出てくるのかと思ったら、デザイナーのワルター・デ・シルバは「1周回って新しくしました」的な70年代懐古調テイストを全身にまとわせ、クルマ好きの心をわしづかみにしてしまいました。インテリアも、現代のインフォテインメント最優先のテイストとは無縁のかっこよさ。リアドアのノブをサッシュ部分に巧妙に埋め込んであるあたりも、初代ジュークやCH-Rの先駆けといえますね。

筆者の156は帰省の足からスキーエクスプレスまで、大活躍してくれました。鼻先に重いV6をぶら下げているわりには、こぶし1個分くらいの微小舵角の応答性が敏感で、スポーツセダンの面目躍如といったところ。とはいえ大舵角を与えるとやはりアンダーステアが顔を出すので、峠のワインディングよりも、東名・大井松田あたりの高速コーナーが一番気持ちよかったように思います。

156 GTA
2002年に追加されたバカッ速モデル、GTA。3.2リッターV6で250psを発揮。

●「ほんとはFRに生まれたかったんじゃないのか?」

トラブルの思い出はほとんどありませんが、近所の中学生にホイールのエンブレム入りセンターキャップを全部盗まれました。「これもアルファ乗りの宿命よ」と冷静を装いつつ、思わぬ出費に涙した記憶が。結局その思い出を忘れたくて、ホイールをマットブラックのスピードライン・ウルティモ(+ローダウンスプリング)に交換。ところが今度はリアタイヤがフェンダー内側と干渉するようになり、ホイールハウス内のフェンダーの爪を折ったり、ドロ縄式の出費につながりました(泣)。いい授業料だったと思います。

アルファ156カタログ
インフォテインメントなど無縁だったころのインパネ周り

結局、156には7年くらい乗りました。今こうして発掘された写真を見ていると、クルマがすべてだった当時の自分が思い出されて恥ずかしいです。しいて言えば、私は156に「おまえ、ほんとはFRに生まれたかったんじゃないのか」と聞いてみたい。まあその役目は、現在のジュリアがしっかり実現してくれているわけですが。

ともかく私の156よ。総選挙1位おめでとう。山のような楽しい思い出をありがとう!

自宅前の156
自宅駐車場の156。当時どこでもこの格好で写真におさまっていた愚息と。

【アルファロメオ総選挙ベスト20】
1位:アルファ156
2位:アルファ155
3位:ティーポ33/2ストラダーレ
4位:4C/4Cスパイダー
5位:ジュリエッタ
6位:ジュリア
7位:アルファ147
9位:ジュリア スプリントGTA/GTAm*
9位:SZ/RZ*
10位:ブレラ/スパイダー
12位:アルファ156GTA*
12位:GTV/スパイダー*
13位:スパイダー
14位:アルファ159
15位:ミト
16位:ジュリア スプリントGT
17位:アルファ147GTA
18位:8Cコンペティツィオーネ/8Cスパイダー
19位:ジュリエッタ スパイダー
20位:1750/2000GTV
*9位と12位は同票数

(文:角田伸幸)

【関連リンク】
Alfa Romeo 110周年スペシャルサイト
https://www.alfaromeo-jp.com/info/campaign/2020/110anniversary/

この記事の著者

角田伸幸 近影

角田伸幸

1963年、群馬県のプロレタリアートの家庭に生まれる(笑)。富士重工の新米工員だった父親がスバル360の開発に立ち会っためぐり合わせか、その息子も昭和期によくいた「走っている車の名前が全部言える子供」として育つ。
上京して社会人になるも車以上に情熱を注げる対象が見つけられず、自動車メディアを転々。「ベストカー」「XaCAR」で副編集長を務めたのち、ポリフォニー・デジタルにてPlayStation用ソフトウェア「グランツーリスモ」シリーズのテキストライティングに携わる。すでに老境に至るも新しモノ好きで、CASEやパワートレインの行方に興味津々。日本ディープラーニング協会ジェネラリスト検定取得。大好物は豚ホルモン(ガツとカシラ)。
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