■BMW各モデルを家族や友人などと容易にシェアできる
「スマホがクルマのキーになれば」と考えたことがある方も多いのではないでしょうか。筆者もかなり以前からデジタル技術見本市などでデモを見てきたので、これは便利そうと大きく頷いたことが何度もあります。
今までは、道路運送車両法に基づく保安基準により、クルマのドアロック、アンロック(イモビライザーなどの盗難発生警報装置の解除、作動含める)する専用キーが必要でした。つまり、規制によりスマホをキー代わりに使うことはできませんでした。
しかし、普及するカーシェアリングなどに対応するため、カーシェアリングや社用車などでの実証実験が開始され、2019年10月には、道路運送車両法に基づく保安基準が改正。スマホ(リモコン)の無線通信を使いロック/アンロック、エンジン始動が可能になっています。
■iPhoneがあれば最大5人までクルマのシェアが容易に
そんな中、BMWはドイツで「Digital Key for iPhone」のサポートを発表しました。iPhoneをクルマの鍵として使ってロック、ロック解除が可能になり、家族や友人などと鍵の共有を安全で簡単に行うことができます。
「Apple Worldwide Developer Conference」においてBMWは、ユーザーがiPhoneをデジタルリモコン(カー)キーとして使用できる最初の自動車メーカーになるとアナウンス。デジタル・キーの設定は、BMWスマートフォン・アプリから行えます。
さらに、iPhoneをトレーに入れてスターターボタンを押し、タップするだけで簡単にスタートできます。
また、クルマのオーナーは最大5人の家族や友人とアクセスを共有することが可能。主に若いドライバー向けとして、最高速度、出力、ラジオの最大音量などを制限する設定可能な「カー・アクセス・オプション」も設定されています。
アクセスの管理は、車内からだけでなくApple Walletからも行うことが可能。Apple Watchとの互換性も備えているそう。
AppleとBMWは、「MirrorLink」などで知られるカー・コネクティビティ・コンソーシアム(CCC)と緊密に連携し、世界標準の確立を推進してきたそう。
2020年5月にはNFC対応(近距離無線通信)のDigital Key仕様2.0が発表されており、ウルトラワイドバンド(超広帯域無線通信)技術を採用した次世代のDigital Keyもすでに準備が進められています。
BMWは、iPhone用のDigital Keyを45か国の幅広いモデルで利用できると明らかにしていて。BMWの各モデル(1、2、3、4、5、6、8、X5、X6、X7、X5M、X6M、Z4)が対象。
2020年7月1日以降に製造されたモデルから対応しており、iPhoneの対応機種は、iPhone XR/iPhone XS以降、Apple Watch Series 5以降になります。
さらに「Apple Worldwide Developer Conference」では、「Apple Maps」を使ったBMW製EVの「スマートルート」も発表されています。BMWとAppleは「CarPlay」ユーザーがBMWのEVでドライブする際、いつどこで充電するべきかを自動的に考慮することで、従来以上に簡単に長距離移動ができるようになる新機能を発表。
ドライバーは、iPhoneで事前にドライブの計画を立てたり、クルマに乗る際に「Apple CarPlay」を使って目的地を入力したりするだけで、「Apple Maps」が航続距離と途中の充電ステーションの場所に基づいて最適なルートが選択できます。
このシームレスでシンプルな機能は、来年発売されるピュアEVのBMW i4で初めて利用できるようになるそうです。現時点での日本での対応はアナウンスされていませんが、iPhoneのシェアが高い日本での採用が期待されます。
(塚田勝弘)