最大9名の乗車が可能な電動ミニバン・シトロエン「e-スペースツアラー」が発表

■約230kmの走行が可能なミドルサイズのEVミニバン

シトロエンはバッテリーEV(ピュアEV)の「e-スペースツアラー」を発表しました。

18のモジュールからなる50kWhのバッテリーを搭載し、143マイル(約230km)の航続距離(WLTP)を実現。EVならではの静粛性や運転の楽しさ、CO2排出量ゼロの制限区域へのアクセスが可能になるモデルです。

なお、バッテリーの保証期間は8年間または100,000マイル/約16万934km(バッテリー容量70%まで)。

シトロエン e-スペースツアラー
100%電動駆動のシトロエン「e-スペースツアラー」

最高出力は100kWで、最大トルクは260Nm。最高速度は全走行モード(エコ、ノーマル、パワー)で時速80マイル(約130km/h)とアナウンスされています。

シトロエン e-スペースツアラー
シトロエン「e-スペースツアラー」のフロントグリルまわり

■最新のドライバー支援システムも完備。3つの走行モードを用意

全長は4.95m、全高は1.9m、ホイールベースは3.27mで乗車定員は最大9名。個人ユースだけでなく、送迎車などとしての利用も想定されているそうです。

広大なキャビンや収納、トランク容量などによる高い実用性を備え、操縦性を向上させる効率的なアーキテクチャが採用されています。

衝突被害軽減ブレーキをはじめ、ヘッドアップディスプレイ、トップリヤビジョンカメラ、ヒルスタートアシスト、ドライバーアラート、ブラインドスポットシステム、コーヒーブレイクアラートなどの先進装備も用意。

シトロエン e-スペースツアラー
e-スペースツアラーのリヤビュー

「EMP2」モジュラー・プラットフォームが採用された「e-スペースツアラー」は、様々な用途に適した効率的な構造を持ち、優れたトランク容量と街中での高い操縦性を実現しているそう。

シトロエン e-スペースツアラー
多彩なシートアレンジにより高い積載性を実現する

EVとしての装備では、「エコ」「ノーマル」「パワー」の3つのドライブモードが配置されています。

電力消費量(ECOまたはPOWER)と充電(CHARGE)情報を表示するパワーメーター、バッテリーの充電状態を示すインジケーター、エアコン(暖房、空調)の消費量計を用意。さらに、エネルギーフローの表示、バッテリー残量、車両の充電状態も表示。

「ノーマル」モードは80kW/210Nmという出力とトルクで、航続距離とダイナミック性能のバランスが図られたモードです。「エコ」モードは60kW/190Nmというアウトプットになり、エアコンを省燃費モードにしながら、モーターのトルクと出力を制限することで、エネルギー消費を最適化。

「パワー」モードは、100kW/260Nmという数値で、ダイナミックな走りを提供します。

シトロエン e-スペースツアラー
e-スペースツアラーのサイドビュー

回生モードは2つ用意されていて、従来のエンジンに近いフィーリングの「スタンダード」と、アクセルペダルから足を離したときの減速度を高める「エンハンスド」。後者は、ギヤボックスコントロールの「ブレーキ」ボタンで操作できます。

充電方法3つ。自宅などでの充電は、モード2ケーブルが必要(自宅、職場、駐車場での充電用)。家庭用標準ソケットに対応(ケーブルを付属)。

民間または公共の加速充電は、「ウォールボックス」とモード3ケーブルが必要で、32Aケーブル(車両に標準装備)。8時間以内で0から100%まで充電(7.4kWウォールボックス)が可能。公共の充電ポイントでの超高速充電(充電器にケーブルが組み込まれています)は100kWまで。50kWhのバッテリーを30分で80%まで充電できます。

「フィール」と呼ぶグレードは、5人乗り・7人乗り・8人乗りを設定し、助手席と2列目・3列目を倒すことで、フラットなスペースが出現します。ほかにも、荷室スペースを調整することで、最大9人まで乗ることができます。

シトロエン e-スペースツアラー
e-スペースツアラーのラゲッジ、充電イメージ

ポケッテリアでは、開閉可能な収納がキャビン全体に配置されています(最大74L)。フロントのグローブボックス下部の収納スペースには、オーディオジャック、12VとUSBソケットなどを用意。

ダッシュボードの両サイドにはカップホルダーが配置され、フロントドアには1.5Lのボトルを収納できる大型の収納ボックスを2つ設置。2列目と3列目には、折りたたみ式トレー、サンブラインド、12V/220Vコンセントをご用意しています。

欧州では2020年末にもデリバリーされる見込みのシトロエン「e-スペースツアラー」。日本での発売の有無や詳細は明らかにされていません。まだまだミニバン大国である日本市場との親和性は高そうですが、どうなるでしょうか。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
続きを見る
閉じる