■クラウンからハイエースにバトンタッチ
トヨタの救急車を手がけているトヨタカスタマイジング&ディベロップメント。以前お伝えしたように、2020年5月にハイエース・ベースの救急車を一部改良させ、最新の安全装備を用意するなど、事故が許されない救急車の安全対策が施されています。
トップシェアを誇るトヨタ製の救急車は、長い歴史があります。トヨタカスタマイジング&ディベロップメントから古い救急車の写真を提供していただきましたので、分かる範囲でトヨタ製救急車を振り返ってみたいと思います。
私事ですが、私の父は、日本における救急救命士の第1期生の1人でした。昭和の頃の思い出深い救急車を聞いてみると、メルセデス・ベンツの救急車が印象深かったそう。車内は広くて大きな機材は使いやすい反面、小回りが利かず、シートのクッションも当時のトヨタ製の方が良かったそうです。車内は広い一方で、日本の道路事情に合うハイエースの方が狭い道では扱いやすかったようです。
なお、救急救命士施行後、父が乗っていたのもハイエースをベースとした高規格準拠救急車も現在につながるトヨタ・ハイメディックだそう。トップシェアなのがうかがえます。
さて、昔の写真をチェックすると、クラウンをベースとした救急車があり、現在との違いを感じさせます。昭和31年から35年頃の「BH26」型はトヨタ・パトロールがベースのようです。
昭和35から37年頃の「FS35V」型は、サイドウインドウ下に細い赤帯が配されていて、現在のトヨタ救急車の赤帯は、この時代の名残なのだそう。当時は消防救急車と日本赤十字社救急車を区別するための印だったとのことです。
昭和38年から43年頃の「FS45V」型は、救急業務が法制化された時代の救急車です。「トヨタメトロポリタン型救急車」という車名でした。ランドクルーザー用のF型エンジンを搭載。
昭和43年から46年頃の「FS55V」型もクラウンがベースで、全長5490mm・全幅1700mmという巨体だったようです。
その後、昭和45年〜46年頃にクラウンからハイエースベースにバトンタッチしています。写真のLH66V型(4WD)は、昭和61年から平成元年まで活躍。
ハイエースベースになり、患者や怪我人の乗せ降ろしが楽になり、さらに救急隊員の救助もやりやすくなったそうです。
(文/塚田勝弘・写真/トヨタカスタマイジング&ディベロップメント)