■「TX」はレンジエクステンダー式EVタクシー
日本でも知名度の高いロンドンタクシーは、光岡自動車による「TX1」、日産の「NV200ロンドンタクシー」など、日本の自動車メーカーも関わってきました。
現在は、ボルボなどと同じ中国のジーリー傘下で、社名も「LEVC (London Electric Vehicle Company)」に変わっています。「LEVC」は、環境負荷の小さい商用車のリーダーになるというビジョンを掲げ、世界唯一となる専用設計されたレンジエクステンダー式EVタクシーを生産。
新型コロナウィルスが猛威を振るった英国でも移動制限が緩和される中、LEVCのEVタクシーである「TX」は、乗客の安全な移動手段として不可欠な存在になっているそう。
日本と同様に、イギリスでも仕事復帰の動きが目立っているとのこと。英国政府は、公共交通機関の利用を控えるよう積極的に呼びかけており、いわゆるソーシャルディスタンスの確保が大きな課題になっています。
「TX」タクシーは、ドライバーと乗客を分離した専用設計により、乗客に安心感を与えています。
リヤシートに座る乗客はドライバーから約2m離れていて、さらにドライバープロテクションスクリーン(乗務員保護用仕切板)がドライバー側と乗客側の二つの空間同士を完全に仕切っています。
仕切板は標準装備されていて、専用設計のため、英国の型式指定に準拠しているという特徴もあるそう。
また、乗客のシートまわりは耐久性があり、清掃も容易なので、ドライバーは運行ごとに車内を衛生的に保つことができます。
支払いは、後席での非接触型決済が利用可能で、乗客はソーシャルディスタンスを保ったままキャッシュレスで支払いが完了します。また車載インターフォンにより、ドライバーが正面を向いたまま、乗客と対面することなく明瞭な音声で車内通話をすることができます。
さらに空質センサーが外気の汚染レベルの増加を検出すると外気導入口を自動的に閉じ、有害な汚染ガスや微粒子の車内への侵入を防ぐマルチフィルター空調システムを備えるといった万全の準備が行われ、乗客を迎えています。
日本ではトヨタのJPN TAXI(ジャパンタクシー)が日本の風景を変えています。英国では「TX」タクシーがその風景を変え、「ニューノーマル」と言われる新しい時代に対応しています。
(塚田勝弘)