今はなき自動車ブランドの名車も集う「ロンドン・コンクール2020」

■ファセル・ヴェガ、ビッツァリーニ、アルヴィス、ジェンセンなどが登場

ロンドンのクラシックカーイベント「ロンドン・コンクール」が「失われたブランド」の展示を発表しました。

フランスのファセル・ヴェガ、イタリアのビッツァリーニ、イギリスのオースティン・ヒーリー(ヒーレー)、同じくイギリスのアルヴィス(アルヴィス・カー・アンド・エンジニアリング・カンパニー)、ジェンセン(ジェンセン・モーターズ)などのモデルたちがディスプレイの一部として芝生を彩ります。

ファセルベガ HK500
ファセルベガ HK500

2020年は8月19日から20日まで開催される「ロンドン・コンクール」は、名誉ある砲兵隊本部で開催される予定となっています。自動車の黎明期から現在まで、生き残っている自動車メーカーは少数派といえるでしょう。

「ロンドン・コンクール」はありがたいことに、消え去ってしまったメーカーでも、その功績を示す感動的な「彫刻」として残っていると表現しています。「ロンドン・コンクール2020」では、今はもう存在しないブランドの美しく、革新的で速いロスト・マルクを再び紹介するとしています。

全部で12台の伝説が展示されますが、「ロンドン・コンクール」は、その中からいくつかをピックアップしています。

「ファセルベガ HK500」は、オーナーであるジャン・ダニノスが1950~60年代のグランドツアラーに、「フランスのエレガンスとクラフトマンシップ」をアメリカのセンスで体現したクルマを作りたい、と考えたことがきっかけで誕生した国際色豊かなモデル。

HK500は、1959年から1961年までに生産された500台のうちの1台で、3.6Lのクライスラー・ヘミV8が搭載されていて、最高速は時速100mph(約161km/h)を簡単に超えたそう。オーナーの多くはセレブであり、クライスラー製ATとフランスの4速MTの2つのギアボックスオプションが設定されていました。

●ビッツァリーニなど今はないブランドの名車が揃う

ジョット・ビッツァリーニによる「ビッツァリーニ」は、アルファロメオのテストドライバーとしてスタートした後、フェラーリに移籍して250GTOの開発に携わりました。

その後、自身の会社であるビッツァリーニを設立し、アメリカのパワートレーンを取り入れたイタリアンデザインを数多く生み出しました。その中には、シボレーV8を搭載し、中央のドライビングポジションと1966年のル・マン24時間レースに出場するためのスピードを備えた「ビッツァリーニ P538レーサー」も含まれています。

ビッツァリーニp538
Bizzarrini P538

「ジェンセンC-V8」は、ランボルギーニ・ミウラを時速60mph(96.56km/h)までリードし、当時の市販4シーターカーの中では最速の1台とされていました。1962年から1966年まで製造されたジェンセンは、グラスファイバーボディの「C-V8」にクライスラー製V8エンジンを搭載。

ジェンセンC-V8
Jensen C-V8 MKIII

「アルビス・スピード25」は、1930年代に生産された最高級車の1台と評価されていたそう。その滑らかでパワフルな3571ccエンジンは0-50mph(80.47km/h)を11秒で走り、最高速度は95mph(154.5km/h)を記録したそうです。

ユニパワーGT
Unipower GT

さらに、「ロンドン・コンクール2020」では、初の量産型「ユニパワーGT」が展示されます。カルロ・アバルトの作品にインスパイアされたコンパクトミッドエンジンモデルは、アーニー・アンガーによってデザインされ、フォードGT40と同じ車高。

わずか72台のみが製造され、わずか590kgの重量を誇るこの1960年代の英国製スペシャルカーは、チューブ状のスペースフレームをエアロダイナミックなボディに結合して作られています。現存するのはわずか40台のみで、その多くは日本に保管されているそうです。

ロンドン・コンクール2020
ロンドン・コンクールの様子

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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