ポルシェ911シリーズにクーペの快適性とカブリオレの開放感を備えた「タルガ4」「タルガ4S」を設定【新車】

■デビューから55年の歴史をもつ最新タルガ。ルーフ開閉は全自動で19秒で完了

1台でクーペとカブリオレのいいとこ取りといえるポルシェ911「タルガ」は1965年に発表され、1967年モデル以降の911に固定式ロールオーバーバーと、着脱式ソフトトップを備えた「セーフティカブリオレ」として新たに設定されたのが始まりです。

その車名は、シチリア島のロードレース「タルガ・フローリオ」から由来し、タルガ・トップとも呼ばれています。ポルシェだけでなく、フェラーリやNSXタイプTなどもあり、身近で懐かしいところでは、スバルのヴィヴィオ T-topなんてモデルもありました。

ポルシェ 911 タルガ
新型ポルシェ・911タルガ4/タルガ4Sの受注を開始

クーペやカブリオレと比べると、ニッチではありながらも、定番メニューとして用意してきたポルシェ911のイメージが強い方も多いでしょう。

■タルガバー、ラップアラウンド型リヤウインドウなど初代911タルガを受け継ぐ

ポルシェ ジャパンは、「911タルガ4」と「911タルガ4S」の予約受注を2020年5月18日に開始しました。8代目となる新型ポルシェ911に、クーペ、カブリオレに続いてタルガが設定されたことになります。

なお、近日中に誕生予定の911タルガの特別仕様車は、伝統的なスタイルを受け継ぎながらも、時代を超越したデザイン、最先端技術が組み合わされているそうです。

ポルシェ 911 タルガ
新型911タルガ4/タルガ4Sの走り

新型911タルガは、全自動開閉式のルーフシステムを備え、特徴的なタルガバー、前席頭上の可動式ルーフセクション、ラップアラウンド型リヤウインドウを備えています。ルーフ開閉は19秒で完了。

ポルシェ 911 タルガ
新型911タルガ4/タルガ4Sの前後スタイル

外観で目を惹くのはタルガ・トップだけでなく、先代よりも強調されたフロントタイヤハウスと初代911のデザインを思い起こさせる独特の凹みを持つボンネットでしょう。

一方のリヤは、ワイドで可変展開式リヤスポイラーと連続的に統合されたエレガントなライトバーが印象的。前後セクションをのぞき、アウターパネルはすべてアルミ製です。

ポルシェ 911 タルガ
新型911タルガ4/タルガ4Sのインテリア

内装では、同ブランドの特徴である中央のレブカウンターをはじめ、フレームレスの薄型フリーフォームディスプレイが2つ用意されています。

「ポルシェコミュニケーションマネジメント(PCM)」の10.9インチのセンタースクリーンの下には、車両の主要機能に直接アクセスできる5つのボタンを備えたスイッチが配されています。

ポルシェ 911 タルガ
新型911タルガ4/タルガ4Sのリヤビュー

足まわりでは、フロントに19インチのアルミホイールと235/40ZRタイヤ、リヤに20インチのアルミホイールホイール、295/35ZRタイヤが装着されます。タルガ4Sモデルには、20インチのフロントホイールに245/35ZRタイヤ、21インチのリヤホイールに305/30ZRタイヤが標準装着されます。

また、タルガ4には、330mmブレーキディスク、ブラックの4ピストンモノブロック固定式キャリパーを装備。一方のタルガ4Sのブレーキキャリパーは、レーシーなレッド塗装が施されていて、フロント6ピストン、リヤ4ピストン、ディスクのサイズは前後ともに350mm。さらに、「ポルシェ セラミックコンポジットブレーキ(PCCB)」をオプションで対応しています。

ポルシェ 911 タルガ
新型911タルガ4/タルガ4Sのサイドビュー

「911タルガ4」に搭載されるエンジンは3.0Lの水平対向6気筒で、最高出力は283kW(385PS)を発生。オプションの「スポーツクロノパッケージ」をチョイスすれば、0-100km/h加速は、0.1秒短縮の4.2秒でクリアするそうです。

「911タルガ4S」の最高出力は、タルガ4から65PSアップの331kW(450PS)で、0-100km/h加速に要する時間はわずか3.6秒。911タルガ4の最高速度は289km/h、4Sの最高速度は304km/hです。

組み合わされるトランスミッションは、圧倒的な変速レスポンスを誇る8速PDK(デュアルクラッチトランスミッション)で、駆動方式は「4」が付くように4WDです。

また、新型911タルガ両モデルの走りを支える装備として、「ポルシェアクティブサスペンションマネジメントシステム(PASM)」が標準で搭載されます。同システムは、走りに合わせて減衰特性を自動的調整し、快適性とハンドリングを高めるデバイス。手動で調整できる「ノーマル」と「スポーツ」の2つのマップも用意されます。

ポルシェ 911 タルガ
新型911タルガ4/4Sのエクステリア

可変トルク配分の電子制御式リヤディファレンシャルロックを含めた「ポルシェトルクベクトリングプラス(PTV Plus)」は、タルガ4Sに標準設定され、タルガ4にはオプション設定。

その特徴は、ポルシェウェットモードの標準装備で、フロントホイールハウジングに装着されたセンサーが水を検知し、多くの水を検知するとコックピットに信号が送られ、ドライバーに手動でウェットモードに切り換えるように促す機能。ウェットモードでは、ドライビングレスポンスが路面状況に合わせて調整され、走行安定性が最大化されます。

クーペの快適性とカブリオレの開放感を1台で味わえるタルガ。911タルガ4の価格は1729万円、911タルガ4Sの価格は2060万円。両モデルともに、左ステアリング、右ステアリングが用意されていますので、好みに応じて選択できます。

デビューから55年の歴史をもつ最新タルガのステアリングを握るのは、ポルシェ愛好家ならずとも至高の時間であるはずです。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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