■誕生から20年超 「ヴィッツ/ヤリス」の系譜
1999年に発売されて以降、3代に渡り販売されて来た国内ネッツ店の看板車種「ヴィッツ」。4代目の発売を機に車名が国内外ともに「ヤリス」に統一されました。さらに4月には日欧で「ヤリス クロス」が発表されたこともあり、再び「ヤリス」に注目が集まっています。
「ヤリス」の歴史を紐解くと、日本のコンパクトカーがまだエントリーモデル然としていた頃、トヨタは走行性能や高速安定性、安全性の高さを備えたスターレットに代わる世界戦略車を開発、「ヤリス」(日本向けはヴィッツ)と命名。
こうして誕生した「ヤリス」は年間販売台数の6割以上を欧州で、2割以上を国内で「ヴィッツ」として売り上げることになり、日本市場にも配慮した開発が行なわれました。
1999年1月に発売された初代モデルは、ギリシャ人デザイナーによる革新的なデザインを採用。国内外で爆発的なヒットを記録し、5ドアコンパクトカーブームを引き起こすなど、世界のコンパクトカー市場に大きな影響を与えました。
続いて2005年2月に発売された2代目ではプラットフォームを刷新。ボディ剛性の向上を図り、衝突安全性を強化すると共にホイールベースを90mm拡大して居住性を向上。走行安定性、乗り心地も改善しています。
2010年12月に発売された3代目ではさらにホイールベースを拡大。空力性能を向上させ、低燃費と高速走行時の走行安定性をアップするとともに、2度に渡ってフロントマスクが大きく変更(下画像中・右)されており、2017年のマイナーチェンジモデルでは初代モデル比で全長が何と335mmも拡大されています。
そして2020年2月に車名を「ヤリス」に統一して日欧向けに発表された4代目では新開発「GA-Bプラットフォーム」を初採用。直3エンジンを搭載しており、先進安全装備「Toyota Safety Sense」を標準装備。
ハイブリッドモデルにおいては出力をアップしたモーターやリチウムイオンバッテリーの採用により高燃費を実現しています。
ちなみに、トヨタが今回、国内向けの車名を世界共通の「ヤリス」に統一した背景には、従来型からの乗換え需要に留まっていた3代目の販売状況から脱し、新規顧客の獲得を図る狙いがあったようです。
■日中米で異なる姿に変貌
一方、世界に目を移すと様々な種類の「ヤリス」が存在していることに気付かされます。3代目ヴィッツをベースに開発されたタイ向けの「ヤリス 」もその一つ。
さらに、以前にご紹介したとおり、同車にアクセサリーパッケージを装着することで車高を30mmリフトアップしたタイ仕様の「ヤリス クロス」も存在します。
車名は今回発表された「ヤリス クロス」と同一ですが、見てのとおりボディは別物です。
もっとも、新型「ヤリス クロス」についても、プラットフォームやパワートレーンはベースの新型ヤリスと共通ながら、ボディは全くの別物。
その他にも中国向けヤリス(下画像左)に加え、MAZDA2をベースにした米国市場向けのヤリス(下画像右)が存在するのも興味深いところ。
トヨタはMAZDAとのパートナーシップを有効活用。自社生産ではなく、メキシコに生産拠点(MMVO)を持つMAZDAの協力を得て、新型ヤリス発売後もOEMモデルを販売し続けているようです。
このように小さく生まれて大きく育ったヤリスですが、車名が「ヤリス」に統一されたとは言え、各国には各種のヤリスが存在しており、今後もこうした複雑な状況は続くものと予想されます。
(Avanti Yasunori・画像:TOYOTA)
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