欧米は覚悟を決めて経済活動を徐々に再開。日本に出口戦略があるのか?

■第2次世界大戦からも解るとおり、脱出戦略こそ重要

●海外メーカーは既に工場の再稼働がスタートしている

改めて説明するまでもなく非常事態宣言が長引けば、経済的に厳しくなってくる。東京に於ける大がかりな自粛は3月の下旬から始まっており、4月7日から本格的に経済活動を止めてしまった。非常事態宣言、本来なら5月6日までだったけれど、さらに伸びることを決めており、最短で5月一杯ということになりそう(正確な日程は5月4日に発表される)。

100歩譲って1ヶ月程度の延長で済めば良い。医療関係者の中には再延期もありうるという声も多いようだ。なぜか? 実際の感染者数が全く解らないため、本当に減ったかどうか判定出来ないのだという。改めて説明するまでもなく我が国はなぜか感染者検査(PCR等)を忌避してきた。したがって検査数を増やせば増やすほど感染者も増えていき、減って行かない。

第2次世界大戦を見ても解るとおり、こういったカオスに遭遇した場合、脱出戦略こそ重要。我が国は同盟国だったイタリアが負け、ドイツが負けても戦争を止められず最後は練習用の複葉機で特攻に行かせ、糧食無いのにジャングルで戦わせた。戦死者の7割が餓死や疫病によるものだと戦後の調査で判明してます。今のままだと経済が破綻しても自粛を続ける?

海外を見ると、ここにきて出口戦略を重視し始めた。ロックダウンを続けると経済も死ぬ。ヨーロッパでたくさん死亡者を出したのは、イタリア、フランス、スペイン、イギリス。4つの国は今でも日本を圧倒する少なからぬ感染者を出し、死亡者だって多い。けれど政治判断により、4月下旬から自動車メーカー(海外勢だけでなく日本勢も)の工場の再稼働が始まっている。

シュコダは、コロナウイルスのため、2020年3月18日にチェコ工場での生産を停止、閉鎖39日後に生産を再開しました。

さらに多くの感染者と死者を出したアメリカも、状況が少し良くなっただけで経済の再開の検討を始めた。直近では国を挙げて「経済か新型コロナか」という論争になっているものの、イケイケのトランプ大統領だけに前のめりの経済活動再開になりそう。GMとフォード、FCA、トヨタ、ホンダ等の自動車メーカーは、5月10日あたりから工場を再稼働させていくという。

もちろん欧米を見ていると、単に規制を緩くするだけじゃない。感染検査をたくさん行い、感染していれば行動制限を掛ける。アメリカやイギリスなどは免疫を持っているかの抗体反応チェックを広く行い、感染済みの人から現場に戻そうとしている。そして新薬を特急で認可するといった、対応策もキッチリ行っているのだった。新型コロナとの戦いです。

翻って我が国を見ると、具合の悪い人に対しても感染検査をしないものだから、普通のカゼだと思って歩き回る。アビガンという初期の新型コロナに対し9割の効果があると言われている素晴らしい薬を持っているのに、厚労省のメンツで使いたがらない(2002年のSARS騒ぎの後、アビガンかタミフルかと2択になり厚労省は後者を選んだ。それからアビガン嫌いです)。

今後どうなるだろう? 国が出口戦略をキッチリ持っているなら問題無し。でも感染者数に振り回されていたら、いつまで経っても収束しない。症状出た人がすぐ医療を受けられ、さらに症状軽いウチにアビガンを処方してもらえれば、高齢者と妊娠している方(妊活中の男女を含む)を除けば重症化する確率は大きく下げることが出来るだろう。ただゼロにはならない。

そこで政治判断です。「アビガンが絶対効くのか?」と問われたら、誰も答えられない。リスクゼロにはなりませんから。確率が出るだけ。(厚労省による「コロナウイルス感染症に対するアビガン(一般名:ファビピラビル)に係る観察研究の概要及び同研究に使用するための医薬品の提供について(https://www.mhlw.go.jp/content/000625757.pdf)」)

最終的に判断するのは、自分で責任を負うという覚悟の政治家である。アメリカは30の州で経済活動を再開するという。いずれにしろこのまま緊急事態宣言を続けていけば、破綻する企業も生活が成り立たなくなる人もたくさん出てくるだろう。

どうする日本?

(国沢光宏)