■特装車や救急車のベースにもなっているハイエースを活用
以前お伝えしたように、トヨタがJPN TAXIを使い、軽症者向けの新型コロナウィルス感染者移送用車両を製作し、11台(4月30日時点)を自治体や病院などに提供しています。
ホンダもオデッセイ、ステップワゴンをベースにした「感染者を搬送するための車両(仕立て車)」を作り、東京都港区、渋谷区に提供。
そのほか、マツダも同様の車両製作を検討中としています。日産グループもエルグランド、セレナ、キャラバンなどの医療物資搬送用車両を神奈川県に提供。また、医療従事者を含めた多くの人に車両を貸し出しているガリバーなど、自動車メーカーにとどまらない動きもあります。
海外でもジャガー・ランドローバーは、世界の赤十字などに車両を提供していて、グループPSAも医療従事者にカーシェアリング車両を提供するなど、世界的な動きになっています。
●トヨタ車体がハイエースをベースに開発
そんな中、軽症者向けだけでなく重傷者向けの車両提供もトヨタが提供を開始しました。2020年4月30日、トヨタは重症患者の移送用車両1台を昭和大学病院に提供しました。
同車両は、医療機関からの多様な要望を基にトヨタ車体がハイエースをベースに開発、架装を行ったもので、重症患者向けの移送用車両としての提供は今回が初。
なお、トヨタ車体は、アルファード/ヴェルファイア、グランエースなどのミニバン、ランドクルーザーなどのSUVをはじめ、ハイエースなどの商用車さらには福祉車両や特装車などを手がけています。また、救急車もハイエースをベースに、トヨタ車体グループの岐阜車体工業が手がけています。
先述したように、トヨタでは、軽症患者向けの移送用車両11台を医療機関や地方自治体などに提供してきて、今回さらに、ハイエースをベースとした重症患者車両を製作。こちらも、軽症者向けと同様に、フロントシートの車両前方スペースと、リヤシート以降の後方スペースの間に隔壁が設置されています。
さらに、排気ファンで後方の空気を常に車外に排出することで、後方の空気が前方に循環しないように制御された飛沫循環抑制車両。重症患者向けとして患者が横になれるストレッチャーが設けられています。
自治体や病院が所有する救急車両は、新型コロナウィルス感染者の搬送はもちろん、東京消防庁などは年々出動回数が増え続けています。今回のような車両提供が進むことで、医療体制の維持に貢献されることも期待されます。
(塚田勝弘)