新型アウディ A3 セダンが登場。フルモデルチェンジでクーペ風の美しさをまとう【新車】

■日本でも取り回しのしやすい、全長4.5m・全幅1.82m・全高1.43m

AUDI AGが2代目となる新型アウディ A3 セダンを発表しました。最大のライバルとなるのは、メルセデス・ベンツ Aクラスセダンで、フォルムは異なりますが、BMW 2シリーズ グラン クーペなど、輸入車は少ないながらもコンパクトセダンや4ドアクーペなどがリリースされています。

アウディ A3 セダン
新型アウディ A3 セダンは、弧を描くようなルーフラインによるエレガントさが魅力

一方の国産勢は、Cセグメント級であれば、MAZDA3、SUBARUインプレッサG4、トヨタ・カローラアクシオ(旧型の併売モデル)、カローラ、トヨタ・アリオン/プレミオ、日産シルフィなどがあります。自販連の販売ランキングでは、カローラ(スポーツ、ツーリング含む)、インプレッサ(SPORT含む)、クラウン、カムリあたりが50位に入る常連モデルといえそう。ただし、先述したように、カローラ、インプレッサはセダン以外の比率が高くなっています。

その中でもCセグメントの輸入セダンは、ハッチバックと遜色のないデザイン性、ブランド性を備え、取り回しや駐車場事情などから指名買いも多そうです。

アウディ A3 セダン
新型アウディ A3 セダンの走り

■ホイールベースは同値で、全長・全幅・全高を少しずつ拡大

2020年夏にヨーロッパで発売予定の新型アウディ A3 セダンもスポーティでエレガントなエクステリアをまとっています。先代よりも全長が4cm延長され、全長は4.5mになっています。ホイールベースは2630mmで、先代と同じ。全幅は2cm拡幅され、1.82mになり、全高は1cm高くなって1.43mになっています。これにより、頭上空間が拡大されたそう。

運転席のシートポジションが低くなったことで、フロントヘッドルームは2cm増加し、肘まわりも広くなっています。積載容量は425Lで、先代モデルと同じ。

アウディ A3 セダン
新型アウディA3セダンのリヤビュー

エクステリアは、印象的なヘッドライトとハニカムグリルを備えた大きなシングルフレームグリルが特徴。ヘッドライトの外縁には下方向へと延びる台形デザインが採用されています。

マトリクスLEDテクノロジーが搭載された最上位モデルでは、この部分に新しいデジタルデイタイムランニングライトを装着。デイタイムランニングライトは15個のLEDセグメントによるピクセル配列から構成されていて、個別に作動させることによって、独自のライトシグネチャーを生み出すそう。

なお、先に発表されたA3スポーツバックは、サイドシル上のボディラインがリヤホイールアーチに向かって上昇し、短いリヤエンドを強調しています。A3セダンは対照的に、同じボディラインはリヤバンパーまで伸びています。このラインは、スポーツバックよりも15cm長い全長を強調すると共に、ボディサイドにエレガントな雰囲気を醸し出しています。

また、ショルダーライン下の凹面が「quattro」ブリスターとサイドシルの存在感を強調。これにより、光と影が織りなす魅力的なサイドシルエットをなしています。ルーフラインは、Bピラーから後方に向かって流れるようなラインを描き、トランクリッドのスポイラーへとつながっています。オプションのカーボン仕様を選択すると視覚的なアクセントが提供され、4ドアモデルの力強い外観を強調。

アウディ A3 セダン
新型アウディ A3 セダンのサイドビュー

エアロダイナミクスも改善しています。先代よりもリヤエンドを高く設定し、大型ディフューザーを備えることにより、先代よりも0.04改善されて0.25となっています(2.0 TDIを搭載した新型アウディ A3 セダン)。

シングルフレームグリルの背後に設置され、2つのルーバーモジュールを備えた電子制御式エアインテークもCd値の改善に貢献。このエアインテークは、走行条件に応じてインテリジェントにエアの流れを調整します。さらに、パネルによって覆われたアンダーボディ、エアロダイナミクスが改善したエクステリアミラー、ブレーキの冷却機能により、空気抵抗が減少しているそう。

■新しいコクピット風インパネを用意

ドライバー重視のコクピットには、中央に10.1インチのMMIタッチディスプレイが配され、ドライバーに向かってわずかに傾斜しています。手書き文字検出機能と、日常会話に対応したボイスコントロールシステムが標準装備され、オプションでクラウド機能も設定されます。さらに、ベースモデルにも、10.25インチのデジタルメーターが装備されています。

アウディ A3 セダン
新世代のインパネが採用される新型アウディ A3 セダン

「アウディバーチャルコックピットプラス」を装備すると、ディスプレイサイズは12.3インチに拡大され、デジタル表示とダイナミックなレイアウトを備えたスポーティなグラフィックを含む、3種類の異なるビューを用意。エンジン回転数と速度は、赤いグラフィックエレメントを備えたバーグラフとして表示されます。

アウディ A3 セダン
新型アウディ A3 セダンのコンソールまわり

さらに、「MMIナビゲーションプラス」には、第3世代のモジュラーインフォテインメントプラットフォーム(MIB 3)が採用されています。「MIB 3」は、先代の10倍もの処理能力を誇り、LTE-Advanced(LTEアドバンスト)規格に対応し、手持ちのスマホをインターネットに接続するWi-Fiホットスポットも備えています。MMIナビゲーションプラスは、オンライン交通情報やニュースに加え、写真、店舗の営業時間、POI(Point of Interest)に関するユーザーレビューなどの追加情報を含む、数多くのAudi connectサービスを標準で提供。

スマホ連携機能も用意。「アウディスマートフォンインターフェイス」を介して、ユーザーのスマホと接続することができます。「Apple Car Play」や「Android Auto」の機能を「アウディフォンボックス」を介してMMIディスプレイに統合することが可能。アウディフォンボックスは、スマホと車両のアンテナに接続し、非接触充電を行うことも可能だそうです。また、パーソナライゼーション機能により、最大6人までのシート位置、空調コントロール、メディアなどの設定を個別のプロフィールに保存できます。今年の中旬からは、Amazon Alexa音声アシスタントサービスも利用できるようになります。

ドライバー支援システムも進化。「アウディプレセンスフロントシステム」が搭載され、ルームミラーに設置されたカメラがフロントレーダーと連動して、事故を防止するか、衝突の程度を軽減します。標準装備される衝突回避アシストも、同センサーからのデータを使用。そのほか、市場導入後に追加されるサラウンドビューカメラは、市街地走行で特に役に立つ機能としています。

アウディ A3 セダン
新型アウディ A3 セダンの走り

発売時に設定されるエンジンは2種類のTFSI(ガソリン)、1種類のTDI(ディーゼル)です。110kW(150PS)を発生する1.5L直噴エンジンの「35 TFSI」は、新開発の6速MT(複合モードにおける燃料消費量:5.0~4.7L/100km、複合モードにおけるCO2排出量:114~108g/km)および素早いシフトを特徴とする7速S tronic(複合モードにおける燃料消費量:4.9~4.7L/100km、複合モードにおけるCO2排出量:113~107g/km)から選択が可能。日本で発売される際は後者になるでしょう。また、110kW(150PS)を発生する2.0 TDI(複合モードにおける燃料消費量:3.9~3.6L/100km、複合モードにおけるCO2排出量:101~96g/km)も7速Stronicとの組み合わせ。ギアシフトは、シフトバイワイヤー技術を採用した新しいスイッチによって電子的に制御されます。

サスペンションは、先代よりも精密に路面の状況に反応するようにチューニングが施されているそうです。注目は「セントラルダイナミックハンドリングシステム」で、高い精度と素早いレスポンスを獲得。また、スポーツサスペンションまたは電子制御式ダンパーを備えたサスペンションを選択することもできます。

後者はソフトで快適な乗り心地から、俊敏なハンドリングまで、幅広くサスペンションの特性を設定することが可能。さらに「アウディドライブセレクト ダイナミックハンドリングシステム」も用意され、快適性重視、ダイナミックなハンドリングから、効率重視に至るまで、サスペンションの設定を変更することができます。設定を変更すると、スロットルレスポンスや、ステアリング角度によってレシオが変化するプログレッシブステアリングの特性も変化するそう。

アウディ A3 セダン
新型アウディ A3 セダンのフロントビュー

気になる日本への上陸時期は明らかにされていません。なお、新型アウディ A3 セダンの事前予約は、ドイツとほかの多くのヨーロッパ市場で、2020年4月末からスタートし、納車は夏に始まる予定。110kW(150PS)の35 TFSIのベース価格は29,800ユーロ。市場導入後まもなくエントリーレベルのガソリンエンジンが追加される予定になっています(価格は27,700ユーロ)。

サイズは少し大きくなっていますが、そのぶん居住性を高め、さらにクーペ風の美しさも加味された新型アウディ A3 セダン。セダンに限らず最近の新型車は、国産、輸入車共に年々大型化する傾向があり、こうしたCセグメント級モデルもセダン派の方は検討する価値があると思います。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
続きを見る
閉じる